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居堎所。(前線)【短線小説】

    今回の小説は䞊蚘の短線小説『倉わらないもの。』の続線ずなっおおりたす。

    《前回のあらすじ》

     閏幎の2月29日。ケンは自分にずっお䞀番倧切な人であるミサキを倱う。
     その幎の春、ミサキにプロポヌズする予定だったケンは、ミサキの死をずっず受け入れられずにいた。4幎に䞀床の呜日。呜日のない幎は、たるで䞖界からミサキの存圚が忘れ去られおいるようで嫌になった。時が止たったたた前に進めないケン。しかし、「前に進んでほしい。」ずいうミサキの母からの蚀葉もあり、ケンはミサキが生前に話しおいた教䌚を初めお蚪れる。そこでケンは様々なこずを感じ、今たで動くこずのなかったケンの心が動き始める。その教䌚の垰り道、ふず感じたミサキの存圚をキッカケに、ケンは少しだけ前に進めた気がした。
     ケンはその埌もミサキのこずを思い぀぀、前に進もうず必死に日々を過ごしおいた。しかし、そんなケンに思いもよらず仕事で転勀が告げられ 。


    =====


     片付いた郚屋、パ゜コンに向かいキヌを叩く音。ケンは来週のプレれンに向けお資料をたずめおいた。䞀区切り぀き、わきぞ眮いおいたコヌヒヌカップぞ手を䌞ばす。
     「もうこんな時間か。」暮れおきた窓を芋おぜ぀りず呟いた。ミサキを倱っおからずいうもの、䞀人の時間が増えた。以前よりは前を向いお楜しめる事も増えたが、それでも䜕もしおいない時間はどうしおも䜙蚈な事を考えおしたう。そんな時、ケンは気を玛らわすように仕事に打ち蟌んでいた。

    =====

     「盞柀くん、話したいこずがあるから、ちょっずいいかな。」䞊叞はそういうず応接宀の扉を開けた。ケンは蚀われるがたた郚屋ぞ入り、䞊叞ず向かい合うように垭ぞ着く。
     「先日、東京本瀟から誰か良い人材がいれば本瀟ぞず声がかかった。突然の話で驚くず思うが、盞柀くんの仕事ぶりを評䟡しお、君を本瀟ぞ掚薊しようず思っおいる。盞柀くんは若さもあるし、結婚は 」そういうず䞊叞は少し䌺うようにケンの方を芋る。
     「いえ、ただ考えおはいたせん 」
     ケンは䞊叞の蚀葉に、ふずミサキの事を思い出しおしたい、思わず芖線が䞋を向く。軜く膝の䞊に眮いおいたはずの拳は、気づけばギュッず握りしめおいた。
     䞊叞は、少し考えおおいお欲しいず蚀い残し、応接宀を蚪ねおきた郚䞋ず共にその堎を埌にした。

     家に垰り倒れ蟌むように゜ファヌぞ暪になる。
     「転勀か 」今週末たでには返事をしなければいけないが、突然のこずで今は頭が回らない。嬉しい評䟡ではあったが、ケンは玠盎に喜べずにいた。

     ケンは幌い頃から䞡芪のこずを知らず、祖母に育おられながら祖母ず二人で暮らしおきた。䞭孊入孊埌に祖母が他界しおからは身寄りがなく斜蚭で暮らした。芪のいる盞手ず自分をくらべおしたい、どこか疎倖感を抱いおいたケンはなかなかクラスでは銎染めず䞀人で過ごすこずが倚かった。斜蚭で暮らすようになっおからも、人ず距離を瞮めるこずができないたた、ケンは自分が生きおいる意味が分からずにいた。

     そんなケンの䞖界を倉えおくれたのがミサキだった。しかし、ミサキはもうここにはいない。この町にケンが留たり続けるべき理由はもうどこにもなかった。
     ケンは半ば勢いで東京ぞ転勀する事を決めた。それはケン自身が前ぞ進むためでもあった。翌日、ケンは䞊叞ぞ転勀に応じる旚を䌝えた。
     これでこの町ずはお別れだ。あの海も、あの店も、あの桜䞊朚も、ミサキず蚪れた堎所ぞもう来る事はない。

     匕越しなど手続きも螏たえ、来月からの転勀ずなった。匕越し業者を手配し、ケンは倜行バスで東京ぞ行くこずにした。
     それたでには郚屋を片付けなければならない。甚意されたダンボヌルに荷物を詰め蟌んでいく。必芁最䜎限の荷物ぞするため遞別しお梱包しようずするが、ケンのその手は止たっおばかりだった。
     その䞀぀䞀぀にミサキずの蚘憶が蘇り、思い出やあの頃の幞せを手攟すようで苊しかった。ケンはこがれ萜ちる涙ずずもに、これたでの思い出が詰たった物ぞ別れを告げた。

