
親と子の関係性は、いつの間にか変化していく。
小さいころ。
親は何でも知っていて、何でもできる存在だった。
転べば助けてくれる。
困れば守ってくれる。
親の言うことが正解で、それが世界のすべてだった。
でも、大人になるにつれて気づく。
「私はそうは思わないな。」
「なんでそんなふうに言うんだろう?」
そんな瞬間が少しずつ増えていく。
学校で出会う先生や友達。
職場で出会う人。
結婚して家族になった人。
いろいろな価値観に触れながら、自分なりの考え方や生き方が少しずつできあがっていく。
それは、親を否定することではない。
親から離れて、自分の人生を歩き始めるという、ごく自然な成長なのだと思う。
一方で、親から見れば子どもはいつまでも子ども。
「自分が守らなきゃ。」
「自分がいないと心配。」
そんな気持ちになるのも、とても自然なことだ。
でも、その関係も少しずつ変わっていく。
親が子どもの手を引いて歩いていたのに、気づけば今度は子どもが親の荷物を持ち、病院へ付き添い、「無理しないでね」と声をかけるようになる。
守る側と守られる側は、いつの間にか入れ替わっていく。
だからこそ、親はいつまでも子どもを自分の分身だと思わないことが大切なのかもしれない。
子どもには子どもの考え方がある。
物事の受け止め方も、生き方も、幸せの形も違う。
生きる時代も違うのだから、むしろ違って当たり前だ。
でも、親子だからこそ、考えが違うと苦しくなることもある。
そんなときは、「違う人間なんだ」とお互いに一歩引いて見られるようになると、相手をひとりの人間として尊重できるようになる。
親子は、ずっと親子。
だけど、その関係は同じ形のままではない。
子どもが成長するように、親もまた、子離れという成長をしていく。
お互いをひとりの人間として認め合えたとき
親子という関係は、もっと穏やかで、もっと心地よいものになるのかもしれない。