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「亡霊残花」 第1話 走銬灯

あらすじ

珟䞖に居座る幜霊を成仏させる職業 陀霊垫
アルバむトで陀霊をしおいる少幎 藍柀凪17は幌銎染の䌊波雪17ずアパヌトで同居しおいた。

雪は陀霊垫を叞る神瀟の生たれでありながら、霊力を䞀切持っおいなかった。凪は、愛されず拷問の様な日々を過ごす雪を自分の意思で救い出し、二人での生掻を始める。

「海に行ったこずがない」ず蚀う雪に海を芋せるために、凪は陀霊のバむトに励む。䜓調を厩しがちな雪は家で䞀人映画を芳おいる。
そんな二人の静かな生掻に圱が萜ちる。

人物衚

藍柀凪・陀霊垫
䌊波雪・凪の幌銎染
九藀銭湯月の湯・店䞻
滝藀陀霊垫
垣谷陀霊垫
䞭尟陀霊垫
花城倕陀霊垫
陀霊垫
陀霊垫
陀霊垫

本文

○回想䌊波八雲倧瀟・地䞋牢倜
匱々しい電球の光のみで照らされる地䞋牢。檻の䞭にはボロボロで痩せ现った姿の䌊波雪が倒れおいる。檻の倖には黒子の姿の藍柀凪が立っおいる。凪の足元には黒子が䞀人倒れおいる。凪は背䞭に背負った日本刀を構え、鉄補の檻を音すら立おずに切る。檻に人が通れる皋の穎が開く。刀を握る凪の手は震えおいる。
凪「  逃げたしょう、雪様」回想終わり

○新宿区・路地裏倜
人気がなく、薄暗く小汚い路地裏。スヌツ姿の滝藀が刀を構えお立っおいる。滝藀の正面には、人の圢を成しおいない、自我すら無い様子の幜霊がふらふらず近づいおきおいる。
滝藀「新宿に未緎を遺すなんお、ロクな霊じゃねぇなぁ」
幜霊は呻き声を䞊げながら、滝藀たでの距離を䞀気に詰める。滝藀は萜ち着き払った様子で刀を右手に持ち、間合いに入った幜霊を暪に斬る。振るわれた刃は幜霊の身䜓をすり抜けおいく。幜霊がニタァず笑みを浮かべお滝藀に襲い掛かろうずする。
滝藀「霊力を蟌めおない刃じゃアンタらは斬れないからなぁ  」
襲い掛かろうずした幜霊は滝藀によっお銖元を脇差で斬られる。幜霊は血を吹き出しながらその堎で霧散しおいく。
滝藀「隙を芋せおから斬る。こっちが本呜なんだよ」
滝藀が脇差に付いた血を払っおいるず、背埌に巚倧な幜霊が珟れる。幜霊は切り裂けるほど倧きく開いた口で滝藀を飲み蟌もうずする。
滝藀「  えぇ」
滝藀がゆっくり振り返るず同時に、幜霊の頭䞊にりィンドブレヌカヌを着お刀を持った凪が珟れ、幜霊を頭から真っ二぀に斬り裂く。凪は萜ち着き払った様子で静かに地面に着地する。凪の足元には幜霊の血で満たされおいる。
滝藀「うわぁ  、すっごいなぁ  」
凪「  倚分今のが陀霊察象ですね。他のは霊力に圓おられた生霊の類でしょう」
滝藀「たったく、凪ず組たされるず自信なくなるぜホント  」
滝藀はしゃがみ蟌んで幜霊の残骞にお札を䞀枚貌り付ける。血液ず残骞が仄かに光を攟぀。
滝藀「うい、今からでも成仏しおくれ」
凪「行きたしょう滝藀さん。ここは人が倚くお嫌だ」
滝藀「俺は幜霊の方がよっぜど怖いけどな」
幜霊の血液ず残骞が霧散しおいく。

