焼き芋|風まかせ文芸部
焼き芋という素朴な食べ物には、人を芯から温める不思議な力がありますね。
分厚く焦げた皮を割った瞬間に立ち上る白い湯気、黄金色に輝く甘く柔らかい果肉。
凍えるような冬の夜、それを両手で包み込むときの、じんわりとした熱の広がり。
そのささやかな熱は指先から伝わり、やがてかじかんだ心まで解かしていくようです。
夜道を歩きながら、ふと立ち止まって頬張る一口。
そこにあるのは、飾らない日常の幸福です。
私はその、寒さの中で焼き芋を抱える人の、安堵に満ちた静かな息遣いを見つめたいのです。

上記のツールを使用しました
上記企画に参加させていただきました
元画像

凍てつくような冬の夜の空気と、手の中にある焼き芋のささやかな温もり。その二つの温度の対比を通して、手にした人物がふっと息をつくような、心安らぐ感情の揺らぎを水彩の静かな滲みの中に閉じ込めました。黒い線に頼らず、冷気と柔らかな熱の境界だけを観測した記録です。
