目をつぶる【シロクマ文芸部】
目をつぶると言われる。
「目、開いてるよ」
いや、俺は確かに目をつぶっている。
なのに、目が開いているなんて……
鏡の前で確認してみた。
目をつぶる。
え、えええ!!
俺、目、開いてるよー! こえー!!
鏡の前で意味もなくバタバタし出した。
俺、今、目をつぶったよな?
なのに、目が開いてて、おまけに見える?
じゃあ、目を開けてる時は、どうなっているんだ?
恐る恐る鏡を見る。
目が……開いてるよー!
なんてことだ!
俺は急いで眼科に行った。
医者が俺の目を見て言った。
「ああ、これは、あれですね。まぶた、どこかに落としませんでしたか? それか、盗まれたとか?」
「まぶたを……落とした? 盗まれた? 俺?」
「まぶた、落とすことや、盗まれることあるんですか? てか、落とした人や盗まれた人、今までにもいるんですか?」
「いますよ」
医者は軽く返事をした。
「あと、まぶたがないと乾燥しやすいんで、目黒蓮を出しときますね」
俺は目黒蓮という目薬をもらって、軽く帰された。
どうやって探せばいいんだ? 俺のまぶた。
目が乾く。
目薬……いや、目黒蓮を差しながら、ネットで検索する。
「まぶた 落とし物」
ヒットゼロ。
俺、寝る時どうすればいいんだ?
まぶたがない生き物なら、何か知ってるかもしれない。
そうだ!
まぶたがないと言えば、金魚だ。
俺は店にいる金魚たちに聞いた。
金魚たちは、優しく教えてくれた。
「まぶたがなくても眠るのは簡単だよ」
「どうやって?」
「ボーッとすればいい」
俺はボーッとした。
確かに寝てる感じがする。
ありがとう、金魚さん。
俺は考えた。
落とした記憶は断じてない。
となると、盗まれた?
いや、どうやって?
そのとき、俺はふと思った。
目黒蓮。
なぜ医者は、俺に目黒蓮をくれたんだ?
これは……大きなヒントかもしれない。
俺はもう一度、検索した。
目黒蓮。
ハリウッド、カナダ。
……いた。
俺は行くことにした。
そして、目黒蓮に会った。
「あの……俺のまぶた、知りませんか?」
目黒蓮は、少し考えてから言った。
「ああ、それなら……」
ポケットから何かを取り出した。
「これですか? 僕が日本で拾ったやつです」
俺は息をのんだ。
まぎれもなく、俺のまぶただった。
「ありがとうございます!」
なんて優しい人なんだ。
俺は落としたまぶたを受け取った。
これで、やっと目をつぶれる。
俺は、さっそくまぶたをつけようとした。
そのとき、目黒蓮が言った。
「あっ」
「はい?」
「そのまぶた、僕のです」
「ほしい……」
小牧幸助さんのお題『目をつぶる』から始まるnoteに参加させていただきました。
いつもありがとうございます😊
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