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#なんのはなしですか【長線小説】第䞃話(ミル湖ず迷子)

    蒔倉 みのむし

    第䞀話 キノコのこの子

    第六話 初めたしおは混沌の始たり

    第䞃話 ミル湖ず迷子

     人は心が宇宙そずぞず攟たれた時、自然を眺めたくなるのかもしれない。そうでなければ単玔に、倉な奎らがいたあの堎所から離れたかっただけなのかもしれない。
     俺はなんのはなしです課のある路地裏䞀䞁目から、ここ䞉䞁目にある湖ぞず来おいた。䞉䞁目は䜏宅が倚く立ち䞊ぶ地区であり、北西には山ず湖ずいった自然も倚い。
    「ミル湖っお、こんなに倧きかったんだ」
     この町に䜏み始めお数幎、湖のこずは話には聞いおいたが、実際に蚪れたこずはなかった。ミル湖は芋枡すほど倧きく、透き通っおいながらも底知れない深さがあるようだった。向こう偎には倧きく連なる山矊山やぎさんが芋え、山ぞ繋がる手入れの行き届いた遊歩道がミル湖の呚りを囲んでいた。
    「平日の昌間なのに割ず人がいるんだな 」
     同じように自然に癒されたいのか、遊歩道や呚蟺に蚭眮されたベンチには、老若男女、お䞀人様から集団たで様々な人達がいた。
     その䞭に知った顔が䞀人。
    「あ、束平じゃん。歌の緎習」
     束平はベンチに座り、ギタヌを抱えお䜕やら陜気な曲を挔奏しおいた。
    「おぉ、トキオ、䜕にしおんの」
     俺は束平の隣ぞず腰を䞋ろした。
    「いや、仕事で路地裏のみんなの話を聞いお回っおるずころ」
    「䜕その仕事、面癜いな。それ俺も察象なの」
     ケラケラず笑う束平を芋お䜕故か少しホッずする。
    「んヌ、そうだな。せっかくだし、䞀応聞いずいおやるわ」
     そういうず束平は「おっ」ず嬉しそうな顔をしおミル湖を眺めながら話し始めた。
    「今日はねヌ、今床の新曲の緎習䞭。なんかここにいるずさ、いろんなアむディアが浮かんでくるんだよな」
     束平の瞳が茝いお芋えるのは晎倩ずミル湖を映しおいるからなのか、少し矚たしくなっお俺も䞀緒にミル湖を眺めおみる。
    「新曲か。なんか、すごいな」
    「そうかな思い぀いたこず曲にしおるだけだけどな。あ、今回のタむトルはねヌ『結局ブリヌフ』。いいだろ。なんのはなしです歌っお感じでさ」
     結局束平だった。あの俺の玔粋な気持ちを返しお欲しい。
    「いや、なんのはなしですかっお、誰が聞いおも䞋着の歌っお分かるだろ。たず、誰が聞きたいんだよ、お前の䞋着事情」
    「えよくない最近のブリヌフおしゃれだし、穿き心地もいいんだぜ。それに呚りがどんなパンツ穿いおるのかみんな本圓は興味あるでしょ。あ、もしかしおトキオ、トランクスそれずも裞族ずか」
    「いや、裞族なわけあるか俺はずっずボクサヌだわっお、俺の䞋着のこずはどうでもいいだろ」
     勢い䜙っお少し顔が熱くなるのを感じる。たず裞族なんおいるのかよ。そう思ったが、瞬間脳裏に嫌な蚘憶が蘇る。党裞靎䞋 奎らはちゃんず穿いおいたのだろうか 
    「たぁたぁ、パンツくらいでそう熱くなるなっお。完成したら䞀番に聎かせおやるからさ」
     束平は明るく宥なだめるようにそう蚀った。
     䞀番にその歌を俺が聎いたずしお、束平にいったいどんな反応を返せばいいんだ。そうだな、やっぱりブリヌフだよな、かいやいや、ダメだ。俺は䜕を蚀われおもボクサヌだ。
    「いや、いい、遠慮しずくわ。それより、あの人達も発声緎習しおるみたいだけど、この蟺歌っおる人が倚いのか」
     芖線の先、少し離れた堎所で男女数人の集団が同じ蚀葉を繰り返しおいる。俺はその集団にいる女性の声に耳を奪われた。他の誰よりも聞きやすくお萜ち着いた発音ず声、たるで優しく本の読み聞かせをされおいるような耳心地で぀い聎き入っおしたう。
    「んヌ、どうなんだろここいろんな人がいるし、仕事぀いでに話しかけおみたら」
     束平もたたにはたずもなこずを蚀うらしい。俺はベンチから立ち䞊がり軜くズボンを叩いた。
    「それもそうだな、じゃあ、ちょっず行っおくるわ。たた家でな」
    「おう、仕事頑匵れよヌ」
     俺は束平の蚀葉を背に歩き出した。そうしお埌ろから聎こえおくるメロディヌが結局ブリヌフなのだず思うず少しだけ笑えた。
     声を出しおいる集団は男女合わせお䞉人だった。䞉人はトラむアングルを組むように向かい合っおいる。
     䞀人は教育テレビに出おいそうなボブカットのお姉さん、もう䞀人はスキンヘッドに長い無粟髭を生やした偉人のようなオダゞ、それから埌ろ偎の匛たるんだサマヌニット垜ずメガネをした優しそうなオダゞである。
     そんな情報量の倚い矎女ずオダゞのトラむアングルぞず俺は切り蟌んだ。
    「こんにちは。あのヌ、皆さんもこれから䜕か歌ったりするんですか」
     するずスキンヘッド無粟髭のオダゞが、それたで嚁厳のあった目元を緩めお蚀った。
    「なんのはなしですか」
     その声はこの颚貌にしおは思っおいたよりも高めで穏やかなものだった。
    『なんのはなしですか』ずいうこずは、この人達もロゞりラヌなのか。そう思うず、これたで蚀われる床に少しドキッずしおいた蚀葉の意味が違っお芋えた。きっずこの蚀葉はここでは合蚀葉のようなものなのだ。だからポン先生もあの時『なんのはなしですか』ず俺に問われお感嘆したのだず、ここぞ来おようやく俺の䞭で腑に萜ちた。
     それからスキンヘッドオダゞに続くようにニット垜オダゞが答える。
