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仕事の見方を深める#01/なぜ私は、問いと内省について書き続けるのか──SIerからコンサルに転じて見えたこと

    仕事が変わるとは、何が変わることなのでしょうか。

    会社が変わること、職種が変わること、年収が変わること。

    これらも大きな変化です。

    ただ、SIerからコンサルに転じた自分の経験を振り返ると、最も大きく変わったのは、そうした外形的なものではありませんでした。

    一番変わったのは、

    自分が日々、どんな問いを持って仕事に向き合うか

    でした。

    最近、noteで「問い」や「内省」について書いています。

    会議設計、成長の構造、仮説思考、一次情報、反省日誌。

    一見すると、それぞれ別々のテーマに見えるかもしれません。ただ、私の中では、これらはすべてつながっています。なぜなら、どれも私自身がSIerからコンサルへ転じる中で、ぶつかり、悩み、少しずつ乗り越えてきたテーマだからです。

    この記事では、自己紹介も兼ねて、なぜ私が「問い」と「内省」について書き続けているのかを整理してみたいと思います。

    本当は、20代の頃に知りたかった内容です。そうでなくても、30代前半には知っておきたかったな、という内容です。

    このnoteで書いているのは、成功者のノウハウでは全くありません。仕事でつまずきながら、問いと内省を通じて、少しずつ仕事の見方を変えてきた記録です。

    会議、資料、レビュー、クライアントの言葉、現場の違和感。

    それらの見え方が少し変わるだけで、仕事の苦しさは少し変わる。

    そして、仕事の見方が変わることは、人生の見方が少し深まることにもつながるのではないかと思っています。


    SIer時代の私は、自分なりに考えているつもりだった

    私はもともと、SIerとしてキャリアをスタートしました。

    要件定義から実装、運用保守までの工程を担当し、クライアントの話を聞き、業務を整理し、システム仕様に落とし込み、コードとして実装し、システムを稼働させる。

    決して、クライアントから言われたことをそのまま実装するだけの請け負い仕事をしているつもりはありませんでした。

    むしろ当時の私は、「自分はクライアントの要望を理解し、クライアントに必要なことを考えている」とさえ思っていました。

    それはそれで間違いではなかったと思います。SIerの仕事には、確かな難しさがあります。

    要件として実現可能な仕様に整理すること。
    クライアントから下請けベンダーまでの関係者の認識を合わせること。
    システム制約で発生する課題に対して落とし所を見出していくこと。

    どれも簡単な仕事ではありません。ただ、コンサルに転職してから気づいたことがあります。それは、当時の自分が日々携えていた問いは、まだかなり狭かったということです。


    「視座が低い」と言われて気づいたこと

    コンサルに転職して、最初にぶつかったのは「思考の深さ」の違いでした。

    プロジェクトを取り巻く情報を整理して、論点らしきものを並べて、ディスカッションペーパーを作っていました。それなりにやっているつもりではありました。

    しかし、上司とのレビューで返ってきたのは、

    「ちゃんと考えた?」
    「この資料は使えない」
    「視座が低いんだよ」

    という言葉でした。

    正直、当時は何を言われているのか、よく分かりませんでした。いや、言葉としては分かっていても、結局何をどうすれば良いのかが全く分かりませんでした。

    必要な情報は整理しているし、論点も書いている。なんなら、クライアントとも自分で議論できる。

    それなのに、なぜ「視座が低い」と言われるのか。ましてや、「考えていない」と判断されるのか。

    当時の私は、その理由をうまく言葉にできませんでした。自分なりに説明したいことはあるのに、その機会も与えられずに、資料を見た瞬間に「これは違う」と判断されてしまう。