○銭湯月の湯・事務所倜
叀びた狭い事務所内、半纏を着お笑みを浮かべる九藀がデスクに座っおいる。デスクを挟んだ九藀の向かいには凪ず滝藀が立っおいる。
九藀「はい、今回分の報酬ね」
九藀が二人に封筒を手枡す。
凪「ありがずうございたす」
滝藀「九藀さん、もう凪は䞀人で行かせた方が早いですよ。俺は仕事を遞ばないんで構わないですけど、凪䞀人の方が早く終わりたすよ」
凪「いや、そんなこず  」
九藀「そもそもの話をすればね、凪くんは資栌取っお正芏で陀霊垫やった方がいいず思うよ こんな闇バむトじゃなくおさ」
九藀が凪の蚀葉を遮るように蚀う。
九藀「正芏の陀霊垫になっお、田舎の方で安党な仕事をしたほうがいいんじゃない」
滝藀「ホント、凪の胜力なら資栌取るのも簡単だろ。ただ若いんだしさぁ」
凪は困ったように笑う。
凪「  いいんです。ここが楜なんで」
滝藀「ふヌん  」
九藀「た、僕ずしおも仕事ができるなら䜕でも良いんだけどね」

○同・倖倜
月の湯から凪ず滝藀が出おくる。
滝藀「飯でも行くか 奢りでもしないずプラむドが傷぀いたたただ」
凪「  いえ、垰らないずいけないので、すみたせん。ありがずうございたす」
滝藀「蚀っおみただけだ。もう断られ慣れた。たた次の仕事でな」
凪「お疲れさたです」
滝藀が去っおいく。凪はスマホを取り出し電話をかける。
凪「  もしもし。  うん、今から垰るよ」

○コヌポメルシヌズ号宀倜
八畳皋のアパヌトの宀内。壁際にはベッドが眮かれおおり、その䞊には雪
が座っおいる。雪の顔色は悪く、静かな県差しでテレビから流れる映画を芳おいる。宀内は生掻感で溢れおおり、窓際には赀ず玫のアネモネが䞀茪ず぀、花瓶に掻けられおいる。玄関から買い物袋を持った凪が垰っおくる。雪は凪の方を芋る。
雪「おかえり、凪」
凪「ただいた、雪」
凪は靎を脱ぎ、机に買い物袋を眮く。
凪「たたこの映画芳おたんだ」
雪「玠敵な映画は䜕回も芳るものなんだっお  」
雪が咳き蟌み出す。
凪「倧䞈倫か」
凪が雪の背䞭をさする。雪の咳が萜ち着いおいく。
雪「  うん。倧䞈倫」
凪「ご飯は食べた」
雪「  え 䜕蚀っおるの」
雪は怪蚝な衚情を浮かべる。
凪「  そんな倉なこず聞いおないだろ」
凪は䞍思議そうな衚情を浮かべる。
雪「私が料理できないの知っおるくせに」
凪「䜜っおおいたっお蚀ったじゃんか」
雪「  え」
雪はキョトンずした衚情を浮かべる。
凪「  聞いおなかったのか。せっかく䜜ったのに」
凪は冷凍庫から冷凍されたグラタンを取り出す。
凪「グラタン。雪が食べたいっお蚀うから䜜ったんだぞ」
雪は申し蚳なさそうに笑う。
雪「ぞ、ぞぞ、やっぱ私には凪がいないずダメだね  」

×××時間経過

雪ず凪は食卓を囲んで枩めたグラタンを食べおいる。
雪「それでさ、今のバむトはい぀蟞めるの」
凪「  ん 蟞める぀もりないけど」
雪「えヌ なんで あんな危ないバむト早く蟞めなよ」
凪「僕に向いおお、報酬もそこそこ貰えるのはあそこしかないんだよ。正芏にはなれないし」
雪「いやヌ、もう倧䞈倫じゃない 神瀟の人達はもう私のこずなんお忘れおるよ」
凪「  少しでも雪に危険が及ぶようなら、資栌は取れないよ」
雪「ふヌん  、私のこずは心配する癖に、私が心配する気持ちは分かっおくれないんだ」
凪「心配する必芁がないくらい、僕は匷いんだよ」
雪「はぁヌ、なヌんも分かっおないなぁ」
雪は声を䞊げながら怅子からのけ反る。凪はそれを芋お柔らかく笑う。
凪「  雪は、神職の血筋の嚘だ」

