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Photo byhumble_dahlia809

【詩:シロクマ文芸部 眠れない】どちらにしても歩くなら

    紫補

    眠れないから歩くことにした
    街灯の灯る深夜の住宅街

    たまにすれ違うのは
    疲れ切った顔で俯いて歩く会社員風の人
    飲み会帰りらしい千鳥足の人
    コンビニの袋をぶら下げた部屋着の人

    誰も私のことなんて気にも留めない

    すっぴんに眼鏡をかけて
    パジャマ用の着古したTシャツの上にパーカーを羽織って
    足元は素足にスニーカー

    明日も仕事なのに
    いつもと同じ時間に起きて
    野菜ジュースを飲みながらメイクして
    8時5分までに電車に乗って
    知らない誰かの体やカバンに圧迫されながら
    9時までにオフィスに着かないといけないのに

    眠れないから歩くことにした

    どうしても耐えられないわけじゃないけれど
    ギリギリ耐えられるレベルの毎日を積み重ねて繰り返さなくてはいけない
    これは絶望と呼んで差し支えないのかもしれない

    そんなことが不意に頭に浮かんでしまった
    夜にラブレターを書いてはいけない様に
    夜に現実の厳しさに気付いてはいけない

    寝静まった住宅街
    ぽつぽつと灯る街灯
    次の街灯まで行ったら引き返そう
    もうひとつ先の街灯まで行ったら

    そう繰り返して歩くうちに
    なんだか楽しくなってきた

    どこまで街灯が続くのか歩いてみようか
    もし途切れたら
    次の街灯を探して歩いてみようか

    どちらにしても歩くなら
    楽しんで歩いてみよう
    その先に見つけるのは街灯かもしれないし
    そうじゃないかもしれない

    **********
    シロクマ文芸部に参加させていただきました!

     
     
     

    紫補

     
     
    詩を書いたり、詩エッセイを書いたり映画レビュー書いたり 国内外問わず旅するダンナが、旅先で撮影した写真とのコラボを中心にした「写真詩集」作成してます 写真詩集は有料記事で読める他、minneでも冊子で販売中↓↓ https://minne.com/@shiho-keys

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