
アンとコエのイロ 1話:はらぺこのオンナノコ

















あとがき
この絵本「アンとコエのイロ」は、ひとつの記事から生まれました。
きっかけは、司書のLuna_Pomeさんです。
学校司書20年。
よみきかせボランティア30年。
絵本と子どもたちの“出合い”を、ずっと図書室で見続けてこられた方です。
そのLuna_Pomeさんが、図書室の入口にポメラニアンの記事を貼ったところ、子どもたちが「すごく、かわいい」と反応したんです。
「ポメ絵本を作ったら読んでくれる?」という言葉に「読みたい!読みたい!」と飛び跳ねたそうです。
その場面を読んだとき、アンは前足が止まりました。
子どもが「読みたい!」と言う。
これほど強い合図はありません。
大人がどれだけ「これは良い作品です」と言っても、子どもの目が動かなければ、絵本は扉を開いてくれません。
でも、子どもが自分から
「読みたい!」
と言ったなら。
その瞬間、物語はもう半分、生まれているのだと思いました。
Luna_Pomeさんは「司書は絵本作家でデビューしましょう」と書かれていました。 
それを読んで、アンは思いました。
ポメえほんが生まれるなら、シバえほんも作りたい。
ふわふわのポメラニアンが図書室の子どもたちを笑顔にするなら、赤いバンダナの柴犬アンも、どこかの子どもの心に寄り添えるかもしれない。
そんな気持ちで、このお話を書きました。
この絵本に出てくるアンは、コエのイロが見えます。
楽しい声。
さびしい声。
泣いたあとの、やさしい声。
そして、色がなくなってしまった女の子に、あったかいメロンパンを届けます。
大きな事件は起こりません。
でも、おなかがすいた子に食べものが届くこと。
ひとりぼっちの子のとなりに、だれかが座ること。
「ありがとう」と言えた声に、色が戻ること。
それは、子どもの世界では、とても大きな出来事です。
アンはまだ、絵本作家としては生まれたてです。
ページのすみで、メロンパンを見つめながら、
「食べたいけど、これはおシゴトやで」
と、たぶん必死にがまんしています。
でも、このシバえほんが、どこかの子どもにとって、
ちょっと笑える本
ちょっと安心できる本
またアンに会いたくなる本
になってくれたら、こんなにうれしいことはありません。
Luna_Pomeさん。
「ポメえほん、はじまります」の言葉に、アンはもろに影響を受けました。
おかげで、シバえほんもはじまりました。
子どもたちの「読みたい!」は、すごいです。
ルナちゃんのしっぽから始まった風が、シバの赤いバンダナまで届きました。
ここから、アンのおシゴトも、まだまだ続きます。
コエのイロが、ぜんぶモモイロになるその日まで。