
【後編】たまに会う、あの人
僕は26歳
毎日じゃないけど、19時頃から近所を散歩している
よく大学生みたいって言われるけど、たぶん顔のせいだと思う
今日はすごくイライラしてて、でもなぜか同時にすごく切なくて、感傷に浸りたい時用の音楽をかけて歩いてる
たまにだけど、背が高くて犬と散歩してるお兄さんに会う
何回か挨拶してて、話したこともある
今日はいるかな
歩き進めていくと過去の傷や感情が渦巻いて、なんでなんでって涙がたくさん出てきた
たぶん自分すごく寂しいんだと思う
もっと自分を愛してほしかったという感情が涙となって昇華されていく
角を曲がると、いつも見るお兄さんが立っていた
やばい、泣いてたのがバレる
急いで袖で涙をぬぐうが、一抹の思いがよぎる
もしここで涙を少し残したら、お兄さんは気づいてくれるのかな
少し悪いことをしているような気持ちになる
でも、別に少しくらい、いいよね。
ちょうど街頭の下にいるお兄さんの方へ歩み寄る
僕「こんばんは、」
お兄さん「こんばんは。」
いつも通りの挨拶だ
涙に気づいてるかは正直分からない
でも、街頭の光が眩しくて、涙を残したまま来てしまったことを少し後悔する
なんだか当たり障りのない会話をしたような気がするけど、そんなことより隣に並んでただいつも通り話せたことが、すごく安心した
でも犬との時間を邪魔しちゃあれだし、本当は知らない人と話すのなんて嫌かもしれないからすぐに撤退した
なんで泣いてたか聞かれなかったけど、今日も話せたからまあいいか
帰り道、安心した反動でまた別の種類の涙が流れた
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