    「いえ、歌ったりはしないんですけどね。少し声出しを」
     そう話しおいるず女性が「あっ」ず䜕かに気づいたように声を䞊げた。
    「そのキノコ もしかしお、あなたがトキオさんですか」
    「あ、はい。トキオカケルです。はじめたしお」
    「こちらこそ、はじめたしお。私、優谷矎和ず蚀いたす。こちら、persiさんずりヌもさんです。今ですね、ここにいる皆さんず声劇の緎習も兌ねた打ち合わせをしおいたんです」
     優谷さんの玹介に合わせおスキンヘッド無粟髭のpersiさんずサマヌニット垜メガネのりヌもさんが「はじめたしお」ず頭を䞋げた。
    「声劇ですか。すごいですね。どういう劇をするんですか」
     俺がそう尋ねるず、persiさんは少し照れたような声で嬉しそうに答えた。
    「忍しのぶンゞャヌずいう戊隊モノの声劇でしお、なんのはなしですかを広めるための掻動も兌ねお、趣味の䞀環でやっおいるんです。僕がブルヌで、優谷さんがピンク、りヌもさんがブラックです。あずお二人、レッドずオレンゞがいたす」
     persiさんの蚀葉に他二人ずも頷いお、りヌもさんが続いた。
    「私達はコニシさんや『なんのはなしですか』に支えられたり、沢山楜したせおもらっおたすから。だからこれは䞀぀の恩返しず蚀いたすか、『なんのはなしですか』をもっず沢山の人に知っおもらいたいんですよね」
     きっず真面目な人なのだろう。その熱意が䌝わっおくる。
    「そうなんですね。趣味の぀いでに広報たで。コニシさんも喜びたすね」
     その蚀葉に優谷さんが笑顔で答えた。
    「喜んで頂けるず嬉しいですね。ぜひお時間があればトキオさんも遊びにいらしおください」
     俺は、たたぜひず䞉人に別れを告げた。
     なんだか久々に枩かな気持ちになった気がした。なんのはなしです課がこうしお続いおいるのは、楜しみながら茪を広げおくれるロゞりラヌがいるからなのだろう。コニシはそれだけみんなに慕われおいる人物なのだず、ここぞ来おようやく少しだけ実感が湧いた。
     ミル湖から垰る途䞭、俺は䞀匹のパグを芋぀けた。呚囲に飌い䞻らしき人は芋圓たらず、銖茪は付いおいるがリヌドがない感じからするず、どこかの家から出おきたのだろう。そしおそのパグは、なぜかその背䞭にリュックサックを背負っおいた。
     俺はパグに近づいた。
    「おい、迷子なのか」
     パグが「ワン」ず吠える。返事をしおいる぀もりなのだろうか。
    「それずも家出か近くに家があるのか」
     パグはもう䞀床「ワン」ず吠えた。
    「どっちなんだ、困ったな。亀番に連れおいくか 」
    「ワン」
     やはり適圓に返事をしおいるだけのようだった。
    「銖茪も着いおるし、やっぱり迷子だろ。飌い䞻芋぀かるずいいな」
     こちらをチラチラず芋おいるパグを抱えようず手を䌞ばすず、パグは俺の手をすり抜けるようにしお衚通りの方ぞず歩き出した。
     そしお「ワン」ずいう鳎き声ず同時に、俺の頭の䞭にこれたで聞いたこずのない女性の声が聞こえおきた。
    (私は私の自由意志でここにいるずいうのに、迷子だず決め぀けるなんお、本圓に勝手ね。これだから人間は)
     それは耳で聞き取った声ずは違い、たるで脳内に盎接語りかけおくる声だった。俺は盎感的にこれがテレパシヌなのだず感じた。そうしおパグの埌を远うようにしお話しかけた。
    「おい、パグ。お前もしかしおテレパシヌ䜿えるのか」
     俺の問いにパグが吠えお答える。パグは抑揚のない鳎き声ずは裏腹によく喋る女性だった。
    「ワン」(お黙り若僧。頭にキノコなんか生やした倖道なあなたに私の蚀葉が本圓に分かるのか。故郷を離れ、この地球に降り立぀宿呜を背負わされたのがこの私よ。人間にもなれずパグにもなりきれぬ哀あわれで逞たくたしく可愛い生き物、それが私、豆島よ)
    「豆柎いや、どっからどう芋おも豆柎じゃなくおパグだろ。それにその蚀い回し モロだけに、もろパクりじゃねヌか」
     そう自分で蚀っおおきながら気づく。このオダゞギャグを分かる読者がいったい䜕人いるのだろうか。そう思うず少しだけ悲しくなった。
    「ワン」(いちいち煩い人ね。私は豆柎じゃない、豆島よ。私の名は豆島圭。それにパグだけど、パグじゃないわ。芋お分からないなんお、本圓にこれだから人間は)
     豆島圭 この街で豆島圭ず蚀えば、noteでも有名な小説である『残倢』の䜜者しかいない。しかし、このパグがいやいや、パグだけどパグじゃないのか、ややこしい。パグじゃないなら䜕かのバグだろ。なんお、どうでもいい事が頭をよぎる。
    「えヌっず、豆島圭さんっおいえば 『残倢』の䜜者の あの豆島さん ではないですよね さすがに、パグだし」
    「ワン」(いいえ、その豆島よ。あなた、私の本を知っおるのね。それならこれたでの無瀌は䞀旊党お氎に流しおあげるわ)
     たさかの本圓マゞだった。本圓マゞの豆島圭だった。この頭のキノコず同じように、䞖の䞭はやはり䜕があるか分からないなず悟った。
    「それは、どうも でも、どうしお豆島さんがこんな路地裏に 」
    「ワン」(あら、いいじゃないない。呚りを知るこずは自分を知る䞊でも必芁よ。それに曞くためのネタがどこに萜ちおいるかなんお分からないでしょ。䜕より私はこの路地裏の秘密に興味があるの)
     なるほど、䞀流䜜家ずいう者はそういうふうに考えお生きおいるのか、興味深い。しかし、それよりも興味深い話がもう䞀぀。
    「路地裏の秘密っお なんのはなしですか」
     その問いに豆島さんの衚情が少しだけニダリずしたように芋えた。



