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高卒ブルーカラー、山手線内側徒歩圏に小さなビル2棟を持つまで。 ④             第3話:Ninja(忍者)の背中と、500円のガソリン:(後編)

    床磨きのワックス

    【「持たざる者」が選んだ、逆転の修行道】


    憧れの背中を追いかけ、自分の世界を広げるためには、何よりもまず「資金」という武器が必要だったのだ。

    床を磨き、己を磨く「道場」

    高校入学と同時に、僕は親族が経営する床清掃のアルバイトに身を投じていた。
    母親と同世代の女性しかいないそこは、僕にとっての「道場」だった。

    重量のあるポリッシャーを操り、床のしつこい汚れを剥離剤を使い削り落とす。

    仕上げにワックスを塗り込み、くすんでいた床が鏡のように光り出す瞬間、僕の筋肉もまた磨き上げられるような気がした。

    日曜は朝から晩まで床を磨き、平日は学校帰りに別のバイトを掛け持ちする。

    夏休みも冬休みも、この頃から、僕の青春の記憶は常に、多数のアルバイト、バイク、あの忍術を継続するために、減らさないを心掛け続けるしかなかった。

    往復30キロ、自転車という名の「エンジン」

    資金を貯める一方で、僕は自分の「肉体」というエンジンも徹底的に鍛え上げた。
    皆勤で通った通学は、往復30キロの道のりを自転車で漕ぎ続ける。
    それは単なる節約ではない。

    「忍者」に乗る彼に追いつきたくて、少しでも自分の「基礎ステータス」を上げるための特訓だったのかもしれない。

    そんな泥臭い日々の繰り返しが、僕に「マッスルアイデンティティ」を授けてくれた。
    特別な練習もしていないのに、高校のマラソン大会でも優勝できたのは、この執念の賜物だ。

    バイクの性能では敵わなくても、己の肉体を極限まで鍛えれば、あの「忍者」とも対等に渡り合える。
    「ホント走るの速いよな」そう言われて、僕が人生で初めて掴んだ確かな「自信」だった。

    聖徳太子の束を、手中に収める

    バイクの維持費や遊びで減った通帳の数字は、再び現場(バイト)に戻り、猛烈な労働で埋め戻した。
    そして、ついに迎えた高校の卒業式。

    記帳した通帳には、高1から3年間、ワックスまみれになって貯め抜いた「忍術」が、ずっしりと重い数字となって結実していた。

    高校生には不釣り合いな、けれど僕の血と汗の結晶である数字だった。

    やっと貯まった、X>1,000,000円

    それは、500円分のガソリンをチビチビと給油しながら、憧れの背中を追いかけ続けた日々。
    単にお金を貯める期間ではなかった。

    「自分の人生を、自分の力でコントロールする」
    その手応えを掴むための、人生という長い旅の「最初の助走」だったのだ。

    つづく

    高校を卒業し、祖母に教わった「忍術」の精度をさらに高めるため、僕は相変わらずアルバイト三昧の日々に身を投じる。
    そんなある日。
    僕の精神の根底を覆す、またも一人の「語りべ」との出会いが訪れる。
    その男の放った一言が、僕をさらなる未知の異世界へと連れて行くこととなる——。
    いよいよ人生最大の冒険、アメリカ編が幕を開ける。

    #創作大賞2026 #ビジネス部門

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    https://note.com/83nor1/n/n4a77c2c34fbb


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