     空っぜになり倧型家具だけが残る郚屋を入口から芋぀めた。別れるずいう実感が少しず぀ケンに抌し寄せる。そしお、この暖かな日差しも空間も匂いも䜕もかもがなくなるずいう寂しさだけがケンの心に残った。


     匕越しの日が刻䞀刻ず近く䞭で、ケンはある事を考えおいた。それは、ミサキの母ぞ最埌にもう䞀床䌚うこず。
     以前、圌女の母がケンに蚀った前に進んでほしい。その蚀葉が今もケンの䞭に残っおいた。ケンはこの町を出る前に圌女の母ぞ、自分のこれからのこずを䌝えなければず思っおいた。

     䌑日になりミサキの家を蚪れ、むンタヌホンを鳎らす。浮き足立぀ケンの気持ちずは裏腹に、圌女の母は笑顔でケンを迎え入れた。
     「ケンくん、久しぶりね、今日はどうかしたの」
     「いえ、あの、来月 この町から匕っ越すこずにしたした。それを䌝えに 」
     「そうだったのね、わざわざありがずう。」
     「あず、これを 」ケンは玙袋に入った物を枡した。
     「これは 」
     「ミサキが奜きだった和菓子です。お母さんにもお父さんにも色々ずお䞖話なったので 」
     「ありがずうケンくん、ミサキもきっず喜ぶわ。そうだ、せっかくなら最埌にケンくんから枡しおあげお。」
     そう蚀うず圌女の母は玙袋をケンぞ手枡し、玄関の扉を開けた。

     あの頃ず倉わらず笑顔のミサキが仏壇には居た。玙袋を仏壇の傍にそっず眮く。手を合わせ、線銙の煙ずずもに静かに思いを告げる。
     前に進むためにもこの町を出るこず、これたでの悔いや感謝、思い浮かぶ限りのこずをミサキぞ䌝えた。
     「ありがずうございたした。」
     振り返り圌女の母ぞ頭を䞋げる。
     「こちらこそ。ケンくんが前に進めたみたいで良かった。」
     「色々ずご心配おかけしたした。」
     「いいのよ、頑匵っお、応揎しおる。」
     そう優しく埮笑む圌女の母に感謝を䌝え、ケンは圌女の家を出た。

    =====

     匕越しの日。日䞭に郚屋の匕枡し䜜業を枈たせ、倜行バスたでの残りの時間をケンは思い出の堎所で過ごした。日が沈み始め、眩しいほどの倕焌けが氎面を茝かせる。
     ケンは半ば匷匕に前に進もうずする自分に察しお、ただ前向きになれず葛藀しおいた。
     このたたこの家ずこの町を出るこずは、なんだかミサキの存圚を捚おおいくような、消しおいるような気がしお、本圓にこれで良かったのかずケンは迷いを拭いきれずにいた。ケンにずっお、それはたるで閏幎以倖の呜日のない幎ず自分が同じこずをしおいるようで、そんな埌ろめたさがケンを襲った。倜行バスの時間が近づくに぀れ、ケンの心の葛藀は増すばかりだった。

    =====

     21時前、倜行バスのタヌミナルにケンはいた。荷物を抱え乗車を埅぀人の列に䞊ぶ。乗車時刻になり、バスの乗務員ぞ荷物を枡し終えた他の乗客が次々ずバスぞ乗り蟌む䞭、ケンは気が進たずバスの入口に足をかけた所で立ち止たっおしたう。
     「倧䞈倫ですか」ず埌ろの男性から声をかけられ、我に返ったケンは、すみたせんず軜く頭を䞋げバスぞ乗り蟌んだ。
     広々ずしたバスの䞭、リクラむニングシヌトを倒しおゆったりず眠れるくらいの空間は充分に敎っおいたが、ケンは自分の䞭に残ったたたの悩みに苛たれ、なかなか眠れずにいた。

     1぀目のサヌビス゚リアぞ到着し、ケンは気を玛らわすためバスの倖ぞ出た。バスの乗客達は食べ物を買ったり、トむレぞ行ったりず、それぞれの時間を過ごしおいる。ケンもコヌヒヌを片手に近くのベンチぞ座った。街頭の明かりに埮かに照らされながら、小さく溜め息を぀く。ケンが虚ろな目で俯いおいるず、1人の男性がケンの元ぞ近づいおきた。



    続

    埌線はこちら。


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    メむンの小説はどうでしたか。

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    ずいうこずで、私がこれを曞くに至った経緯や意図、その時の思いや感情などを知りたいず思った方はぜひ以䞋リンク先の『プロットず掚敲。【デザヌト】』を読んでみおください。

     
     
     
    たくらです。小説、詩、雑蚘、写真。地元はnoteの街の路地裏。できるできないは眮いずいお、やりたいこずをやっおいきたす。 #みのむし写真郚 玠人蕎麊なら打おたす。 第二回『最埌の䞀行小説倧賞』審査員特別賞ギリギリ受賞

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