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水琴窟に触れて【琴線に触れられて 1 】



    これは、とても美しい比喩表現『琴線に触れる』を辿る旅を綴っている。

    はじまりは、



    ❖❖❖❖❖



    しゃがみ込んで

    感覚を地中に潜らせていく……、





    水琴窟に触れて 





    聞こうとする者だけに、
    届く音があることを知った。


    この音は耳を澄ますほど、
    周りを静かにしていく。


    音が世界を変えたのか、
    感覚がそうさせたのか。


    楚々とした落水は、
    敷かれた丸石に砕けて小さな水しぶきをあげる。


    はしゃぐような音が地中に吸い込まれて静けさを取り戻す時、
    その音は聞こえてくるのだ。


    『すいきんくつ』


    その名の響きは、
    まるでそのもの。


    過ぎし時の向こうで、
    この音を追い求めた者がいる。


    はじまりは、

    どこなのか…。



    音を愛でた者に呼応して、
    持ち得る技で応えた者がいる。


    そう痕跡が語っている。



    『水琴窟』



    音色を象り、
    名付けられ。


    ひとたび澄ませば、
    心奪われ。


    過ぎし者は、
    囚えられ。


    秘め事の如く、
    懐に入れ。


    そうまで愛でた、


    水琴窟。


    この音だけが響く無は、


    静寂纏わせ還りゆく音。


    過ぎし者が愛でた音。


    ひっそりと息づいて。


    音に溢れた世の片隅で。


    水琴窟は


    耳を澄ませる者を待つ。






    ❖❖❖❖❖



    人の心の奥底にある、
    秘めた感情。

    時にそれは、

    琴の糸のように震える。

    昔も今も。


    『琴線』


    いつから、その言葉はあるのだろう。

    意図せず震えた心の境界を、
    琴線と呼ぶのだろうか。

    美しいものに触れ、
    感動する物事に触れた時。

    琴線は微かに、
    または大きく糸を震わせる。

    糸が細かく震え、
    その後も余韻を残す様。


    『琴線に触れられて』


    時を超え、
    私の心の奥底を揺さぶって。


    私の琴線を爪弾くものを愛でる。


    かつて水琴窟を追い求めた者たちのように、

    私は琴線に触れられた物事を追い求めて…。






    ❖❖❖❖❖




     
     

    暁宵

     
     
    日々の暮らしの中で心に留まったことや、いつの間にか現れた人たちの物語を綴っています。 好奇心の赴くまま、ときどき開く「暁宵の庭」です。