夏休みは誰でも涼みたい【シロクマ文芸部】
「夏休みさ、俺、ちょっと雪山行ってくるよ」
「は? 何言ってるの。こんな暑いのに雪山があるなんて。どうやって行くのよ? 飛行機?」
「何言ってるんだ。歩きに決まってるじゃないか」
「……そ、そうよね」
「その雪山でさ、運が良ければ、かき氷も食べられるんだぜ」
その言葉に、隣にいた男が反応した。
「マジかよ。それなら、俺もちょっと行ってみたいかも」
「あっ、あたしだって、本当は気になって……行きたいわ」
「よし、分かった。ただし……命の保証はできないぜ」
「……え、命がけ?」
夏休みに入った。
日照りで焼けてしまいそうな暑さの中、
一行は目的の場所へ向かった。
「着いたぞ」
「おおっ! マジで雪山……っていうか、氷の山じゃないか!」
「ひゃー! 冷たい! 最高ね、ここ!」
「おい、あそこにかき氷の蜜が……」
「おいっ!! やめろ! まだ早い!
行くな……」
ベシッ
一匹のアリが、あっけなく指ではじかれた。
「やばい、逃げるぞ!」
「あたし、まだかき氷食べて……」
ベシッ。
ベシッ。
……
「ちょっとー!! もう少し丁寧にシロップかけないと!テーブルにこぼれた甘い匂いにつられて、またアリが登ってくるじゃないの!」
「下にアリの巣コロリ置いたんだけど、ちっとも効いてないのかなあ」
……
夏祭りのかき氷屋のテーブルの上には、アリたちにとって巨大な雪山ができていた。
甘い蜜の香りが、熱い空気の中に漂っている。
「俺たち、行かなくて正解だったな」
下で見ていたアリたちは、そう言いながら退散した。
ところが、その途中で――
「あれ? こんなところに、うまそうなものがあるじゃん」
アリたちは顔を見合わせた。
そして、アリの巣コロリのエサを見つけると、大喜びで巣へ持ち帰った。
小牧幸助さんのお題『夏休み』から始まるnoteに参加させていただきました。
いつもありがとうございます😊
#シロクマ文芸部 #夏休み
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