焼き芋|風まかせ文芸部
誰かに紹介するときには、「もう、腐れ縁です」と言い合う幼馴染。
たまたま、彼の家が、私の家の、隣だっただけ。
デートというわけでもない、二人で出かけたショッピング。
帰り道、スーパーの店先で「ね、焼き芋、食べよ」と彼。
「おじさん、二本、頂戴」
そう言いつつ。
「ごめん、買い物し過ぎてお金残ってない。払っといて」という彼。
——まったく、いつもそうだ。
焼き芋の袋を抱え込むと、彼は、一本を取り出し、2つに割って私に差し出す。
——え、私が小さい方? しかも、もう一本は自分で食べる気?
ツッコミたいのを我慢しながら、二人でふうふう言い、笑い合いながら食べる。
誰にも言ったことはないし、まして彼には言えないが、私は彼が好きなのだ。
先に食べ終わった彼が、私の、手元を、見つめる。
——イヤダ。絶対に、あげるもんか。もう一本を、勝手に、食べればいい。
私が食べ終わると、彼は、焼き芋の袋を渡して寄越した。
「えっ?」
驚く私に、彼は言う。
「そろそろ、自分で持てるだろ。熱いから割ってやったんだ」
——えっ? 全部、私のため?
温かさを感じながら、ドキドキする胸に、思わず焼き芋を抱え込んだ。
——でも、この焼き芋、どうしよう。
——あれっ、だけどお金払ったのは……
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