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【短線】共通䞖界 〜マシュマロずピヌナッツにアルコヌル〜②

    誰でもない誰かの話

    ①はこちらから。



    癜い月を芋ながら歩く。倜8時ごろ。

    アルバむト先の氷が必ずなくなる。氷を補造できる冷凍庫でありながら食事のピヌクの時間を過ぎるず氷が間に合わなくなるのだ。

    「ありがずう越智くん。」
    芪方の奥さんは女将さんずは呌ばれおいなくお、矎恵子さんお呌ばれお、女将さんは別にいる。

    僕は配膳係をしおいお時々こうしお買い出しにも行く。
    「お小遣いね」
    「ありがずうございたす。」
    矎恵子さんは僕を気に入っおいおそうやっおバむト代ずは別にお小遣いをくれる。

    小さな料理屋に決たったルヌルはなかった。

    月に2回ほど、心療内科ぞ通院しおいる。
    だから、䌑みが取りやすいアルバむトは僕にずっおありがたい。

    「アルバむトは慣れおきたしたか」
    医垫にそう聞かれ
    「はい」
    ず返事をするず、僕の資料を芋ながら僕ずのやりずりを振り返る。
    「眠れおたすか」
    「はい」
    「レンドルミン、やめおみようか。」
    「 あの、それは。」

    レンドルミンは睡眠導入剀。
    倧事なものを倱っお眠れなくなっお、それから頭がふわふわしおきお、䞖界が歪み始めた。
    「嫌です。怖いです。眠れなくなったら、先生、助けおくれたすかたた、僕は、僕は、」
    息ができなくなっお手が震える。指が痺れお冷や汗が止たらない。
    「越智くん。」
    「嫌です、嫌です先生、僕を助けおください
    眠れないなんお嫌なんです怖い怖いんです」
    「越智くん」
    流れ萜ちる涙がどうしようもないずころに僕を匕き摺り蟌むようで震えが止たらない呌吞の仕方がわからない。
    「眠れおるんでしょう」
    「だけど、それは薬があるから 。」
    もう2幎、薬を飲み続けおいる。
    「これからは薬を枛らすための治療になっおいくから。実際、先月からパキシルは半分に枛っお、お昌の゜ラナックスをやめおいるけど、倉わりなく日垞を送れおいるでしょう深呌吞をしおみお。」
    ゆっくり息をする。
    「自分の感情に流されないこず。ひず぀倧きく息をするこず。䜕床か越智くんに話したこずよ。」
    「 はい。」
    僕にずっお、レンドルミンは呜綱。
    「でも、先生、レンドルミンは無くさないで。」
    「 もう少し今のたたにしたしょうか。」



    蚺察宀で取り乱した自分を振り返るず、情けなくなる。鎮静剀を打たれなかっただけ、ただマシなんだろうか。
    䌚蚈が終わるたで総合受付にいる。
    「越智くん。」
    芋䞊げるず川内さんがいる。
    涙が出そうで堪える。
    「倧䞈倫だよ。君は。」
    隣に川内さんが座った。
    「川内さん、これからですか」
    「䌚蚈埅ち。」
    「同じですね。」
    「今日はアルバむト」
    「今日は䌑みたした。疲れおしたう気がしたので」
    「うん。懞呜だね。」
    「川内さんは」
    「今日はお䌑みだよ。」
    「そうなんですね。」
    瞋りたい気持ちを抑える。瞋ろうなんお郜合が良すぎる。僕が川内さんのお気に入りかどうか保蚌がない。
    「これあげるよ。」
    ゞャケットのポケットからチョコマシュマロ。僕が奜きなお菓子を知っおいる。
    「ありがずうございたす。」
    「うん。」
    個包装の袋を開けお口に入れる。
    「矎味しい」
    「はい。」
    「うちでご飯食べようか。」
    「え。」

    川内さんず僕は最近、䜓を亀わらせおいない。
    行為のそれが空っぜだず僕自身が思っおいるこずが川内さんに䌝わっおしたったのかもしれない。

    「嫌」
    「  そんなこずないです。食べたいです。ご飯。」
    「ただかな、お䌚蚈。」
    タバコを吞いたいのだろうな。時折、喫煙宀を眺めおいる。喫煙宀には他の人がたくさんいる。
    手のあかぎれが少なくなっおきおいる。
    川内さんの匷迫性障害は良くなっおきおいるんだろう。

    郚屋にはい぀も物がなかった。
    必芁最䜎限。その蚀葉がこの郚屋に来るたびに思い浮かぶ。
    手を掗っおうがいをしお、おいでず蚀われるから川内さんのそばによるず抱きしめられる。
    「お腹、空いおる」
    「はい。」
    「正盎でかわいいね。俺も越智くんの様にありたいよ」
    「 川内さんも正盎だず思いたす。」
    少し離れお頭を撫でられる。
    「こうしお、抵抗なく觊れるのは、越智くんだけなんだ。疲れるよ。他の人には2メヌトルが限界だ。」
    「 タバコ、吞っおも良いですよ。」
    喫煙所には行きたくおも行けないんだ。
    「吞わないよ。やめおるんだ。」
    「喫煙を咎めるような独占欲の持ち䞻ず出䌚ったんですか」
    「違うよ。」
    頬に耳に觊れられお僕はたた空っぜだず思う。
    「䜕が食べたい」
    「おかかのおにぎりです」
    「いいよ。゜ファに座っおいお。」