    この経験に、かなり苦んだことを今でも覚えています。

    睡眠時間を削って夜中まで資料を作っても、レビュー開始後の数秒で根本から差し戻されることも珍しくありませんでした。

    当時の私にとっては、それがかなり堪えました。でも今なら少し分かる気がしています。

    少なくとも、仕事を前に進める価値は、ただ答えを出すことだけにあるのではありません。

    むしろ、その場でどんな問いを持っているのか。何を見落としてはいけないと考えているのか。そこに、その人の仕事の深さが表れるのだと思います。

    どこまで広い範囲を見ている問いなのか。
    どれだけ長い時間軸を見据えた問いなのか。
    どれだけ多くの関係者の立場を織り込んだ問いなのか。

    問いの射程が広く、深く、長くなるほど、視座は高くなる。逆に言えば、視座の低さとは、能力の低さではなく、携えている問いの射程の短さなのだと思います。

    SIer時代の私は、その自覚はあまりありませんでしたが、主に「要件にどう答えるか」を考えていました。一方で、コンサルとして求められたのは、「そもそも何を問うべきか」を考えることでした。

    だから、上司は資料を一瞥しただけで、私自身が向き合っている問いの質を見抜き、話を最後まで聞かずとも、根本から考え直す必要があると判断していたのだと思います。

    このSIerとコンサルとの思考の差は、想像以上に大きいものでした。

    私はコンサルになって初めて気づいたのです。

    成長の差は、知識量だけで決まるわけではない。
    資料作成のうまさだけで決まるわけでもない。

    むしろ、その人がどんな問いを携えて仕事に向き合っているかで、見える世界が変わってしまう。

    人は、その人自身が携えている問いの深さ以上には成長できない。

    今では、そう思っています。


    要件に答える思考から、問いを立てる思考へ

    私がコンサルになって変える必要があったのは、単なるスキルではありませんでした。

    要件に正しく答える思考から、そもそも何を問うべきかを考える思考へ。

    いわば、コンサルの仕事に向き合うための“思考のOS”を書き換えるような変化だったのだと思います。ここでいうOSとは、個別のスキルではなく、物事を見るときの前提や、最初に立ち上がる問いの癖のようなものです。

    例えば、会議ひとつを取ってもそうです。

    会議では、何を話すかではなく、誰がどう動ける状態にすべきかを考える。
    クライアントには、知りたいことではなく、知るべきことを提示する。
    質問するときは、思考を相手に預けるのではなく、自分なりの仮説を差し出す。

    これらは、すべて私自身の挫折から生まれたテーマです。


    伸び悩みの中で支えになった内省

    もちろん、すぐに変われたわけではありません。転職してから2〜3年は、かなり伸び悩みました。

    頭では理解している。
    でも実務ではどうすれば良いか分からない。

    フィードバックはもらう。
    でも次に活かせない。

    周りはどんどん前に進んでいるように見える。
    自分だけ同じ場所にいるような感覚がある。

    そんな時期が続きました。

    「自分には、コンサルは向いていないのではないか」

    そう思ったことも一度ならずあります。ただ、今振り返ると、あの期間は決して無駄ではありませんでした。伸びていなかったのではなく、溜めていた時間だったのだと思います。


    その中で支えになったのが、「反省日誌」でした。

    夜に一人ノートと向き合い、その日あったことを書き出す。

    なぜ、あの場で言えなかったのか。
    なぜ、相手の反応を事前に想定できなかったのか。
    なぜ、自分は評価されたい気持ちに飲まれていたのか。
    クライアントを操作しようとしていなかったか。
    部下の成長を心から願えていたのか。

    そうした問いを、自分に投げ続けました。決して目新しい方法ではないし、すぐに成果が出る特効薬でもありません。

    むしろ、自分の弱さや未熟さをさらけ出す、という時間なので忙しい日々の中で続けるのは簡単ではありません。

    それでも続けているうちに、少しずつ変わっていきました。

    相手の言葉の裏にある意図。
    議論や意思決定の構造。
    何よりも、自分の中にあるエゴ。

    それまで見えていなかったものが、少しずつ見えるようになってきたのです。


    なぜ、今も問いと内省について書くのか

    現在はありがたいことに、いわゆるBIG4の総合コンサルファームでシニアマネージャーとして、大規模DXやPMOの現場に関わっています。

    ただ、私は最初からできた人間ではありません。むしろ、思考できずに挫折しかけた側の人間です。問いを立てることの意味が分かっていなかった側の人間です。

    だからこそ、変わるプロセスは言語化できると思っています。このnoteでは、分かりやすくて、すぐに役立つ仕事術やテンプレートを書くつもりはありません。

    むしろ、すぐには役に立たない、仕事と思考の土台、いわば「思考のOS」について書いていきたいと思います。

    「すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる」

    私が大事にしている言葉に従っていきたいと思っています。


    実務を突き詰めるほど、哲学に近づいていく

    最近は、コンサル実務だけでなく、哲学や歴史にも関心が広がっています。ただ、それは決して実務から離れたいからではありません。むしろ、会議、意思決定、内省、一次情報といったテーマを深く考えていくほど、結局は、

