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Photo bymatumine_mix

そこに、確かに在った

    通学路に、思い出が残っている。

    特別な存在でありたいと、
    強く願った友だちだった。

    出会ったのは別室登校の部屋だった。
    同級生であることと
    「教室が苦手」という仲間意識
    最初の接触地点は、それだけ。

    それなのに、ずっと
    ずっと彼女のことが妙に気になって
    惹かれていた?
    恋に落ちていた?
    どうにも離れがたい、何か
    そんな気配。
    彼女との時間を重ねるほど、
    その輪郭が強くなるのを感じた。

    彼女は夢を教えてくれた。
    将来を語る姿は、
    その道に進む未来が決まっているように見えた。
    彼女の人生を支えるのは、その夢へ熱意なのだと、理解した。

    私もそっちに進んでみたい。
    まっすぐに踏み出せば歩めるのかもしれない。
    でも、怖いと思った。
    私には、その道に立つ自分の姿が見えない。

    同じ道を目指すことは、
    ただの依存になる気がした。
    彼女との関係が、軽くなる。
    それを許したくはなかった。

    私は自分の足で、
    彼女の隣に立っていたい。

    きっと、今の時間だけだから。

    「離れても繋がっているよ」
    そんなふうに笑ってくれたけど
    少しも安心できなくて。
    彼女が遠くにいっても、笑って応援できる自分になりたかった。

    病気がちだった彼女が学校に来ない日が増え、
    いつからか連絡をとることのないまま
    高校生活は終わった。

    彼女は夢のため専門学校に進学していた。
    そこでできたという友人と、会う機会があった。

    彼女と隣に立つその子は、
    お互いで成り立っている関係に見えた。
    もし私が夢を追っていたら、こうなっていたのかな。
    だけど、それは私じゃない。

    嫉妬だった。
    嬉しい再会だった。
    そのはずだったのに、
    醜い嫉妬の存在が埋めてしまった。
    心がグズグズに焦げる。
    そんなものを向けたかったわけじゃ、ない。

    それでも、彼女は私を覚えてくれていた。
    もう一度、繋がりが欲しくて
    連絡を取るのをやめられなかった。

    なのに
    見ているのは彼女だけなのに
    その向こうには、あの子がいる。

    どんな話をしていても、
    名前が出てこなくても
    あの子がいるのが見える気がした。
    わかるよ、
    あの子のほうが大事なんでしょ?
    「そんなの、身勝手すぎるよ」
    なんて言ったけど、
    身勝手なのは、私の方だ。

    彼女を傷つけ、決別に至ってしまった。

    私が大事なのは、傍にいた頃の彼女だったのかな。
    そんなものを守りたくて、彼女を突き放したの?

    考えても考えても、
    本当は
    今も
    ずっと、
    彼女のことは大好きだった。


    ああ、そうか。
    私は、いちばんでいたかったのかもしれない。


    いちばんでないことが、苦しい。


    離れた距離を、受け入れる。
    大好きな気持ちも
    彼女の気持ちも
    なかったことにはしたくない。

    それが、答えだと思った。

    何年経っても褪せることはないのかもしれない。
    でも、良いや。
    そこにいるのはもう、私だけだから。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     

    灯

     
     
    心の揺れや気づきを書いてます。 将来は、程よい猫背のババアになりたい。

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