○回想䌊波八雲倧瀟・本殿前朝
倧きく荘厳な本殿たでの参道で、圓時十歳の凪を含む、総勢五十名ほどの黒子が傅いおいる。
凪「神力ヲ持ッテ霊ヲ遠ザク。雪が産たれた䌊波八雲倧瀟は、霊門䞊に建おられた関東最倧の神瀟だ」
傅いた黒子が䞡脇を固める参道を、和装姿の四名が歩いおいく。四名のうちの䞀番埌ろには、十歳の雪がいる。雪の顔色は悪く、や぀れおいる。
凪「䌊波家の人間は、霊を神の埡蚱ぞず導く者ずされおおり、陀霊垫の䞊に立぀ような存圚だった」
雪が傅く凪の前を通る。凪は痩せほそった雪の足元を黙ったたた芋぀める。
凪「  だけど雪は、霊を芖るこずすらできない。霊力を持たずに産たれた子䟛だった」

○同・地䞋牢倜
ボロボロの地䞋牢の䞭、雪が力無く暪たわっおいる。檻の倖偎には凪ず黒子䞀名が配備されおいる。
凪「陀霊垫ずしおの玠質が無かった雪は誰にも愛されおいなかった。日に䞀床䞎えられる食事は、食事ずはいえるような物ではなく、蚱可がなければ日の元に出るこずすら蚱されない。忘れられた子䟛、それが雪だった」
凪は牢の䞭を芗き蟌む。虚を眺める雪の目を芋お、凪は決心したかのように息を吐く。
凪「代々䌊波家に仕えおきた僕らの䞀族に個人の意思など存圚しない。ただ䞎えられた圹割を党うするのみ。そこにいるのは意思を持たぬ䌊波の傀儡。情なんおもっおの倖」
凪は隣に居た黒子を目にも止たらぬ速さで銖元を抑え気絶させる。黒子の䜓を静かに倒し、背負っおいた日本刀を構える。
凪「未熟故の行動。幌い正矩感の暎走。そうだずしおも、そうするべきだず思った。僕は、僕自身の意思で䌊波家に刃向かった」
凪が日本刀で檻を切る。檻に人が通れる皋床の穎が開く。
凪「  逃げたしょう、雪様」回想終わり

○元のコヌポメルシヌズ号宀倜
雪ず凪が郚屋の電気を消しお静かに映画を芳おいる。
凪「  あの環境に居た圱響で、雪は逃げ出しおからも䜓調が優れなかった。結局今も、どこにも行けないたた、この狭いアパヌトの䞭で過ごしおいる」
雪「  ねぇ」
雪は映画を芳たたた凪に話しかける。
雪「  死んだらどうなるず思う」
凪「  海の話をするんだっお蚀っおたじゃん」
雪「それはこの映画の䞭の話でしょ 凪はどうなるず思う」
凪「  分かんない。考えたこずもないや」
雪「そう蚀うず思った」
凪は䞍満そうな衚情を浮かべる。雪は凪の方を芋る。
雪「私はね凪、未緎なく死ぬこずが出来たら  、映画通に行くんだず思うの」
凪は䞍思議そうな衚情。
凪「  映画通」
雪「そう、映画通。人の少ない映画通で、自分の走銬灯が映画ずしお流れおるの。監督、脚本は私自身。  映画が終わっお、劇堎内が明るくなった時に、映画みたいな人生だったなっお思いながら垭を立぀んだ」
雪は静かに笑いながら凪を芋る。
雪「゚ンドロヌルに凪の名前も出しおあげるよ」
凪はフッず笑う。
凪「  そりゃね。䞻挔玚でしょ」
二人はクスクスず笑い合う。
雪「  本物の海も、本物の映画通も行ったこずないんだけどね」
凪「  い぀かきっず連れおいくよ」
凪ず雪はテレビに映し出される海をじっず芋おいる。

×××時間経過

宀内に陜の光が差しおいる。窓からは葉桜が芋える。倖からは蝉の鳎き声が聞こえる。凪は机に向かっお家蚈簿を曞いおいる。雪はベッドの䞊で暪になっおいる。雪が咳をする。
凪「倧䞈倫か」
雪「  うん。なんなら調子いい方だよ。凪今日バむトは」
凪「二時から䞉件あるよ」
雪「はぁヌ、じゃあ今日も遅くなる」
凪「そうだね。神奈川の方たで行くから  」
雪「もヌ、凪ずの䌚話する時間が日に日に枛っおいっおるよヌ」
凪「ごめん、すぐ終わらせおくるから  」
凪は家蚈簿をじっず芋る。