    人は何を見ているのか。
    人はどうすれば変われるのか。
    合意形成はなぜうまくいかないのか。
    他者とどう向き合うべきなのか。
    人としてどう成長していけるのか。

    といった問いに行き着くからです。私にとって哲学は、現実から離れた抽象論や理想論ではありません。

    むしろ、現実の仕事を深く見るためのレンズです。実務を離れて哲学に向かうのではなく、実務を突き詰めるほど哲学的な問いに近づいていく。

    だからこそ、これからも実務の中にある問いを掘り下げながら、その奥にある人間や組織、成長の本質について考えていきたいと思っています。


    このnoteで書いていきたいこと

    これまで書いてきた記事は、表面的には別々のテーマに見えるかもしれません。しかし、私の中ではすべて同じ問いにつながっています。

    • 会議設計は、「人が次に動ける状態をどうつくるか」という問い

    • 仮説思考は、「自分はどこまで考えたうえで相手に問いを差し出しているか」という問い

    • 一次情報は、「同じ現場を見て、なぜ人によって見えるものが違うのか」という問い

    • 内省は、「自分はどんな心でその場に立っていたのか」という問い。

    どれも、仕事をこなすための技術であると同時に、自分自身の見方を変えるための技術でもあります。それは、仕事を「こなす」側から、問いを立てて現実を動かす側に変わるための技術だからです。

    だからこそ、私はこれからも、自分の問いを深め続けたいと思っています。


    おわりに

    仕事が変わるとは、肩書きが変わることではありません。

    自分が日々どんな問いを持っているかが変わること。
    そして、その問いによって、見える世界と取る行動が変わること。

    私にとって、SIerからコンサルへの転職とは、まさにその変化でした。コンサルに転職して、私が得たものは、前よりも高い給料だけではありません。

    それ以上に大きかったのは、仕事を通じて「人としてどう成長するか」という問いに向き合うようになったことです。

    仕事は、単に成果を出すための場ではありません。自分がどんな問いを持ち、どんな心で人と向き合い、どのように変わっていくのか。その意味では、仕事は人が成長するための最も厳しく、最も豊かな修行の場なのかもしれません。

    このnoteが、かつての私のように、現場で伸び悩みながらも変わりたいと思っている人にとって、小さな手がかりになることを願っています。

    そして、私と同じように、仕事を通じて「人として成長する」という問いを持つ人と出会えたら、こんなに嬉しいことはありません。


    ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

    このnoteでは、「仕事の見方を深める」マガジンとして、会議、論点、内省、一次情報、示唆、成長など、日々の仕事を少し深く見るための記事をまとめています。

    会議で人が動かない。
    論点が定まらない。
    相手の意思決定が前に進まない。
    頑張っているのに成長している実感がない。

    このような、私が特に20代・30代の頃に知っておきたかったことを整理しています。

    仕事の見方が変わると、見える人間関係も、見える現実も、自分の経験の意味も少し変わる。

    その積み重ねが、人生の見方を深めることにもつながるのではないかと思っています。

    仕事の見方を少しずつ深めたい方は、フォローして次の記事も読んでいただけると嬉しいです。


    <あわせて読みたい記事>

    いまの仕事で「頑張っているのに、なぜか前に進まない」と感じている方は、まずこの3本から読んでみてください。

    ■ 会議をしているのに、人が動かない方へ

    ■ 論理的に考えているのに、浅いと言われる方へ

    ■ 現場に行っているのに、何も持ち帰れていない方へ

     
     
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