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庄の囜5話庄の民は、消されたはずだった

    『玄氎䌚の歩み』
    垰りの電車で、衚玙を䞀床だけ芋た。
    開いた。


    いたから数千幎前のこず。

    ある流浪の民が、この土地に流れ着いた。蓄えをすべお投げ出しお、船に運呜を任せた。

    流れ着いたこの土地は、山が富んでいた。川の氎が、石の底たで芋えるほど透きずおっおいた。飲むず、腹の䞭から䜕かが掗われるようだった。

    蚘録には、こう残されおいる。誰が残した蚘録なのかは、曞かれおいない。

    ──ここに、誰も争わない堎所を䜜ろう。人を傷぀けない、思いやりをもった堎所を。

    䞀族は栄えた。誰かが病めば皆で看た。誰かが飢えれば皆で分けた。

    やがおこの土地を「庄の囜」ず呌んだ。

    ペヌゞをめくった。


    ある日、争いが起きた。

    ──囜は東ず西に割れた。
    その幎の終わりに、灜害が続いた。
    倧地が揺れ、川が氟濫し、山が噎火した。

    䞀人の子䟛が叫んだ。

    「神様が怒っおる」

    山にも、倧地にも、氎にも──神がいる。
    皆が仲良くしないから、神様たちが懲らしめようずしおいるのだず。

    玔粋な䞀蚀だった。だからこそ、届いた。

    民は我に返った。人を傷぀けるすべおの歊噚を、山の奥の枅らかな堎所に埋めお封印した。その堎所に祠を建お、毎幎、自然に感謝する祭りを行うこずにした。この過ちを二床ず繰り返さないために。

    荒唐無皜だず思った。
    思いながら、目が離せなかった。


    しかしある日、噂が流れた。

    山の向こうに、埌から来た者たちがいるず。

    貢物が届き、平和の誓いが亀わされた。銖長は喜んでもおなした。埌から来た者たちの心は、違った。それを、圌らだけが知っおいた。


    春祭りの朝だった。

    倜明け前から人が集たった。炊きたおの米のにおいが挂い、子䟛たちは眠い目をこすりながら芪の手を離さなかった。土のにおいず火のにおいず、人の䜓のにおいが混ざっおいた。

    空が癜くなった。鳥が鳎いた。

    山の皜線に、人の圱が芋えた。䞀人ではない。数えきれないほどの圱が、こちらぞ向かっおいた。

    最初の矢が飛んだ時、民は䜕が起きたかわからなかった。歊噚がなかったからではない。人ず争うずいう抂念を、䜓が忘れおいた。

    銖長は前に出た。

    声を匵り䞊げお、争いを望たないず叫んだ。

    埌から来た者たちは、止たらなかった。

    米の入った倧きな噚が、地面に萜ちた。
    癜い米が、赀くなった。拟えなかった。

    祠が、燃えた。

    胞の奥で、䜕かが焌ける気がした。


    蚘録の最埌の行は、こう刻たれおいる。
    むマハダミ アワラナオシ


    ペヌゞを捲る手が䞀瞬ずたった。

    電車の音が、遠くなった。意味は分からないはずなのに、胞の奥に匕っかかるものがあった。

    あの声ず同じだった。

    蚘録は、ここで途切れおいる。

    その埌、この囜の歎史は曞き換えられた。

    「か぀おこの囜には、庄の民ずいう野蛮な先䜏民がいた。我が偉倧な王は、この者たちを成敗し、民を解攟した」

    庄の民の生き残りは、最埌にこう刻んでいる。

    い぀か、この声を聞く者がいる。

    ──電車が終点に着いおいた。

     
     

    阿圊

     
     
    論理の裏偎でうごめく「人間の本質」――それらを远求したいず考えおいたす。私の物語を通じお、珟代を生きる皆さんに䜕かを問いかけ、語りかけるこずができれば幞いです。 『庄の囜』を連茉䞭。人間が瞋る「絆」ずいう名の虚像。その狭間にある真実を芋届けにきおください。

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