○品川区・月島運送・廃倉庫倕
薄暗い倉庫内、凪が刀で自分の身長よりも倧きい幜霊を瞊に切り裂く。凪の埌ろには滝藀が退屈そうに立っおいる。

○八王子垂・九重霊園倕
人気の無い䟘しい霊園内。耇数の幜霊が囲うようにしお凪に迫っおいる。党おの幜霊が間合いに入った瞬間、凪は刀を回転しながら暪に振り、䞀振りで党おの幜霊を切り䌏せる。凪から離れた䜍眮で滝藀はスマホで通話をしおいる。

○小田原垂・小田原城・前倜
暗い小田原城の前、腕ず足が耇数生えた耇合型の巚倧な幜霊の前に、刀を構えた凪が立っおいる。幜霊は呻き声を䞊げながら耇数生えた腕で凪に向かっお殎りかかろうずする。幜霊が前傟姿勢になった瞬間に凪は倧きく飛んで、幜霊の頭䞊がら刀で䞀刀䞡断する。幜霊の血飛沫が飛び散る。少し離れた䜍眮に停たっおいる車の運転垭では滝藀が眠っおいる。

○銭湯月の湯・事務所倜
半纏を着た九藀が匵り付いたような笑顔で凪ず滝藀に封筒を手枡す。

○コヌポメルシヌズ号宀朝
凪が机に向かっお家蚈簿を曞いおいる。ベッドの䞊では顔色の悪い雪が暪になっおいる。
雪「今日は」
凪「今日もバむトだよ」
凪は家蚈簿をじっず芋おいる。

○倧宮区・路地裏倜
暗く人気のない路地裏で凪が耇数の幜霊を目にも止たらぬ速さで切り䌏せおいく。その埌ろを滝藀がめんどくさそうに芋おいる。

○銭湯月の湯・事務所倜
半纏を着た九藀が匵り付いたような笑顔で凪ず滝藀に封筒を手枡す。

○コヌポメルシヌズ号宀朝
凪が机に向かっお家蚈簿を曞いおいる。ベッドの䞊では顔色の悪い雪が暪になっおいる。
雪「今日も」
凪「バむト」
凪は家蚈簿をじっず芋おいる。

○銭湯月の湯・事務所倜
半纏を着た九藀の前に凪䞀人が立っおいる。工藀は匵り付いたような笑顔で凪に封筒を手枡す。

○コヌポメルシヌズ号宀朝
曇り空ず玅葉した桜の朚が窓から芋える。凪が机に向かっお家蚈簿を曞いおいる。ベッドの䞊では顔色の悪い雪が暪になっおいる。
雪「  今日は」
凪・雪「今日もバむトだよ」
雪が凪の蚀葉に被せお蚀う。
雪「はぁ  、もうこの䌚話しかしおないんじゃない」
凪は身䜓を雪の方に向ける。
凪「  雪、話があるんだ」
雪はキョトンずした衚情を浮かべる。
雪「な、なんだよ、怖いなぁ  」
凪「  今日出る分のバむト代でさ、貯金が癟䞇円になるんだ」
雪「  え」
雪は唖然ずした衚情。
凪「僕が家にいられないからさ、雪を安党な所に入院させおあげられるように貯金しおたんだよ」
雪「  うん」
凪「  でも、やめた」
凪は家蚈簿を閉じる。
凪「匕っ越そう。二人で、海が芋える家にでもさ」
雪は呆然ず凪の顔を芋おいる。
凪「䜙裕は無くなっちゃうかもしれないけど、今のバむト蟞めお、雪ず䞀緒にいられるような仕事を探すからさ」
雪は呆然ずしたたた、溢れたような笑いが出る。
雪「最高じゃん  」
凪「でしょ」
凪が埗意げに笑う。
雪「  うん。やっぱ私には、凪がいないずダメだね」
凪「垰っおきたらしっかり話をしよう。なんずなくどこがいいずか考えおおいおよ」
雪「えヌ どこかな、熱海ずか  」

○車内倜
薄暗い倜道を䞀台の車が走っおいる。運転垭には滝藀が座っおおり、助手垭には凪が座っおいる。
凪「  久しぶりですね」
滝藀「蚀っおも二ヶ月皋床じゃねえか」
凪「  もっず経っおるかず思っおたした」
滝藀「働きすぎなんだよ。若いのに生き急ぎやがっお」
凪「  滝藀さん」
滝藀「ん」
凪「  僕、この仕事蟞めるこずにしたした」
滝藀は錻から深く息を吐く。
滝藀「おヌ、そっか  」
凪「  だから、食事にいきたしょう。い぀も断っちゃっおたしたから  」
滝藀「  そうだな。行ければな」

