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銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十九話(31) 決別の儀式 レースの途中に

    ・銀河フェニックス物語 総目次
    ・<出会い編>第三十九話「決別の儀式 レースの前に」①  ② 
    ・第三十九話「決別の儀式 レースの途中に」① ② (29) (30) 

    * *

     ベータールは、すぐ後方を飛ぶハールを見た。

    ベータール後ろ目む横顔

     裏将軍、お前が速いのはわかっている。
     だが、ここはS1だ。ルールがお前をしばる。危険飛行を取られたらお前は失格する。弟のガンマールと同じだ。

     一方で、僕は縛られない。

     僕が失格になっても、兄さんが表彰台に上れば僕たち兄弟の勝ちだ。

    アルファール正面前目にやり

     どんなに悪評を言われても、結果がついてくればいい。

     速度を落とす。
     裏将軍が追い越しをかけようとする場所へと、船を動かす。前へは行かせない。
     ぶつけてでもブロックする。その間に、兄さんが先へ進む。

     僕たちはプロのレーサーだ。
     常に表彰台の一番高いところを狙っている。
     無敗の貴公子は強い。だが、レースはどう展開するかわからない。

     ギリギリの勝負をかけているエースとオクダが、事故を起こすかもしれない。兄さんが優勝する可能性はある。

    エースとオクダむ

     ガンマールの分まで僕たちは、プロの世界で戦ってきた。
     たとえ裏将軍といえど、レーシングライセンスを取ったばかりの新人レーサーに負けるわけにはいかないんだ。

     どうした裏将軍。
     初心者みたいに、きっちりと船間距離を取って。

    画像7

     兄弟ウォールにぶつけられるのが、そんなに怖いか。
     アステロイドベルトでガンマールに見せた見せたあの飛ばしは、偽物か。

    * *

     ピットでレースの中継映像を見ながら、スチュワートはメカニックのアラン・ガランに声をかけた。

    「おい、想定以上にべヘム弟があおるなあ」

    n65スチュワートシャツ口開く色逆

    「飛行妨害ギリギリです。兄弟ウォールはさすがやり慣れてますね」
     レイターが隙を狙って攻めるが、執拗なブロックで前に出られない。

    「レイターの技術で何とか抜けないのか」
    「普通の機体であれば抜けると思いますが、あのハールでは自殺行為です。接触したら燃えますから」
    「ふむ、わかっていたとはいえ厄介だな」
     もどかしい。べヘム弟は妨害しながらゆっくり飛ばしている。兄のために時間稼ぎをしているのが見え見えだ。

     ピット内にレースチャンネルの実況が響く。番組はエースのトップ争いしか放送していない。
    『無敗の貴公子にオクダがくらいついています。どちらからも気迫を感じます』
     まあ、無敗の貴公子が無敗のまま引退するかどうかが、きょうのレースの目玉だからな。しかも、熱戦だ。
     少し離れて三位がべヘム兄のアルファール。

     続く、べヘム弟とレイターの四位と五位の争いには、もはや解説者も興味を示していない。二機がくっついたままホームストレートに入る。二十四周がカウントされた。
    「残り六周か。アラン・ガラン、何とかここらで兄弟ウォールを破らないと先に進めんぞ」

     と、その時だった。

     後方から最終コーナーを抜けてきた六位の機体がホームストレートで一気に加速した。うちのチームのコルバだ。

    コルバむ

     速度を落としていたべヘム弟とレイターに見る間に直線で追いつく。

     そのまま第一コーナーに差し掛かる。
     コルバが、アウトサイドから二機に追い越しをかけた。
     思わぬ伏兵にあわてたべヘム弟が機体を傾けながら急加速した。

     レイターのハールとの間に隙間ができる。
     その間隙を縫って、レイターがメガマンモスエンジンをふかした。

    * *

     二十四周目。第一コーナーに入るところだった。ベータールは後ろから迫る機体に気が付いた。
     僕としたことが裏将軍に気を取られすぎた。アウトサイドから来るのは万年六位のコルバか。
     何人たりとも兄さんには近づけさせない。機体を横に倒して外側からの追い抜きラインもあわせて妨害する。

     裏将軍の声が聞こえた。
     ベータール教えてやる。銀河最速はS1じゃねぇ。

     ほんの小さな一点を突いて、船をしならせながら上下空間を使った加速。
     何だこの飛ばしは。

     まずい、抜かれる。

    ベータール正面後ろ目む

     いや、この先へは行かせない。操縦桿を握りしめる。

     兄さんのためにも。ガンマールのためにも。     (32)へ続く

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