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㊱分類4 現実社会を考察する展開群 ~3つの授業類型のまとめ~

     考察探究型の「現実社会を考察する展開群」は、授業の焦点を「教材」から「現実との関わり」に広げ、現実の中にある自分自身や社会の在り方、価値を実現する場面や方法などを考察することによって、教材で捉えた価値を自分自身に関わるものとして深く捉え直し、自分の生き方や社会との関わり方、行動の在り方を考える展開群です。

    教材に含まれる価値を明確にして学習の方向づけを行い、教材の事象を具体例として現実との関わりに目を向けます。そして、自分自身の在り方、社会の仕組みや実情、価値を実現する場面や方法などを考察し、教材から捉えた価値を現実との関わりの中で捉え直します。
     
    本分類には、類型15「自分自身を考える展開」、類型16「現実社会を考える展開」、類型17「場面や方法を考える展開」の三つの授業類型が含まれます。
    これら三類型には、展開前段では価値の理解と学習の方向づけを行い、展開後段で現実社会について深く考察するという共通した学習過程があります。

    しかし、考察の対象や方法には違いがあります。自分自身の特徴や性格を考える、現実社会の仕組みや実情を考える、価値を実現する場面や方法、基準を考えるなどです。
     
    本項では、三つの授業類型の特徴を横断的に整理し、まとめて示します。

    これによって、「現実社会を考察する展開群」に共通する構造と、各授業類型がもつ授業思想の違いとを、より立体的に捉えることができるようになり、授業づくりに活かすことができるようになります。

    1 三つの授業類型の授業展開

    現実社会を考察する展開群の授業類型は、展開後段に重点を置いて、教材で学んだ価値を現実の中で捉え直し、価値を自分の生き方や社会との関わり方につなげる展開群です。

    展開前段では、教材内容を考察して含まれる価値を明確にすると共に学習の方向づけを行います。展開後段では、自分自身・現実社会・実際の生活を考察して新たな視点から捉え直し、そこに含まれる価値を実現するための生き方や関わり方を探究します。
     
    類型15は、自分自身の在り方に向かう授業類型です。教材に描かれた人物の言動や様子を手がかりにして、自分自身の個性や価値観を見つめ直し、それをどのように活かすことができるかを考え、価値を実現する自己の在り方を考えます。
     
    類型16は、現実社会との関わり方に向かう授業類型です。教材に描かれた状況を具体例として、現実社会にある様々な事象の特徴や意味、背景などを考察し、そこにどのような価値があるのかを捉え直します。そして、その価値を実現するための社会の在り方や、自分の社会との関わり方を考えます。
     
    類型17は、価値を実現する行動の在り方に向かう授業類型です。教材に描かれた状況を具体例として、価値を実際の場面で実現する方法や判断の基準を検討し、自分ならどのように価値を実現するのかを考えます。そして、価値を実現するために行動することの大切さを捉えます。
     
    このように、三つの授業類型は、教材で理解した価値を現実との関わりの中で捉え直し、自分自身の在り方や社会との関わり方、価値を実現するための行動の在り方へとつなげていく点で共通しています。
    しかし、何を対象として考察するのか、どのような思考活動によって価値を捉え直すのかは、類型ごとに異なります。

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    「現実社会を考察する展開群」の三つの授業類型では、展開後段で考察する対象は、「自分自身」「現実社会」「価値を実現する場面や方法」のいずれかを取り上げ、教材内容に応じて使い分けます。

    展開後段の「考察」の活動は、「この類型なら、展開後段は必ずこの流れで考察する」というような固定的な流れはなく、具体的な活動は、扱う教材の特徴に応じて構想します。

    そのため、分類4の展開群では、「教材に何が描かれているのか」「現実の何に目を向けるのか」「どのような思考活動を組み込んで価値を捉え直すのか」が重要になります。

    2 三つの授業類型の思考活動

    (1) 三つの授業類型に共通する思考活動

    三つの授業類型は、いずれも、展開前段で教材に含まれる価値を明確にし、その方向性に基づいて、現実の事象について考察を深め、価値へと迫る思考活動を行います。
    また、いずれも展開後段に重点を置き、教材で捉えた価値を現実の事象に当てはめて考えることで、価値についての理解を深めていきます。
    しかし、展開後段で何を考察するのかは、類型ごとに異なります。

    (2) 考察の方法、俯瞰・探究の方法の違い

    三つの授業類型は、それぞれ、自分自身(類型15)、現実社会の仕組みや実情(類型16)、価値を実現する方法や判断基準(類型17)について考察します。そのため、「何を考察するのか」「どのように考察するのか」「最終的に何を考えるのか」が大きく異なります。

    類型15では、自分自身を客観的に捉え、自分の特徴や個性、価値観などを考察し、自分自身の在り方や活かし方を考えます。

    類型16では、新たな価値の見方から、現実社会を俯瞰して仕組みや実情を捉え直すことで、社会の在り方や社会への関わり方を考えます。

    類型17では、価値を実現する場面や方法、行動するかどうかの判断基準などを考えることで、自分の行動の在り方や、行動することの意義や意味、大切さを考えます。

    (3) 思考活動を理解することの意義

    授業づくりでは、教材に合わせて授業類型を選ぶだけでなく、その授業類型がどのような思考活動によって価値へ迫るのかを理解することが重要です。

    類型ごとに考察する対象や思考の方向性はありますが、展開後段の具体的な活動や問いが固定されているわけではありません。

    教師は、教材の特徴や児童の実態を踏まえ、考察する対象に応じて問いを工夫し、子どもたちの思考を発展させていくことが求められます。

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    教育学修士 文部科学大臣優秀教員表彰 指導教諭(道徳科) 「道徳科感想分析法」という授業効果の評価方法や、「考察探究型の道徳授業」を提案しています。月刊誌「道徳教育」では連載を経験させていただきました。

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