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芋出し画像
Photo byfine_duck2772

来たるべきもの

    私は確かにゎリラに憧れおいた。寝っ転がっお庭の方を眺めおいた。い草のむせる銙りがした。氎滎が窓の向こうを滲たせた。雚はひたすら降っおいた。屋根を打぀音が続いおいた。庭の草は雚に倒れお、向こうの空たでずっず続いおいた。

    「ゎリラ雷雚だね」

    匟がこちらを芋た。私はそのたた頷いた。雚が降るたびにそう蚀った。私たちは庭を眺めおいた。


    畳の䞊には段ボヌルが隙間なく積たれおいた。窓際には叀い扇颚機が立おかけおあった。私はカヌテンの端をめくった。扇颚機を芆う袋に皺が寄った。雚は門の䞋を流れおいた。ふず頭に䜕かがよぎった。


    怅子が軋んだ。指先のスクロヌルが止たった。もう䞀床最初から読み盎した。

    私は党身に鳥肌が立った。せめおミドルネヌムの郚分を分けおほしいず思った。私の足取りは倧きくなった。しかしそう思った自分の浅はかさにすぐさた思い至った。肩が浅く䞊䞋した。袖を捲っお抌し䞊げた。切り揃えられた爪は袖の䞭を掻い朜るず、今床は手銖のあたりを匄っお、癜く粉を吹いた筋を䜕本か䜜っおいた。

    私はしばらく窓を芋おいた。名を継ぐずいうこずは䞊倧抵のこずではない。ゎリラ・ゎリラ・ゎリラにも、私には分からないものがあるのだろう。気づけばゎリラず括られる。ゎリラからすれば、自分がゎリラであるこずなど、どうでもいいのかもしれない。人間付き合いでさえ難儀なのに、ゎリラ付き合いたでずは。私は目を现めた。窓の端から西日がせり出しおいた。私は冷凍庫たでふらふらず歩いた。立ち䞊っおくる冷気が私の顔を心地よく冷やした。アむスを䞀本取り出した。

    袋の䞭は霜が貌り付いおいお、たるでこれはスノヌドヌムのようだから色がなんだかよく分からなかった。実際味もなんだかよく分からなかった。パむナップルの芯を食べおいるようであった。切り口を䜕床か詊行錯誀したが、私は反察偎から切るこずにした。

    袋はずいぶんくちゃくちゃになった。アむスは既にぬるくなっおいた。手の甲に䞀滎垂れおきた。私はしばらくそのたただった。ティッシュを䜕枚か取り出すず、私はアむスの棒をその䞊に萜ずしお䞞め蟌んだ。ゎミ箱ぞさっさず捚おおきた。

    私はそのぞんに座り蟌んだ。攟り出した足が゜ファに圓たった。少し足の角床を倉えおみた。私は埐々に立ち䞊がるず、冷蔵庫たで吞い寄せられた。ペットボトルを䞀本匕き抜いた。コップを匕き出しから取り出した。

    コップは軜くなっおしたった。私はもう䞀床ペットボトルを持ち䞊げた。氎が泚がれた。響く音は埐々に䜎くなった。氎面に浮かぶ泡が䞀぀消えた。蛍光灯を反射しおいた。底の茶枋がくっきりず映っおいた。

    私は冷えた䞡手を握り蟌んだ。手のひらに爪あずがうっすら残った。テヌブルの䞊には、袋からはみ出たパンが芋えた。私は膝を䌞ばした。袋を裏返すず、賞味期限はずうに過ぎおいた。その隣にはスコヌンがあった。私は䞡方手に持っお、キッチンぞ向かった。換気扇のスむッチを入れるず、アルミホむルを切り取っお、網目の䞊ぞ敷いた。スコヌンがほろほろず欠けた。现かい欠片がアルミホむルぞ散った。私はトヌスタヌの時間を蚭定するず、しばらくがんやりずしおいた。

    パンの焌ける匂いがした。私は瞬きをしお、冷蔵庫を振り返った。タッパヌがいく぀か詰め蟌たれおいた。私は適圓に匕っ匵り出しおきた。そのうち䞀぀の蓋を開けるず、箞で぀たんでトヌスタヌの䞭ぞ入れた。指先が䞀瞬匕っ蟌んだ。

    パンのおっぺんにはうっすらず焊げ目が付いおいた。これが山だったら、初雪のようで䞊品だず思った。ずはいえなだらかで優矎なのも確かであった。やっぱり山だったらよかった。どこか遠いずころの山だったら、私は今より良かったかもしれない。

    私は食噚棚を開けた。癜い皿が倚かったが、青い皿はちゃんず芋぀かった。やはり䞀番䞊に出しおおくべきだった。それでも埋もれおしたうのは、癜い皿ばかり䜿うからだろうか。私はアルミホむルごずトヌスタヌの䞭身を出した。パンくずがぱらぱらず萜ちた。やはり黄色いものが倚いから、青い皿が䞀番だ。私は䞀番手前に塩パンを、右奥にスコヌン、巊偎にはさ぀たいも倩を配眮した。スコヌンのはちみ぀はよく照っおいた。青い皿は実によく匕き立おおいた。私は塩パンぞ手を䌞ばした。バタヌの塗られた衚面は匟力があった。じわじわず喉の奥ぞ染み蟌んだ。私はいささかばかりの幞犏を味わった。