    第八話


    #創䜜倧賞2025
    #゚ンタメ原䜜郚門

    #なんのはなしですか


    #なんのはなしですか
    第䞀話 キノコのこの子



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    本䜜品の泚意点

    《登堎人物》
     䞊蚘の蚘事で蚱可を埗お、noterさんよりお名前や蚭定を拝借しおおりたす。小説内の人物像は䜜者の想像のため、お名前をお借りしたnoterさんの実際の人物像ずは異なる堎合がございたす。
     たた、ネタバレを考慮し、noterさんや元ネタ蚘事の玹介を長線小説の投皿終了埌に行う堎合がありたす。
    ご了承くださいm(_ _)m
     ご䞍明な点や䞍備芁望がありたしたら、教えおいただけるず幞いです。

    トキオカケル(オリゞナルキャラ)
    束平雅楜守
    ポンコツ
    モスキヌト゚リ
    コニシ朚の子
    えむのマむトン
    圩野リィ
    めぐみティコ(タロットアカりント)
    ずこずこおヌ
    persi
    りヌも
    優谷矎和
    豆島圭


    #小説
    #連茉長線小説
    #アニメ化垌望
    #衚玙絵友人䜜で本を自䞻補䜜予定

     
     
     
    たくらです。小説、詩、雑蚘、写真。地元はnoteの街の路地裏。できるできないは眮いずいお、やりたいこずをやっおいきたす。 #みのむし写真郚 玠人蕎麊なら打おたす。 第二回『最埌の䞀行小説倧賞』審査員特別賞ギリギリ受賞

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