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私を取り戻すまで【04】|新しい居場所

    イベントで出会った人に勧められたことがきっかけで、彫金教室へ行ってみることにしました。

    自分で教室を探して、見学へ。


    家から電車で四、五十分。



    高校生の頃は、母とよく大阪へ買い物に出かけていたので、行き慣れた場所ではありました。


    それでも、引きこもっていた頃の私にとっては、定期的に電車に乗って通うというだけでも、小さな挑戦だったように思います。



    教室の前に立った時、
    少し緊張しながらも、どこかワクワクしている自分がいました。



    そんな気持ちで、扉を開けました。




    中からは、木槌や金槌で金属を叩く音が聞こえてきます。


    トントン、カンカン。


    バーナーの音も響いていて、教室全体がものづくりの音に包まれていました。




    教室には、私よりずっと年上の人たちが何人かいて、初めて来た私にも自然に話しかけてくれました。




    先生も話しやすく、不思議と肩の力を抜いて、その場にいることができたように思います。




    やっぱり私は、同年代の中にいるよりも、年上の人たちに囲まれている方が居心地が良かったのだと思います。




    見学だけのつもりで行ったのに、

    「これから通いたいです。お願いします。」



    気がつけば、自分の口からそんな言葉が出ていました。




    電話をかけることさえ怖くて、面接にも行けなかった私が、自分から「通いたい」と伝えていました。




    あの頃の私は、その一歩がどれだけ大きなことだったのか、まだ気づいていなかったのだと思います。




    教室へ通うようになってからは、毎週そこへ行くことが私の日常になっていきました。




    工場の二階でも、彫金の制作をするようになりました。




    帰りに母と大阪で待ち合わせをして買い物をしたり、地元の友達と帰る時間を合わせて、一緒に電車で帰ったり。




    教室へ通うことがきっかけで、少しずつ家の外で過ごす時間が増えていきました。




    振り返ってみると、それは私の世界が、少しずつ広がり始めた頃だったのかもしれません。


    ——そして、この教室での出会いが、私の人生を大きく動かしていくことになります。





    ※このnoteについては固定記事に書いています。



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    ここまで読んでくださってありがとうございます。
    日々の気づきはThreads、Instagramにも少し書いています。


     
     
    5歳上の障がいのある兄を持つ「きょうだい児」として育ちました。 子どもの頃に言葉にできなかった気持ちや、「誰かのため」が当たり前だった私が、本来の自分を少しずつ取り戻していく過程を書いています。 ▶︎「英治君の妹です」 ▶︎「私を取り戻すまで」 はじめての方は固定記事へどうぞ。

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