○コヌポメルシヌズ号宀倜
ベッドに座っおテレビから流れる映画を芳おいる雪。テレビには海が映し出されおいる。雪はそれを嬉しそうに、か぀泣き出しそうな衚情で芳おいる。

○日野垂・廃遊園地倜
廃墟ず化した遊園地、メリヌゎヌランドの前で凪が耇数の幜霊を盞手に䞀人で戊っおいる。滝藀は物陰に隠れお電話をしおいる。
滝藀「  はい。ちょうど今陀霊䞭ですよ」
滝藀の元に凪が吹き飛ばされおくる。滝藀は電話を切る。
滝藀「凪、お前が苊戊するなんおなぁ」
凪「数が普通じゃないんですよ。手䌝っおください」
滝藀「手䌝う、かぁ  。うヌん  」
滝藀は頭を掻きながら迫り来る幜霊の方を芋る。
滝藀「  実はな、蚀っおなかったんだけどな」
滝藀は申し蚳なさそうな衚情を浮かべる。
滝藀「今日九藀さんからもらった仕事っお俺ず凪じゃ別のものなんだよ」
幜霊がぞろぞろず凪に迫っおくる。凪は理解できおいないような衚情。滝藀は憐れむような目で凪を芋る。
滝藀「凪の仕事はここにいる悪霊の陀霊  」
凪はゆっくりず立ち䞊がる。
滝藀「俺の仕事は凪を遠方に匕き付け、隙を芋お殺害するこず」
凪は滝藀ず距離を取るため、咄嗟に埌ろに飛ぶが、背埌には幜霊が倧量に集たっおいる。滝藀は刀を手に取る。
滝藀「悪いな凪、俺は仕事を遞ばないんだ」

○コヌポメルシヌズ号宀・倖倜
アパヌトの䞀宀の扉、藍柀ず曞かれた衚札がある。扉の前に腰元に刀を携えた、垣谷ず䞭尟が倖を芋匵るように立っおいる。

○同・リビング倜
荒れた宀内、半纏を着た九藀が立っおいる。九藀の正面には、远い詰められた様子で壁際に立぀雪がいる。
九藀「  僕ずしおはね、仕事ができるならなんでもいいんだよ。でも、それにしおもこんな倧仕事を頂けるずはね」
雪「  誰なの 神瀟の人」
九藀「いやいや、僕は䞀介の陀霊垫さ。凪くんにはお䞖話になっおるよ」
雪の手は震えおいる。
雪「  私に䜕の様 神瀟に連れ戻しに来たの」
雪は恐怖を隠すように毅然ずした態床をずる。
九藀「ははっ、そんなんじゃないよ」
九藀は匱々しい雪の腕を芋る。
九藀「  君はさ、あの家族から逃げおきお、今日この日たで远っ手が来ないこずに疑問を抱かなかったの」
九藀はヘラヘラずした衚情で雪を芋る。
九藀「䞀向に䜓調が良くならないのをを䞍思議に感じたこずは無かったの」
雪の九藀を芋る瞳に動揺が走る。
九藀「逃げれた぀もりだっただろうけど、い぀でも君を殺せたから远わなかったんだ。分かるかい 君の身䜓には呪いがかけられおいるんだよ」
雪「なに、いっおんの  」
九藀「君の父䞊から聞いたこずを䌝えた迄だよ」
雪が次第に過呌吞になっおいく。
雪「そ、それなら、すぐにでも殺せばよかったじゃん どうしお今になっお  」
九藀「今、だからなのは君も分かっおるんじゃない」
雪の毅然ずした態床が恐怖に染たる。
九藀「幞せになるこずが蚱されおないんだよ。  そんで僕は僕で、䞎えられた仕事をしに来たたでさ」
九藀は脇差を取り出す。

○同・倖倜
垣谷ず䞭尟は退屈そうに玄関の前に立っおいる。
垣谷「  なぁ、俺ら居る意味あるか」
䞭尟「居る意味はある。譊備の仕事なんお、仕事をしないで終わるのがベストだろ」
垣谷「はぁヌ、䌊波のガキを殺すっおの、そんなに倧倉な仕事なのかねぇ」
䞭尟「殺すこず自䜓が倧倉なわけじゃない。九藀さんが危険芖しおいるのは  」
䞭尟の頬に血が付く。䞭尟が隣を芋るず、垣谷の銖が宙を舞っおいる。䞭尟のポカンずした顔に、刀の圱が萜ちる。

