
㊳求める思考活動に応じて授業を構想する!…授業類型選択の具体例
ここまで、教材の特徴を捉え、「何を考えさせたいのか」という視点から授業類型を選択し、その類型による思考活動が教材の中で成立するかを確認してきました。
しかし、授業類型を選択し、その思考活動が教材の中で成立することを確認しただけでは、授業構想は完成しません。実際の授業では、その思考活動が子どもたちの中に生まれるように、発問や活動を具体的に構成する必要があります。
では、選択した授業類型を、実際の授業構想にどのようにつなげていけばよいのでしょうか。
そこで本稿では、教材、価値、思考活動、授業類型、発問、活動をつなぎ、実際の授業構想へと進んでいく様子を、中学生向けの道徳教材「足袋の季節」を例に、具体的に考えていきます。
(1)教材から授業づくりの出発点を捉える
教材「足袋の季節」は、お釣りをごまかした主人公が後悔の中で暮らし、後に返済に向かうが、相手は既に他界していて返せなかったという後悔を背負って生きる話です。教材を読むと、主人公の生活の苦しさと誠実さが痛いほど伝わってきます。
教材文は大きく三つの部分に分かれています。
場面1:生活の苦しさと辛さが描かれた場面
・給料が安く、ぎりぎりの生活をしている
・貧しさのため、雪の中でも素足で歩いている
場面2:お使いのつり銭が間違いなのにごまかした場面
・上司の命で買い物に行くが40銭も多くお釣りをもらう
・足袋を買いたい思いでごまかし、自責の念に苦しむ
場面3:返済できず、以後、後悔を抱えて生きる場面
・お金ができて返済に向かうが、老婆は逝去していた
・自分に腹が立ち、泣けて泣けて、どうしようもなかった
・「ふんばりなさいよ」という老婆の言葉に支えられて生きてきた
・老婆の心を、誰かに返さなければと思っている
(2)「何を考えさせたいか」から授業類型を決める
こうした内容からは、つり銭をごまかしてしまう心の弱さや、その後に後悔を抱えながら生きる主人公の姿など、生き方に関わる内容を考えることができます。
そのため、何に着目して考えさせるのかによって、いくつかの授業構想が考えられます。