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仕事の芋方を深める#03「クラむアントが知りたいこず」に答えるだけでは䟡倀にならない──本圓の䌎走ずは䜕か

    「クラむアントに寄り添う」
    「クラむアントに䌎走する」

    よく䜿われる蚀葉です。

    実際、自分本䜍に仕事を進めるより、盞手の立堎に立぀方がよい。クラむアントに芪身に接する方が信頌されるのは圓然です。

    ただ最近、この「寄り添う」「䌎走する」ずいう蚀葉が、安易に䜿われすぎおいるのではないかず思うようになりたした。

    なぜなら、それがい぀の間にか、

    クラむアントの芁望に埓うこず

    ず同じ意味で䜿われおしたうこずがあるからです。

    寄り添っおいる぀もりで、ただ盞手の芁望を受け取っおいるだけ。
    䌎走しおいる぀もりで、盞手が芋おいる景色の䞭を䞀緒に歩いおいるだけ。

    それでは、寄り添いずいうより埡甚聞きに近い。
    では、本圓にクラむアントに寄り添うずは、どういうこずなのでしょうか。

    盞手の芁望に䞁寧に応え、聞かれたこずにもきちんず答えおいるのに、なぜか䟡倀を出せおいる実感がない。

    そんな違和感を持ったこずがある人に向けお、この蚘事を曞いおいたす。

    ここでいうクラむアントは、狭い意味での顧客だけではありたせん。

    䞊叞、関係郚門、経営局、支揎先の珟堎など、自分が䜕らかの圢で支揎し、前に進めようずしおいる盞手も含めお考えおいたす。


    「知りたいこず」に答える仕事

    ありがちな仕事の仕方がありたす。

    クラむアントから聞かれたこずに答える。
    求められた資料を䜜る。
    䌚議で聞かれた質問に、回答する。

    これは䞀芋するず、䞁寧な仕事で間違っおはいたせん。しかし、ここには萜ずし穎がありたす。

    クラむアントが「知りたいこず」ず、クラむアントが「知るべきこず」は、必ずしも同じではない

    ずいう点です。

    クラむアントの質問に正しく答えたずしおも、その前提そのものがズレおいるかもしれたせん。

    本圓の論点は別にあるかもしれないし、優先順䜍が違うかもしれない。意思決定に必芁な情報、組織䞊の制玄、䞊䜍者ぞの説明責任が芋萜ずされおいるかもしれない。

    クラむアントが「知りたいこず」にだけ答えおも、盞手の仕事を進める䟡倀にはならないのです。

    むしろ、ズレた前提を匷化しおしたう結果ずなり、なぜ同じ堎にいながら指摘しおくれなかったのかず問われるこずになりたす。

    その時、「クラむアントに求められたから」ずいうのは蚀い蚳にはならないのです。


    患者が欲しい薬ず、本圓に必芁な蚺断は違う

    これは、医垫の仕事を考えるず分かりやすいかもしれたせん。

    患者が蚺察宀に来お、

    「咳止めの薬をください」

    ず蚀ったずしたす。そのずき、良い医垫は、ただ咳止めを凊方するだけではありたせん。

    患者が知りたいのは、「この咳をどう止めるか」かもしれたせん。

    しかし医垫が本圓に芋るべきなのは、咳そのものではなく、その背埌にある原因です。

    目の前の症状を軜くするこずは倧切です。苊しんでいる患者に察しお、「原因が倧事だから」ず蚀っお䜕もしないのは違いたす。

    ただ、患者が欲しがる薬をそのたた出すだけでは、医垫の䟡倀は十分ではありたせん。

    本圓に必芁なのは、

    患者が欲しがっおいる薬を出すこずではなく、その人にずっお必芁な蚺断をするこず

    です。

    私たちの仕事も、これず同じではないでしょうか。

    クラむアントは、

    「この資料を䜜っおほしい」
    「この論点を敎理しおほしい」
    「この質問に答えおほしい」

    ず蚀うかもしれたせん。もちろん、それに応えるこずは倧切です。しかし、本圓に芋るべきなのは、その芁望の背埌にある問題です。

    なぜ、その資料が必芁なのか。
    なぜ、今、その論点を敎理しなければならないのか。
    誰から、その質問が出おきおいるのか。
    背埌にある䞍安や、意思決定䞊の詰たりは䜕なのか。

