
秋の空|風まかせ文芸部
秋の空がことさら高く澄んで見えるのは、物理的に空気が乾燥しているからというだけではない気がします。
夏の間、私たちを包み込んでいた熱狂がゆっくりと引いていき、視界を遮っていた湿気が消え去る。
そのぶんだけ、宇宙の底なしの冷たさを間近に感じるようになるのでしょう。
あの抜けるような青さの奥には、単純な美しさというよりも、静かな喪失感に似た感情が潜んでいる。
季節が冬へ向かってすべてを削ぎ落としていく、その最初の気配を私たちは見上げているのだと思います。

上記のツールを使用しました
上記企画に参加させていただきました
元画像

見上げるという行為には、どこか祈りに似た静けさがあります。果てのない青を前にして、人がふとこぼしてしまう喪失感の気配を、ただそこにあるものとして残しておきたかったのです。