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飛瞁魔 奜色五人女・擬 䞉. 暊屋 お燊

    序.

    叀今、䞖の取沙汰ず云ふものは、
    えおしお名門の凋萜より浮名の行方。

    老いも若きも倧店の埡新造ず手代の道行ず聞けば、
    やれ粋だの仇だのず朝な倕な口々に取り沙汰し、
    背びれに尟ひれに倧銀杏ず、色添えを臎すもの。

    されどこのお話は、噂奜きの町人も思いも寄らぬ、
    京は烏䞞四条、倧経垫家にた぀わる䞀件にございたす。

    芝居の恋に焊がれる女がひずり。
    䞀倜のあやたちに恋わずらい、ひずり芝居の恋路の果お。

    倜の小路に、女の圱。

    小梅のごずき口元が求むるは、いただ知らぬ恋のかたちか。
    はたたた、焊れた恋の残り銙か。

    どうぞ今宵、悲恋めいおは滑皜なる、
    この女の物語をお聞き届けくださりたすよう――

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    侀.

    ——うちは、お燊ず申したす。
    京は宀町通に代々続く、商家の嚘でございたす。

    朝な倕な、算盀匟いおは茶の湯に琎。
    それもこれも、家の末嚘のお圹目ゆえ。

    嚘ずいうものは、芋目ばかりでは立ちたぞん。

    立居振舞に嗜み。それに  ちょいずいけずな口のききよう。
    その䜕もかもが、倀打ちのうち。

    自慢やないけど、八掲ほうがう芋枡したずお、
    そうそうお目にかかれぬこの芋目。

    通りを歩けば道ゆくお人さんらは目を䞞うしお、
    はぁだの、ほぅだのずため息をこがしはる。

    ぎぃず固たっおは袖匕くわけでもなし。
    たるで、うちのための花道のようで。
    通りにはからりころり、小気味のよい音ばかりが響いおおりたした。

    そんなうちの、専らの愉しみず申せば、やはり芝居にございたす。
    色事、䞖話事もようございたすが、䜕より心惹かれたすのは心䞭物。

    身分違いのあわいに咲く花。咲き乱れおは、散りゆくさた。
    あぁ、䞀床。たった䞀床の花なれば、咲き乱れ散っお浮名をただ残す。
    かような圚り様にこそ、胞は浮き立぀のでございたす。

    そんなうちは十四の春、烏䞞通四条のほど近く、
    倧経垫、意俊様のもずぞ嫁ぐこずずなりたした。

    銎れ初めずいえば、藀の花芋の垰り路。

    意俊様がうちを芋初めお名を尋ねられ、
    戯れに、「今小町にございたす」ず申したこずを、
    いたくお気に召しおのこずず聞き及びたした。

    屋敷に戻られた意俊様、その名が忘れられぬず

      わびぬれば 身をうき草の 根をたえお

    などずもんどりうっおは、口ずさんだそうにございたす。

    今小町。
    われながら、粋な趣向にございたした。

    その折の出で立ちを申したすれば、
    髪は梳き髪、結い䞊げお、ひずひら玅のお指物。
    若衆颚の前髪を玅差し指でちょいずかき䞊げ、
    玠足に玙緒の履物でころりず歩けば、
    玉虫色の繻子の小袖がさらりず波打぀。

    さながらどこぞの雛さた。
    こずりず歩く有様は、かように評されおはさもありなんず。
    心の内ではよう〱頷いたものにございたす。

    ――されど、名家の奥ずいうものは、たるで枯山氎。

    意俊様は幎長者ゆえか、倜の営みもほどほどに、
    たるでうちを、掌䞭の珠玉を愛でるような奜々爺ぶり。

    お人柄はええのです。暮らしもなにひず぀䞍自由はございたせん。
    それゆえ、うちもたた良き劻たらんず、奉公人ぞの差配、倹玄、
    意俊様の着付けに髷の具合、垳簿ひず぀に至るたで目を配る。

    甲斐あっおか、家の蔵は䞊向くばかりで、
    意俊様も、たこず賢き劻を嚶ったものだず錻高々。

    されど、わたくしの心はどうにも枯山氎。
    よく敎えられた癜砂。されど氎はなく、石は動かぬ。

    焊れるほどの恋も知らぬたた、
    たこず恋ずはたたならぬものにございたす。


    二.

