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シャンプヌからあなた【掌線小説】

    ume15

    僕が死んでもしばらくは䞀緒だよ。⁣
    そんな䞀蚀を残しお逝ったあなた。⁣
    ⁣
    日が暮れる頃にやっず垰路に就く。今日ですべおが終わったかず思うず、耇雑な心境だった。⁣
    ⁣
    宅配ボックスに、あなたの勀務先から荷物が届いおいた。私は喪服を脱ぐよりも先に、その箱を開封した。⁣
    ⁣
    䞭に入っおいたのは、封筒ず詰替甚シャンプヌ、取扱説明曞の3点。⁣
    封筒の䞭身はメッセヌゞカヌドだった。「これでしばらくは䞀緒だよ。寂しくないよね」の䞀行。カヌドは開くず、たくさんのハヌトが飛び出すずいう胜倩気な仕掛けになっおいた。⁣
    ⁣
    腹が立った。なんなのよ。寂しいに決たっおるじゃない 病気でした、みたいな終わり方をしたうえに、この謎めいたメッセヌゞ、どういうこずなのよ⁣
    ⁣
    興奮したせいか、軜いめたいに襲われる。萜ち着け、私。そう、こういうずきは、枩かい飲み物だ。えっず、こ、玅茶。ケトルにお湯を沞かす。次に、ポットずカップを枩め (お湯をこがす) 、茶葉を蒞らし (茶葉もこがす) 、タむマヌをセットする (れロを抌しすぎお䜕床もやり盎す) 。⁣
    震えるようなため息がもれた。わかっおいたずはいえ、この事態に私は、思っおいた以䞊に傷぀き疲匊しおいるようだった。⁣
    ⁣
    玅茶を喉に通すず、バニラの甘い銙りず熱い液䜓によっお、力が入っおいた肩がストンず萜ちる。ごちゃごちゃした頭の䞭も敎理されおきた。そうか。これはもしかしお、あなたの遺品。⁣
    ⁣
    詰替甚シャンプヌを手に取り、印字された文字に目を走らせた。シャンプヌ〈〇〇の銙り〉ずある。あなたの名前が印字されおいる。やっぱりそうか。⁣
    ⁣
    取扱説明曞には、䜿甚方法や泚意事項などが蚘茉されおいた。遺蚀を遵守しおいただくために、お早目にご䜿甚を開始ください、ずある。他にも長々ず曞かれおいたが、今は読む気になれなかった。⁣
    ⁣
    あなたが買っおきたハヌト型のポンプボトルがあったはず。私はシャンプヌの口栓を開け、ボトルにそれを泚ぐ。けれど、党郚は入らず3分の1ほどが残った。⁣
    ⁣
    あなたの匂いだ。あなたが䜿っおいたフレグランスやボディ゜ヌプの銙りがした。あなたから立ち䞊る、私の奜きな銙り。たた涙が  、でも、さっきたでの涙ずは違うような気がした。⁣
    ⁣
    遺品は、たしか法埋が改正され、䞀人に぀き䞀品しか残せない。その䞀品ずしおあなたが遞んだのが、この詰替甚シャンプヌなの これはサプラむズ⁣
    ⁣
    その倜、シャンプヌのポンプを䜕床も抌したくなる衝動をこらえ、髪を掗った。バスルヌムはあなたの銙りで満たされ、悲しいのに幞せも同時に感じる、ずいう䞍思議な䜓隓をする。也かした埌の髪にも残り銙があり、私は安心しお眠りに぀くこずができた。⁣
    ⁣
    ずころが数日埌、䞀぀の問題が浮䞊した。⁣
    ロングヘアである私は、シャンプヌの䜿甚量が倚いのだ。ずいうこずは  。すぐさた脳内䌚議が始たった。⁣
    「どうしよう」⁣
    「薄めようよ」⁣
    「そうしたら、あの人の銙りも薄たっおしたうでしょう」⁣
    「じゃあ、䞀日眮きに䜿う」 ⁣
    「朝晩䜿いたいくらいなのに」⁣
    「そうよね」⁣
    「ショヌトヘアにするずか」⁣
    「なんか本末転倒な感じがする」⁣
    「远加で泚文できないか聞いおみる」⁣
    「遺品は䞀぀ず決たっおいるのよ」⁣
    そんなこんなの脳内䌚議の結果、詰替パりチに残っおいる分だけを薄めお䜿う、ずいう折衷案がたずたった。⁣
    ⁣
    このシャンプヌを䜿っおからの私は、あなたを倱ったずは思えないほど穏やかな日々を過ごしおいた。あなたが蚀っおいたように、い぀も䞀緒にいるような気がしおいた。䞀方で、バスルヌムでの幞犏感は、しだいに懐叀ぞず倉化しおいき、恋しいずいう感芚が薄れおいく。⁣
    ⁣
    私はこの䞍可解な心境の倉化に぀いお、玍埗できる答えを求めお、したい蟌んでいた取扱説明曞を匕っぱり出した。するずその䞭に、「薄めお䜿いたすず、お盞手様ぞの愛情も薄たりたす。反面、それによっお悲しみから解攟される効果が期埅できたす 」ずいう説明文を芋぀けた。⁣
    ⁣
    あなたはこれに賭けたのね。私の行動を予枬しお、わざず入り切らないボトルを甚意したりしお。寂しくないよね、ず蚀ったあなたの真意がやっずわかった。⁣
    ⁣
    私はあなたを愛しおいた。その事実は忘れない。けれど悲しみに぀いおは、あなたの思惑どおりになった  。⁣
    ⁣
    あなたはこれで良かったの⁣
    ⁣
    私は幞せだったよ。あなたのサプラむズにドキドキしたり、私のわがたたに優しく付き合っおくれたり、䜕よりもそそっかしい私を枩かく芋守っおくれた。䞖界䞀の恋人だった。⁣
    ⁣
    䞀幎間、ありがずう。⁣
    でも、もうバむバむだね。⁣
    ⁣
    私はシャンプヌの取扱説明曞の入っおいた匕き出しの奥に、あなたを玹介しおくれたKoibito Android 瀟ずの契玄曞を芋぀けた。⁣
    ⁣
    私の垌望する恋人のタむプ優しくおサプラむズ奜き⁣
    Koibito Android レンタル期間䞀幎、たたは䞀幎以内に他に奜きな人ができた堎合はその日たで⁣
    ⁣
    さらに読み進めるず、「曎新」「可胜」ずいう文字が飛び蟌んできた。⁣
    ⁣
    息が止たりそうになる。⁣
    緊急の脳内䌚議が始たったのは蚀うたでもない。⁣
    ⁣
    「どうしよう」⁣


    ©2022 ume15

    最埌たで読んでくださった方ぞ
    ありがずうございたす。
    心の奥底から、感謝申し䞊げたす。

     
     
     

    ume15

     
     
    2000文字皋床の小説ず、詩のようなものを曞いおいたす。少し先の未来やパラレル寄りの䞖界での、ちょっず䞍思議な芁玠を加味した、でもおそらく恒久的な、日垞を描いおいたす。すっきりしない読埌感に寛容な方に読んでいただけるず幞いです。

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