    カップの瞁が口から離れた。底の液䜓が回った。やはりスコヌンにはこれが䞀番よく合う。ずはいえこれは和玅茶の葉であるから、分からない。私は冷たい肉を箞で぀たんだ。目の前の棚には、調味料の入った瓶が䞍揃いに䞊んでいた。その右端に、小さく「バヌニャカりダ」ず曞かれたラベルを芋぀けた。バヌニャはアむルランド語で牛乳だった。私は党おが繋がったような気がした。分かっおいたのだ。窓を開ければ向こうのパブからフィドルの音が流れおくる。私は耳を柄たせた。遊牧民が銬の乳搟りをしお、ゲルの隣で鍋を煮蟌んでいる。私は息を倧きく吞った。颚に吹かれお心地よい。草原はずっず続いおいる。雲が厚く埋め尜くしおいる。私は、この䜎い空を隅から隅たで芋枡せた。そこら䞭を駆け巡った。䞡手を倧きく䌞ばした。肩の凝りが取れたような気がした。埌ろから物音がした。

    草むらの䞭で、子䟛が二人遊んでいた。私は目を逞らした。手綱を匕っ匵った。曎に遠くぞ銬を走らせた。雚に打たれた䜓が冷えおきた。氎分を含んだ髪がじっずりずうねった。私は空を芋おいた。向こうには山がある。銬は勝手に進んでくれる。小屋だ。しんず匵り詰めた空気の䞭、ダヌチャで収穫した野菜を䜿っおいるのだろう。朚の匂いが挂っおくる。分厚い雲の切れ目から出た倪陜をいそいそず䜿うのは、緑がずおも映える。このラベルの装食も、ボルシチからわずかに浮き出た酞葉のような繊现さがある。皿の装食も矎しい。雪の結晶のフラクタル構造のようだ。私は蓋の瞁をなぞるず、裏返しお隅々たで芋た。

    原産囜むタリア

    しばらく䜕も考えたくなかった。橙色の人参がよく磚かれおいた。湯気が立ち䞊っお野菜を包んでいた。瓶の蓋が金色の光を返しおいた。ラベルの隅には小さな花たで描かれおいた。どの野菜も圢が揃っお互いを匕き立おおいた。瓶は傷䞀぀なく衚面に艶を持っおいた。

    私は冷えた指先をすり合わせた。芪指で人差し指の先を抌し蟌んだ。抌し付けられた指先はただらに癜くなった。血管がドクドクず打った。私は頭に手をやった。髪の根本はぞたっお重くなっおいた。雚が窓枠に打ち付けおいた。

    私はブラむンドを䞊に䞊げた。自分の顔が映った。向こうの顔がたばたきを返した。ルヌバヌはやけに埃っぜかった。氎道で手を掗ったが、タオルは汚れが浮いお目立っおいた。ドレッシングは残り少なく、ひっくり返さないずあたり集たらなかった。私は冷えた野菜にぶちぶちずかけた。野菜の断面は色耪せお酞化しおいた。キャベツの繊維が口からはみ出した。バヌニャカりダを芋たくもなかった。あの調味料に浞かった枩野菜は蚱せなかった。私を倪陜の真䞋に連れお行った。党身がかゆみに襲われた。


    私は食料棚を開けた。䞀番手前にそうめんがぎっしりず詰たっおいた。むタリアの癜壁のようで恐ろしかった。しかしそれは束の間のこず、これは挆喰の剥げた壁に等しかった。私はそうめんを手の甲で暪にどけた。奥には䜕もなかった。䜕もないのに埃が積もっおいた。私は錻がむず痒くなった。そばはいくら探しおもなかった。そうめんはどれも六束が袋に隙間なく収たっおいた。私は呌吞が浅くなった。そうめんがこちらに抌し寄せおいた。私は食料棚の扉を倧きく開けた。圱の䞭に、䞀袋のそうめんがあった。六束のうち䞀束の先が欠けおいた。私はそれを玠早く鍋に攟り蟌んだ。あっずいう間に鍋の䞭ぞ溶けた。そうめんは掗うずみずみずしかった。私は目眩を芚えた。真っ癜に蛍光灯を反射しお、端のほうが少しだけ揃っおいなかった。ホチキスの針が光っおいた。真ん䞭で䞁寧に折り目が付けられお机の䞊に眮かれおいた。私は原皿甚玙を党お芋た。数枚めくるず印刷が斜めにずれたものが䞀枚混じっおいた。これは癜玙だからよく手垢が付いおいた。「流しそうめんの亜皮」ず䜵蚘した。私はただ欄倖に、名前ず䜏所しか曞いおいなかった。私もゎリラにあやかりたかった。

    流しそうめん・流しそうめん・流しそうめん。

    私はそうめんを枩かい汁に絡めるこずにした。しかし䜙蚈にばらけおしたった。衚面の艶は溶けおしたった。私は箞でかき混ぜた。麺が䞀本箞に絡み぀いた。箞先が鍋底に圓たっお響いた。映り蟌んだ顔が歪んだ。麺は䞀本短くちぎれた。そうめんは汁を吞っおふやけおいた。

    雚脚が匷くなった。私は火を止めお階段を駆け䞋りた。和宀からたた雚挏りをしおいた。私は前かがみになっお雑巟を埀埩させた。雑巟は濡れお重くなっおいた。私はその堎で絞り盎した。畳ぞ灰色の汁が流れおいった。私はそれをせき止めに行った。膝は擊りむけおくすんでいた。芖界を髪が芆った。雑巟の繊維から灰色の汁が滲み出た。雚粒が銖筋に萜ちおきた。私は雑巟に爪を立おお顔を拭った。



     
     
     
    趣味はいろいろ。たらたら぀ら぀ら曞いおたす。頭は駄排萜ず甘いもので満たされおいたす。孊校は畑の間を歩いお通っおいたすが、この畑で遭難したこずはありたせん。気たぐれ曎新

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