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プロベーション・レポート ~新入社員の四カ月~ 第二章2 一族の噂

    第二章 
    第二話「焼肉会2」 一族の噂

    「おーつかれーっ!」

    キンッ

    「ちょい久々か?焼肉。」

    「いや流石に先週なかっただけで久々はおかしいでしょ!」

    「いやだって先週の飲み会はだるかっただけじゃん。」

    「僕は正直あんま行きたくなかったんで家帰ってお風呂入ってたんですけどねー。課長からあんまりにも電話あるもんだから。」

    「お前のアレは参加したって言えるのかぁ?最後の15分いただけじゃん。」

    「どうしても常務の来る飲み会には行きたくないんです!」

    「おんまえなぁー。小林と仲良くなりたいですーって言ってたんじゃねぇのかよ。あれ小林の歓迎会だろうよ。」

    「いやーそれはそれなんだって!別に飲み会なくったって時々喋るし同行もしたんだよ?」

    「よ?じゃねーんだわ!まー俺も小林と話してねぇしな。つーかなんであいつ烏丸の近くに行ったんだろ?俺ら営業二課の天敵だぜ?」

    「っていうか小林くん常務と何話してたんすかね?」

    「俺もよう知らんけどなんか仕事の失敗談?とか風俗の話とかしとったような気はするけどよく覚えてねぇなぁ。」

    「え!風俗の話してたの!?」

    「えぇ?食いつきすぎじゃね?もはやお前が行きたい話じゃねーか。」

    「ちーがーうって!いやなんていうか小林くんそういう人じゃなかったと思うよ?同行した時もなんていうか彼女一筋っていうかさぁ。彼女と結婚したくて転職したって言ってたし。」

    「結婚したくてここ?そりゃねーべ!
    こんな給料やっすいし家にも帰れんとこで結婚って!」

    「えぇ?でも須藤くんだって同棲してんじゃん?小林くんもそうって言ってたよ。」

    「そら奇特な方ですなぁ。俺はそもそもあいつとは中学から付き合ってるし、まぁ別れる理由もないしさぁ。」

    「ハイのろけーっ!いいよね君たちはさぁ!僕だって彼女欲しいんですけど!?」

    「知らねーよ。っていうか炊飯の派遣ちゃん、えーと藤田さん?だっけ?」

    「えっ?そういう名前なの!?」

    「えぇ・・・お前マジでキモいな。」

    「なんでだよ!」

    「いやだって気になる子がいますー、な?そんで時々姿を見に行きますと。連絡先は野村さんに頼もうとして?名前は今初めて知りましたと。そぉれはねぇよ!マジで俺が女だったらこんなやつ嫌だわぁ。」

    「いやいやだって炊飯とは基本接点ないじゃん!」

    「じゃあなんで俺がうろ覚えとはいえ派遣ちゃんの名前知ってんだよ。」

    「えー?なんでぇ?」

    「だってあの子も煙草吸うからしょっちゅう喫煙所におるだろーが。そしたら自然とちょこちょこ喋ったりするんだから、別にお前が吸わなくったって入っちゃダメって場所でもねぇんだぞ?喋りたいなら入ってこればいいじゃん。」

    「でもなぁ・・・ほんとに煙草得意じゃないんだよねぇ。こういう席ならいいけど喫煙所ってどうしてもすごい臭いし・・・。」

    「まぁそれはわかるけど仮に付き合いたいとお前が一方的になんつーか、そうやって念じたところで」
    「念じるって何?!」

    「いやだから一方的に好き好きーって」
    「好き好きーって何?!」

    「だーかーらいいから聞け!とにかく直接話もしない、名前も知らないのに好きって何?ってことが言いたいわけよ俺は。」

    「っていうかそういえばお前今週夜小林に会った?」

    「あ・・・そういや会ってないね。朝も会ってない。」

    「それはお前が寝坊してきてないだけ!」

    「いやそうなんだけど!先週まではいたけど。あ!1回だけ見たよ!なんか夜工場の手伝いしてた!」

    「えぇ?なんであいつが工場の手伝いしてんのさ?」

    「そんなん知らないよ。でも水曜だったかなぁ?工場長と話しながら倉庫の整理してたっぽくて遠巻きに挨拶したもん。」

    「工場の手伝いねえ?なんか思いついちゃったかも。」

    「え?急に何?」

    「小林って社長の一族なんじゃね?だって烏丸にも気に入られてて、うち以外の部署にも出入りしてんじゃん?歳的にもなんつーか社長の孫っぽいじゃん。」

    「歳だけでいったら僕らも同じなんだけど?」

    「まぁそれはそうだけども。苗字も違うし関係ないか。」

    「少なくとも直接の孫世代ってことはないはずだよ?だって専務しかおらんもん、あの人独身だし。」

    「よう知っとんねぇ。」

    「流石にねー。だってそもそも僕、親のあれが無かったらここで働いてないわけだし?っていうか普通に入ってたらとっくに辞めてると思うもん。」

    「それなぁー。じゃあなんで俺がその普通に入った側なのにふっつーに続けてんのよ?」

    「知らないよー!っていうか水曜しか小林くんに会ってないって話でしょ!とりあえず早く帰ってるってのは間違いないよねー。」

    「実際俺らも烏丸さえいなきゃ毎日早く帰れるわけじゃん?」


    「え?そうなの?」

    「え?お前マジなの!?」

    「あ・・・うん割と真っ直ぐ走ってあの時間だけど・・・。」

    「あー・・・それはまぁ・・・なんというかご愁傷様というか。うん・・・お前はお前のままでいいと思うよ?」
    「なんなんだよ!」

    「っつーか今度小林呼んでみる?ここ。」

    「あ!いいねぇ!小林くんと野村さんと課長にも声かけとこうか!」

    「多いって!!」

    ー次回ー 
    第三話
    「焼肉会3〜水曜日〜」小林の恩恵

    概要・目次はこちら


     
     
    元飲食業。 働く人たちの空気や、職場の歪みと妙な連帯感を書いています。 noteにて小説『プロベーション・レポート』連載中。 この度、作中企業である米崎ライス株式会社様より、外部広報のお仕事をいただきました。

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