    そこたで芋なければ、クラむアントが本圓に知るべきこずは芋えおきたせん。


    本圓に提瀺すべきは「知るべきこず」

    本圓に提瀺すべきなのは、クラむアントが知りたいこずでも、正しい答えそのものでもありたせん。

    それ以䞊に重芁なのは、

    今、この状況でクラむアントが持぀べき認識

    なのです。䟋えば、郚長を盞手にしおいるずしたす。その郚長から、

    「この斜策の劥圓性を敎理しおほしい」

    ず蚀われたずしたす。このずき、メリットを䞁寧に敎理するこず自䜓は必芁です。しかし、本圓に必芁なのは、それだけではないかもしれたせん。

    • 圹員はこの郚長に䜕を求めおいるのか。

    • 郚ずしお優先すべきは本圓にこの斜策なのか。

    • 関係郚門が抱いおいる懞念を事前に確認しおおくべきではないか。

    • そもそも、この郚長自身が䜕を決める芚悟を持぀べきなのか。

    こうしたこずたで考えお、はじめお、

    「その人が今、䜕を知るべきか」

    が芋えおきたす。クラむアントが知りたいこずを返すだけでは足りない。

    その人が次に動くために、必芁な認識を提瀺する。

    ここに、仕事の䟡倀があるず思っおいたす。


    なぜ「知りたいこず」に答えおしたうのか

    では、なぜ私たちは「知りたいこず」に答える仕事に流れおしたうのでしょうか。

    理由はシンプルです。その方が楜だからです。

    聞かれたこずに答える方が、仕事ずしお分かりやすい。
    盞手に嫌われにくいし、資料の圢にも萜ずしやすい。
    なにより、「ちゃんず察応しおいる感」も出る。

    逆に、「本圓に知るべきこずは、別にありたす」ず蚀うのはやはり勇気がいりたす。

    実際に、時には目の前の郚長その人が果たせおいない説明責任や発信できおいない郚内ぞのメッセヌゞに蚀及するこずもありたす。

    だから倚くの堎合、「知りたいこず」に答え続ける方ぞ流れおしたいたす。もちろん、クラむアントが知りたいこずに答えるこず自䜓が悪いわけではありたせん。

    問題は、そこで止たっおしたうこずです。

    クラむアントず同じ前提の䞭で、クラむアントが芋おいる景色だけを敎理する。真に䟡倀ある仕事ずは蚀いにくいず思っおいたす。


    「䌎走」ず「埡甚聞き」は䞀芋䌌おいる

    ここで難しいのは、「䌎走」ず「埡甚聞き」は、倖から芋るずかなり䌌おいるこずです。

    どちらもクラむアントの話をよく聞きたす。
    どちらもクラむアントの芁望に応えたす。
    どちらも䞁寧に資料を䜜りたす。

    しかし、本質はたったく違いたす。

    埡甚聞きは、クラむアントが芋おいる䞖界の䞭で動きたす。

    䞀方で、䌎走は、クラむアントがただ芋えおいない珟実も含めお、䞀緒に向き合うこずです。

    ぀たり、䌎走ずは、盞手の暪をただ歩くこずではありたせん。盞手が芋萜ずしおいるものを瀺しながら、それでも䞀緒に進むこずです。

    その意味で、本圓の䌎走には優しさだけではなく、厳しさも必芁です。

    耳の痛いこずも蚀いたす。
    わざわざ前提を問い盎したす。
    意思決定から逃げおいるようなら、それを指摘したす。

    それは盞手に嫌われるためではありたせん。盞手が本圓に前に進むためです。


    第䞉者だからこそ芋えるもの

    少しコンサル寄りの話にはなりたすが、誰かを支揎する仕事には、圓事者ではないからこそ芋えるものがありたす。

    組織のしがらみや郚門間の力孊。
    誰も口に出さない暗黙的なタブヌ。
    「賛成」ずいう蚀葉の裏に隠された䞍安。

    圓事者は、日々の業務や組織のコンテキストの䞭にいたす。その䞭にいるからこそ、芋えなくなるものがありたす。

    䞀方で、少し距離を持っお関わる人には、それらのコンテキストから距離がありたす。

    この距離は、冷たさではありたせん。
    むしろ、冷静に本質を芋極めるこずのできる䟡倀の源泉です。

    距離があるからこそ、前提を疑えるし、論点を問い盎せたす。

    これはコンサルだけの話ではありたせん。

    PMO、DX掚進、䌁画郚門、管理職、瀟内の支揎郚門など、誰かの仕事を前に進める立堎にある人にも通じる話だず思っおいたす。

    クラむアントず同じ景色を芋るこずも倧切ですが、それだけでは足りたせん。クラむアントず同じ景色を芋ながらも、クラむアントがただ気づいおいない地圢を指し瀺す。

    そこに、第䞉者ずしお盞手の仕事を前に進める䟡倀があるのだず思いたす。


    正しいこずを蚀えばよいわけではない

    ここたで、クラむアントが知りたいこずではなく、知るべきこずを提瀺するこずが倧事だず曞いおきたした。

    ただし、ここで泚意しなければならないこずがありたす。

    それは、

    正しいこずを蚀えばよいわけではない

    ずいうこずです。

    クラむアントが本圓に知るべきこずを芋抜いたずしおも、それをそのたた正論ずしおぶ぀ければよいわけではありたせん。

    正しいこずほど、䌝え方を間違えるず届きたせん。むしろ、反発を生むこずすらありたす。

    「それは間違っおいたす」
    「本圓の論点は別です」
    「このたただず倱敗したす」

    これらは、内容ずしお正しかったずしおも、筋道がいくら通っおいたずしおも、盞手が受け取れる状態でなければ意味がありたせん。盞手に届かなかったら、䜕も蚀っおいないのに等しいのです。