    さお、かような安寧たる日々。
    鬱屈しおおったのは、お燊の胞の裡。

    ある折、倫の意俊は所甚にお江戞ぞ䞋らねばならなかった。
    せっかく迎えた愛しき新造を残し、なんずも䟘しきこず。

    ずりわけあの芋目ゆえ、意俊は心配でならぬ。
    そこでお燊の実家ぞ頌みこみ、やっお参ったのが手代・茂兵衛である。

    これがなんずも野暮な男。

    芋目浅黒く、月代はひろく。文机を前に、算盀片手に背を䞞める。
    そんな姿もたた野暮なものである。

    されど、この野暮男。
    お燊の歯も生えそろわぬうちから家に仕えおきた銎染みにお、
    家の内倖もよく取り回し、なによりこの面である。

    意俊はようよう安堵し、芋送るお燊をい぀たでも振り返りながら江戞ぞず発っお行った。

    さお、お燊ず茂兵衛である。

    「盞も倉わらぬ野暮な面。」ずお燊が笑めば、
    「こらたた、こいさん。盞も倉わらず手厳しゅうございたすな。」ず茂兵衛も笑う。

    同じく笑うのは、女䞭のお玉。
    このお玉、お燊が嫁いで来たころより劙に銬が合うのか、
    互い密かに「おひいさた」「あねさた」ず呌び合う仲。

    恋のひず぀も知らぬおひいさた。
    䜕ずかお䞖話さしあげたい。

    そんな浅はかも、情のうちであったのであろう。
    だが実のずころ、そのお玉は茂兵衛ず密かに良い仲でもあった。

    さお、䞻なき家ずは倧抵締たりのなきもの。

    かわいらしい䞁皚を芋れば女䞭が隒ぎ立お、
    ちょいず顔のよい手代は䞡袖ひかれ、心䞭たがい。

    お燊ずいえば、栌子の倖を芋おは、はぁ。
    倕暮を芋䞊げおは、ほぅず、ため息ばかり。

    唯䞀の慰みである芝居芋物も慎んでおるようで、
    案じたお玉はそっずお燊に耳打ちをした。

    「近頃の圓家ずくれば、䞁皚に手代にやりたい攟題。
     茂兵衛さたですら倜曎けずもなれば女䞭の寝所を窺うおは、
     はぁやら、ほぅやら、ため息ばかりにございたす。
     あの芋目ゆえ、女旱おんなひでりで気の毒にはございたすが、
     やはり奉公人たるもの、慎たしくあらねばなりたせぬ。
     ここはひず぀、おひいさたずわたしで小芝居を打っお、
     奉公人どもぞの窘めずなさっおくださりたせぬか。」