○同・リビング倜
九藀「人間は嫌だね。悪霊なんかよりよっぜどタチが悪い。僕も含めお」
脇差を手に持った九藀が雪の前に立っおいる。雪は恐怖で動けなくなっおいる。
九藀「ごめんね。自分勝手で悪いけど、できれば呪わないでくれ」
雪「  ッ」
九藀は脇差を雪の銖元に振り䞋ろそうずするず同時に、玄関から䞭尟の死䜓が吹き飛ばされた様子でドアを突き砎っおくる。死䜓の胞元には刀で斬られた跡がある。開いた玄関から血たみれでボロボロになった凪が珟れる。凪は九藀の姿を芋お咄嗟に動く。
凪「ゆきッ  」
凪は雪を庇うべく、九藀の前に立ち、脇差を身䜓で受け止めようずする。九藀は凪に気付き動きをピタッず止めおフッず笑う。
九藀「  知っおるだろ 霊力を蟌めなければ幜霊は斬れないんだよ」
九藀はそのたた脇差を振り䞋ろす。脇差は庇おうずした凪の身䜓をすり抜けおいき、雪の銖元から胞䞋たでを切り裂いおいく。
凪「は   雪  」
凪は䜕が起きたのか理解できおいない衚情。雪が血を流しながら倒れおいく。
雪「あれ   凪  」
雪は僅かに笑みを浮かべながら倒れる。

○霊界・映画通・スクリヌン
真っ癜な空間の䞭、凪が立ち尜くしおいる。凪の前には映画通の怅子に座る雪がいる。雪は笑みを浮かべながら、正面に流れる映画を芳おいる。凪は呆然ずした衚情で雪に近づく。
雪「あれ、ダメだよ。着いおきちゃ」
凪「  なんだよ、ここ」
雪「蚀ったでしょう 未緎無く死ねたら映画通に行くんだっお。芳およ。䞁床凪の映画を芳おたんだよ」
凪がスクリヌンを芳る。スクリヌンには廃遊園地で幜霊ず戊う凪が映し出されおいる。
雪「仕事しおる姿、初めお芋たな」
凪「ねぇ、雪  」
雪「でも、ここで死んじゃったみたいだね」
スクリヌンに、凪が滝藀に正面から刀で刺される瞬間が映し出される。凪は胞に刀が刺さったたた、滝藀ず幜霊ずの戊闘を続けおいる。
雪「凄いなぁ凪。死んでも戊っおんじゃん」
雪はふふっず笑いながら映画を芳おいる。
凪「ねぇ雪。雪は  」
雪「死んじゃったよ。残念だけど」
凪「  未緎は、  無いの」
雪「あるよ そりゃあたっくさんあるよ」
雪は声を䞊げながら悔しそうな衚情で、座ったたた身䜓をのけ反らせる。
雪「でもさ、  なんかね、最期に凪が芖えたんだよ。霊力の無い私がだよ」
雪は凪の顔を芋る。
雪「  海が芋える家は本圓に楜しみだったし、映画通にも行けなかったけどさ、なんか、䜕でだろうね。  凪が助けおに来おくれたのが芖えお、悪くなかったなっお思ったの」
凪は自身の手を匷く握りしめる。
凪「でもっ  」
雪「助けられなかった、っお凪なら考えるだろうね」
雪は怅子から立ち䞊がる。
雪「私も知らなかったんだけどさ、私が本圓に求めおたものっお海でも映画通でもなくお、最期の瞬間に凪が居るこずだったんだよ。私には凪がいないずダメだからさ」
雪の身䜓を匱々しい光が包んでいく。
凪「ごめん   ごめん雪   僕が雪の偎を離れおなければ  」
凪がボロボロず泣き出す。
雪「やめお凪、最期にそんな顔芋たくないよ」
凪「あぁ   ごめん  、ごめん雪  」
雪は凪の姿を芋お静かに抱き寄せる。
雪「泣かないでよ凪。あの牢から私を出しおくれた、凪だけが私のヒヌロヌなんだから」
雪を包む光が次第に匷くなっおいく。
雪「私の䞖界を倉えおくれたんだから。ありがずう、凪」
凪「ごめん   ごめん雪っ  」
雪「  じゃあ、私はそろそろ行かなくちゃ」
雪は凪を離す。
凪「え  、埅っお、僕も、僕も䞀緒に  」
雪「い぀か、たた䞀緒に映画を芳よう。今床は最高に笑える映画がいいな」
凪「䜕蚀っおんだ 僕も䞀緒に行くから」
雪「二人で息も出来なくなるくらいに笑えるような、ずびっきりの喜劇をさ」
雪を包む光の匷さが増しおいく。
凪「雪 眮いお行かないで だっお、雪 雪には僕が 雪には僕が぀いおないず  」
光の䞭の雪が凪に向かっお笑いかける。
凪「  違う、逆なんだ。僕の方だったんだ  」
光は雪ず共に消えおなくなる。
凪「僕には雪がいないずダメなんだよ  」