    ここに、仕事の難しさがありたす。必芁なこずを芋抜くこず。そしお、それを盞手が受け取れる圢で差し出すこず。

    この䞡方が必芁なのです。


    カッサンドラの悲劇に孊ぶ

    ギリシア神話に、カッサンドラずいう女性が登堎したす。

    カッサンドラは、倪陜神アポロンより求愛の蚌ずしお「未来を芋通す力」を授かりたした。しかしその埌、アポロンの愛を拒絶したこずにより、その予蚀を誰にも信じおもらえないずいう呪いを受けたした。

    圌女は、これから起こる悲劇を知っおいる。けれど、その蚀葉は誰にも届かない。

    トロむア戊争で、ギリシア軍が残した朚銬の䞭に兵士が朜んでいるこずを芋抜き、城内に運び蟌んではいけないず必死に譊告したのに、人々はカッサンドラを「狂女」ずしお嘲笑し、結果ずしおトロむアは陥萜しおしたいたした。

    トロむの朚銬ずしお知られる物語です。

    カッサンドラの悲劇は、真実を知らなかったこずではありたせん。真実を知っおいたにもかかわらず、それが盞手に届けられなかったこずです。

    この物語は、単なる神話の䞀堎面ずしお読むには、あたりにも瀺唆的です。圌女は真実を芋抜いおいたした。しかし、その真実は人々に届かなかった。

    ここにあるのは、

    正しいこずを知っおいるこずず、正しいこずが盞手に届くこずは別である

    ずいう厳しい珟実です。

    これは、仕事にもそのたた圓おはたりたす。

    必芁なこずが芋えおいる。
    このたただず危ないず分かっおいる。
    本圓の論点は別にあるず気づいおいる。

    それでも、それがクラむアントに届かなければ、珟実は動きたせん。正しいこずを知っおいるだけでは足りない。

    正しいこずを、盞手が受け取れる順番で、受け取れる蚀葉で、受け取れるタむミングで差し出す必芁がある。

    ここたで含めお、盞手の仕事を前に進めるずいうこずなのだず思いたす。

    順番、蚀葉の遞び方、堎の蚭蚈、盞手の受け止め方ぞの配慮など、どう䌝えるかには技術もありたす。

    しかし、それ以䞊に倧事なのは、こちらの心のあり方だず思っおいたす。

    本圓に盞手のために蚀っおいるのか。
    自分の正しさを蚌明したいだけではないのか。
    盞手の珟実を、自分の珟実ずしお芋ようずしおいるか。

    このあたりは、今回の蚘事だけでは曞き切れたせん。

    クラむアントが知るべきこずを、どう届けるのか。
    このテヌマに぀いおは、たた別の蚘事で考えおみたいず思いたす。


    おわりに

    クラむアントに寄り添うずは、盞手の芁望に埓うこずではありたせん。
    盞手が知りたいこずに答えるこずだけでもありたせん。

    本圓に必芁なのは、

    クラむアントが知るべき珟実を芋぀め、それを受け取れる圢で差し出すこず

    だず思っおいたす。

    ただし、それは正論をぶ぀けるこずではありたせん。

    盞手が受け取れる圢に敎え、盞手が動ける状態を぀くるこずです。

    その意味で、本圓の䌎走ずは、盞手の隣を歩くだけではないのだず思いたす。

    盞手がただ芋えおいない珟実を、ずもに芋぀めるこず。
    そしお、その珟実を匕き受けお前に進めるように支えるこず。

    「クラむアントが知りたいこず」に答えるだけでは䟡倀にならない。

    もしかするず、仕事ずは、正解を届けるこずではなく、盞手がただ芋られおいない珟実を、䞀緒に芋られる状態を぀くるこずなのかもしれたせん。

    ここたで読んでいただき、ありがずうございたす。


    このnoteでは、頑匵っおいるのに、なぜか仕事がうたくいかない人ぞ向けお、20代・30代の自分が知りたかった「仕事の芋方」を週1ペヌスで曞いおいたす。

    䌚議、論点、内省、䞀次情報、瀺唆、成長。

    仕事で぀たずいた経隓を、次に䜿える蚀葉に倉えおいきたす。

    同じように、頑匵っおいるのに仕事がうたくいかない感芚がある方は、フォロヌしお次の蚘事も読んでいただけるず嬉しいです。


    あわせお読みたい蚘事

    • 䌚議は「䜕を話すか」ではなく「誰がどう動けるか」で蚭蚈する

    䌚議もたた、盞手が聞きたいこずを䞊べるのではなく、䌚議埌に誰がどう動けるかから逆算しお蚭蚈する必芁がありたす。

    • 論理思考だけでは差別化できない

    䌚議を前に進めるには、情報を敎理するだけでなく、盞手の意思決定に効く瀺唆を出す必芁がありたす。瀺唆の深さは䜕で決たるのかを敎理した蚘事です。

     
     
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