
中堅人事奮闘記#13|~過去、未来⑤~
連載シリーズの第5章です。ついに最終章です。
第4章は下記から読めますので是非ご覧ください。
第5章 循環:あなたの火は、誰かの希望になる
■ 「普通」という才能:特別な才能がなくても、誰かの希望になれる
ここまで、私の恥だらけの「逃げ」の歴史から、幾度もの修羅場を経て、自分の中の「種火」を見つけるまでの歩みをお話ししてきました。
大学受験失敗からの逃避、20社以上の不採用、逃げるように退職。そして無職になり、妻から「仕事をしないと一緒にいられないよ」と宣告された人生最大のどん底。 人事としてのキャリアをスタートさせてからも、決して順風満帆ではありませんでした。自分の知識不足に絶望し、板挟みになっては酒に逃げ、経営会議で自分の未熟さを突きつけられてマイクを持つ手を震わせてきました。
私は、どこにでもいる「普通」の人間です。特別な才能も、飛び抜けた知能もありません。 しかし、だからこそ伝えられることがあります。幾度も折れ、悩み、もがき苦しんだ「普通」の人間であっても、自分の弱さと向き合い、泥臭く剣を振り続ければ、誰かの心に火を着ける(希望になる)ことができるということです。
■ 強みや成果は置かれている環境が大きく影響する
私がこれまでのキャリアを通じて、身をもって痛感し、確信していることがあります。 それは、「強みや成果は、置かれている環境が大きく影響する」ということです。
1社目のハウスメーカー時代、私は図面も読めず、スケジュール管理もできず、ミスをしては上司に怒鳴られ、「自分は何か病気なのではないか」と本気で疑うほど無能でした。 しかし、どん底から這い上がって自動車部品メーカーの総務に入った時、かつて無駄だと思っていた「飛び込み営業のタフさ」が、現場との信頼関係を築く最強の武器になりました。メキシコ出張でスキンヘッドの社長の心に火を着けたのは、泥臭い「社内イベントの企画経験」でした。
もし今、あなたが職場で「自分はダメだ」「何もできない」と自己嫌悪に陥っているのだとしたら、それはあなた自身が無能なのではなく、ただ「環境と強みが噛み合っていないだけ」なのかもしれません。 環境が変われば、解釈が変わる。解釈が変われば、かつての「弱点」や「無駄だと思っていた経験」が、あなただけの最強の武器へと変わる瞬間が必ず来ます。
■ 火を持ち続けるための「心の薪」のくべ方
とはいえ、組織の中で自らの火を燃やし続けることは孤独であり、時に燃え尽きてしまいそうになることもあります。 私が自分の中の火を絶やさず、持続可能な情熱を持ち続けるために意識している「心の薪のくべ方」は、
深い自己認識(セルフアウェアネス)「人」に頼ることです。
「自分は何者か?」「何に価値を感じているのか?」 私は2年間、この問いを自分に投げかけ続けました。その結果、「何が本当にいいものなのか?徹底的に考え抜くこと」「素直さ」という自分の根源的な価値観や強みに気づくことができました。「素直」の定義については、私に火を着けてくれた坪谷邦生氏のXポストを引用します。
「素直」とは、自分の知っていることは、真実のごく一部でしかないという自覚のことだ。必要となれば、自分の積み上げてきた経験や信念を放棄する覚悟のことだ。
そして、自分が折れそうな時は、迷わず周囲の「人」を頼ります。本を紹介してくれる上司、内省を促してくれるメンター、そして苦楽を共にする仲間たち。彼らの存在や言葉一つひとつが、私の中の火を燃やし続けるための「上質な薪」になっています。
■ おわりに:あなたの物語は、ここから動き出す
この物語を読んで頂いたあなたへ。
社会に出て、理想と現実のギャップに打ちのめされ、人間関係に悩み、プレッシャーに押しつぶされそうになっているかもしれません。かつての私のように、現実から目を背け、逃げ出したくなる夜もあるでしょう。
でも、どうかこれだけは忘れないでください。
「みなさんの中に、必ず『いいもの』がある」ということを。
今はただ、灰に埋もれて見えなくなっていたり、くすぶっていたりするだけです。あなたのこれまでの痛み、失敗、流した涙。それらすべてが、あなたの中にしかない「火種」です。 その火種は、自分自身と真摯に向き合い、ほんの小さな一歩(直訴や挑戦)を踏み出した時に、必ず再び燃え上がります。みなさまが小さな一歩を踏み出せる土台を微力ながら、創っていきたいと想っています。
私が「挑戦できる組織風土創り」を目指して、泥臭く人事としての剣を振り続けるように。 次は、あなたの番です。
あなたの中に眠るその「いいもの」に、あなた自身が気づいてあげてください。 あなたの心に火が着いた時、あなたのその熱は必ず周囲に延焼し、いつか誰かの「希望」へと循環していくはずです。
あなたの物語は、ここから動き出します。 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。