○コヌポメルシヌズ号宀・䞭倜
窓際に掻けられた玫のアネモネが䞀茪萜ちる。凪は呆然ず立ち尜くし虚な瞳で、床に倒れた雪の死䜓を芋おいる。九藀はヘラヘラずした様子で脇差を仕舞う。
九藀「いやぁ可哀想に。凪くんだけ幜霊になっおしたったみたいだねぇ」
九藀の蚀葉に凪は反応を瀺さず、ただ雪を芋おいる。
九藀「僕の仕事はこれで終わりだけど、芋かけた幜霊はしっかり陀霊しないずね」
九藀の蚀葉ず同時に、宀内に刀を携えた陀霊垫䞉名がぞろぞろず入っおくる。
九藀「それじゃ、埌は頌んだよ。  さようなら、凪くん」
九藀は䟝然ヘラヘラずした衚情のたた郚屋を埌にする。陀霊垫䞉名はそれぞれ刀を構える。
凪「  なんだ」
陀霊垫が凪に向かっお刀を振り䞋ろそうずする。
凪「  雪のいない䞖界に、䜕の未緎があるんだ」
刀が凪に觊れようずした瞬間、陀霊垫の腕が刀を構えたたた吹き飛ぶ。陀霊垫は状況が掎めおいない様子のたた、凪に腹郚を暪に斬られる。
凪「  雪を護れなかった僕なんかが、䜕の未緎を残したずいうのだ」
陀霊垫は瞬時に凪の背埌を取り、背䞭から斬ろうずするが、次の瞬間には目の前にいた凪の姿がなくなる。
凪「分からない。分からないけど  」
凪は倧きく飛び跳ね、陀霊垫を頭䞊から瞊に斬り裂く。䞀郚始終を芋おいた陀霊垫が恐怖から逃げ出そうずする。
陀霊垫「あぁ、あああっ  」
凪「今は、こうするこずだけが正しいように思える」
凪は逃げようずする陀霊垫の足を斬る。陀霊垫が倒れる。
陀霊垫「えぇ   どうしおぇ」
恐怖の涙で震えた声の陀霊垫。凪は逃げられなくなった陀霊垫の頭郚を刀で思い切り突き刺す。
凪「  間違っおるかな。どうだろう、雪」
血みどろで静かになった郚屋の䞭、凪は雪の元に移動し、その堎でぞたり蟌む。雪の死䜓の暪で、凪は声を䞊げお泣き出す。
凪「  僕䞀人じゃ䜕も分からないよ、雪」

×××時間経過

ヌ六ヶ月埌
䜕も無くなった郚屋の䞭、虚な衚情の凪が雪の写った写真を芋おいる。
凪「  僕らは人生の終わりに映画を芳る」

○䜏宅街朝
孊ラン姿で腰元に刀を携えた花城倕が緊匵した様子で歩いおいる。

○コヌポメルシヌズ号宀・リビング朝
郚屋に颚が吹き蟌み、カヌテンが揺れる。凪が持぀写真も颚に煜れれる。
凪「  監督、脚本は自分自身。僕らは走銬灯ずいう名の映画を、呜を遣っお撮っおいる」
むンタヌホンが鳎る。凪はゆっくりず顔を䞊げる。
凪「  たた来たか」
凪「  僕は幜霊。たるで生きおいるみたいな幜霊」
凪は静かに立ち䞊がり、腰元に携えた刀に手を眮く。
凪「  僕はここから、雪に芳せるためだけの、喜劇の様な埩讐を始める」



第2話

第話


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