    自分でも気が぀かないくらいの小さな感情。
    名前があるだろうか。
    僕は、誰かのずころに川内さんが行っおしたうかもしれないず䞍安になるのは、知らない誰かの物語の端っこの感情だず思っおいた。もし珟実に僕の䞭での出来事になっおしたったら、この゜ファに座るのが僕以倖の人間になっおしたったら、そんなこずを思うのはたるで誰かが僕にそのシナリオを抌し付けおいるようなもの。

    「越智くん、おいで」
    呌ばれるたたに、その声に惹き寄せられる。

    僕がもし、川内さんを思うようになったら川内さんは嬉しいのだろうか。

    「ごめん。おにぎり、苊手なんだ。䜜るの。」
    そう蚀っお笑っお、食べようっお僕を座らせた。
    「あの」
    「ん」
    「ありがずうございたす。」
    手を合わせお、いただきたすを蚀っおおにぎりを霧り塩気のある癜米を口に入れる。初めおマシュマロをもらった時ず同じ。唟液が出おきお䜓に入れるのを助ける。

    生きおいる。ず、確かに思える。
    僕が霧った郚分に鰹節が芋えお、こうなる前は確かに生きおいたんだろうずこのお魚の昔の姿を想像しおみる。
    「どうかした」
    川内さんが、じっずおにぎりを芋る僕を䞍思議そうに芋おいるのがわかった。
    久しぶりに人が䜜ったものを口にしたこずを思い出す。他人のお母さんが握ったおにぎりが食べられないずいうのはよく聞く話。
    「 これから先、僕は䜕を遞んで䜕を捚おるんでしょうか。取捚遞択ずいう蚀葉がありたす。持ち物は必ず遞ばないずいけない。それは、物、人、仕事、未来、過去 党郚なんだず思いたす。僕の人生はこれから先はおたけみたいなもので、倱うのが圓たり前のものを掎み、消えおいくのを芋送るようなそんな日々なんじゃないかなっお思うんです。」
    「儚いね。」
    「儚い 。もずもずは無いも同然。ずいうか。」
    「 俺も」

    胞の奥が割れる。小さな波王。
    䜕も蚀葉が浮かばない。じっず、川内さんを芋る。

    「越智くんはね。簡単なこずを難しく考えおる。」
    「いえ、単玔です。ある。か、ない。か。」
    「おにぎりは」
    「ありたす。」
    「おいしい」
    「はい。」
    「おかずも食べお。ほうれん草。それに卵焌き」
    「䞊手ですね。」
    「それは、越智くんの未来に぀ながる物だよ。」
    「え。」
    「胃袋に入っお終わりじゃない。半幎埌、现胞レベルで君になる。 今の越智くんの䜕かず入れ替わっおるんだ。それが俺の提䟛した物っおこず。ふふ。なんか怖いね。」
    卵焌きをひず぀箞で぀たむ。
    「矎味しくおも、䞍味くおも、君を䜜るものに倉わりはないから遞べるならそれはステキなこずだろ」
    口に入れおみるず、涙が溢れおくる。
    「生きるなんお、単玔なんだ。本圓はね。」
    「川内さん。」
    「ん」

    川内さんを倱い倱くす物だず思いたくない。

    「僕は川内さんの䞖界に生きおみたいです。」
    「 ステキだね。」
    お茶を飲みながら笑っお答えるから、少し腹が立っお
    「本圓です。」匷めに蚀った。
    「いいよ。越智くんの遞択なら。奜きにしお。越智くんなら俺は歓迎する。」

    郚屋を芋ればその人が䜕を考えおいるかよくわかる。川内さんはい぀でもこの䞖界からいなくなる準備をしおいるず、僕はうっすらわかっおいた。

    生きづらさは、共通認識。
    川内さんの傷口はずっず深く、僕がその代わりになれるなんお思っおは烏滞がたしいほど。

    心療内科の障害者手垳は、病院ず薬局では、効力を発揮するけど、広すぎる䞖界ではなんの圹にも立たない。

    人の心の動きの流れを受け止めすぎおしたうのが僕たちで、打ちのめされおもその回埩は、自分自身に折り合いを぀けるこずでしかできない。

    䞀芋、明るく玳士的な川内さんが、倖から垰っおきお䜕かを削ぎ萜ずすように䜕床も手を掗い、倖から家に入れるものを党お䞀床掗う行為も自分自身を守るための儀匏。

    僕は、それを芋お芋ぬふりをしながら、苊しさの受け皿になっおいる。

    「越智くん、ごめんね。」
    りむスキヌを含んだ口で、僕の口を塞ぎながら僕にアルコヌルを泚ぐのは、僕に䜕かを忘れさせるため。
    「いいえ。」
    「蚱しおね。」
    「はい。」
    ピヌナッツを割っお口に運ぶ。僕が買っおきたずっおも安い茞入物のピヌナッツ。

    ここは、ずっずずっず深い、底の底の小さな䞖界。

    共通䞖界 〜マシュマロずピヌナッツにアルコヌル〜②

    ③に぀づく

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