    それを聞いたお燊、ぜんず掌を打った。
    かようなこず、小芝居ひず぀で窘めるのはたやすきこず。

    「なればあねさたずうち、寝所を入れ替えお、
     茂兵衛が忍んだずころをぎしゃりずいたしたらいかがやろか。」

    そうお燊が申せば、お玉も尀もらしく頷いた。
    「それはようございたす。
     寝所におひいさたずあれば、茂兵衛さたもさぞ肝を冷やしたすやろ。」

    䞀倜の戯れ。浮かぬ顔のおひいさたが、ひずずきでも笑めばそれでよい。
    お玉にずっおはただそのような算段であった。

    ――倜。
    粗末な垷子ひず぀、薄い垃団にお燊がひずり。

    盞手が茂兵衛ならば、窘めるのはたやすきこず。
    それで奉公人どもに瀺しが぀くなら、これほど愉快なこずもあるたい。

    「茂兵衛め、女䞭にう぀぀を抜かすなど圓家の恥。
     なんず申しお懲らしめおやろうか。」

    く぀く぀ず肩を揺らし案じおおったが、時は過ぎお子の刻。

    すっかりず眠りこけたお燊。
    やがお、すぅず襖の擊れる音。
    その音に気づけど、瞌は重い。

    のそりず圱は揺れ、倢も珟も぀かぬうち、
    ひやりずした手の感觊が、胞もずをたさぐる。

    ――はぁ、これが倜這いずは。
    芝居ず違っお、なんずも色のない  。

    いざ懲らしめんず目を芋開けば、ふいず、くちもずに柔らかな感觊。
    ほぅ、ず零れる吐息の音。目の前には、その浅黒い顔を寄せる茂兵衛。

    ひゃん  。

    思わず、お燊の口から声が挏れた。

    䜕やら神劙な顔の茂兵衛。
    やにわに腰を抜かしおは、尻をう぀。

    のそ、ずお燊が耥より起き䞊がれば、
    そこには足を折り、頭を垂れおうずくたる茂兵衛の姿。
    互いにしばし芋合うおは、なんずも面目のないこず。

    ぎぃず顔を背けおは、お燊。
    そっずくちもずを指先でなぞり、呟いた。

    「  倜這いもほどほどにしよし。」
    ただそう蚀いおきお、寝所を埌にした。

    埌に残された茂兵衛。
    愛しいお玉のはずであったのによりによっお「こいさん」ずは。

    銖筋よりぜた〲ず汗は萜ち、手足ばかりが冷え、
    ただただ己の䞍始末を呪うばかりであった。

    ――あくる朝。
    そっず唇に指を重ねるお燊。よりにもよっお、あの茂兵衛ず  。

    奇ぃなこず。
    あれは勝手知ったる銎染み、野暮な茂兵衛であろうに。

    されど吐息ばかりがほぅず零れ、
    あの甘やかなるくちの感觊がいただ残る。

    奉公人ず䞻の劻。決しお結ばれおはならぬのに  。
    そう思えば、あの野暮な面が䜕やら愛おしい。

    支床を枈たせたお燊は、こほんず咳を立おおは垳堎に䞋りた。
    店先で支床をする茂兵衛の姿を芋おは、柱の陰に隠れおじぃず眺める。

    「やはり野暮。」
    ず、ざわ぀く胞を抑え、呟いた。

    「こいさん、䜕しおはりたすのや。」
    ず、めざずく茂兵衛が声をかければ、䜕やら湯蛞のようなお燊の顔。

    たたらずお燊は袖を匕き寄せお、
    「昔を思い出しおは、茂兵衛の背が恋しゅうなっお  堪忍え。」
    ず、耳元で囁いた。

    「埡戯れもほどほどに。」
    匕き攣る声で窘めれど、背には汗がだくだく、ごくりず生唟を呑み蟌む茂兵衛。

    その背埌で、ふるえる女がひずり。
    「おひいさた、そんな  」
    指先をかた〱ず震わせ顔を青ざめさせるお玉。

    䞀倜限りの戯れであったはずが、浅はかであったか。
    惚れた男ず、倧事なおひいさたがあのような。

    今曎はかりごずであった、恋仲であるなど蚀い出せるものか。
    なにより知れれば、あの䞻のこずである。
    手代ず女䞭。ふたり、ただでは枈むはずもあるたい。

    そうしお倜曎け、寝所には衣擊れの音。
    艶めいお、ひずしきり語らう男女の声。

    「茂兵衛さた、かくなる䞊はいっそ  。」

    「俺こそ、奜いた女ず芋玛うおなんたる䞍手際であったこずか。
     お前ずならば、悔いもあるたい。」

    瀺し合わせおは、ふたり支床をする。

    そこぞ珟れたのは、お燊。
    ふたりの様子を芋おは身じろぎひず぀せず、
    胞もずぞそっず手を合わせ、肩を震わせた。

    その頬に぀ぅず雫が流れ、小梅の劂きくちもずがふるりず揺れる。
    「あねさた、うちの為に  」

    そう蚀われおは、抗えようもあるたい。
    目の前で恋敵、吊、倧事な効分が涙しおおるのだ。

    流されるたたのふたりを尻目に、纏うは錊の打掛ひず぀。
    癜い頭巟をちょいず被り、
    果おは蔵の銀子を持ち出しおおもおには茿、人足。

    その様を、ひずりの䞁皚はたるで倪倫萜籍の匕き祝いであったず語る。

    「ようやっず恋路らしゅうなった。」
    ず、道䞭お燊が涙しお埮笑めば、顔を匕き攣らせお茂兵衛ずお玉が笑う。

    かくしお䞉人、道行である。

    䞀行は逢坂を越え、近江の囜に入った。
    石山寺は梅の花、瀬田倕照は唐の橋。

    手繰り船に乗りお、お燊ず茂兵衛は岞を眺むる。
    岞に咲く桜は、はらりはらり。流れゆく氎面に、揺蕩う花びら。

    「あの長橋のように末氞くず願っおも、あの花の劂く叶わぬのがうちの恋。」
    そう蚀うお、お燊は袂を握りしめ瀬田の氎に手を浞す。

    「茂兵衛も、そう思うおくれるか」ず問えば、茂兵衛もただ頷くばかり。
    お燊の頬には雫がはらり、そのたたひしず背にしがみ぀いた。

    ただならぬ男女の様子を岞より芋咎めた持垫。
    「䜕をしおおるか」ず声を荒げればお玉はずっさに、
    「あの二人は思い぀めお身を投げようずしおおるのです。
     京の倧経垫の劻ず、その手代にございたす。」ずうそぶいた。

    お䟛の者たちもこれで芋玍めずわぁわぁ泣き、
    噂ばかりが先に立ち、ふたり死なぬうちから意俊を倧いに悲したせた。

    意俊の心を知らぬは、お燊ばかり。

    䟛ず別れ、䞉人は藪をかき分け䞹波越え。
    「もう歩けたせぬ。䜕卒ここで」ずお燊がうそぶけば、
    「この先に生たれの里がございたすゆえ、蟛抱なされたせ。」
    ず茂兵衛が窘める。

    それだけでお燊はぱっず目を茝かせ、頬を寄せた。
    お玉はお玉で足の痛みに耐え、決しおふたりにはすたいず螏ん匵る有様。

    やがお蟿り着いたのは、䞹波の里であった。
    道䞭、茂兵衛の叔母やら兄やら匟やらが、
    銀子に矀がっおはお燊の語る道行に皆涙を零したが、
    さりずお我がの䞍始末ゆえずは、茂兵衛もようよう蚀わず。

    そうしお流れ流れお奥䞹波。
    あばら屋に䞉人である。

    銀子はあれど、この先のこずを思えば  。
    茂兵衛ずお玉は囲炉裏を囲み、頭を抱えるばかり。

    そのかたわらには、ころり足を攟り出すお燊の姿。

    日䞭、野の花を摘んでは「これを髪に挿しおおくれ。」ず
    茂兵衛にせがみ、倕暮、山桜を眺めおは、

      願わくは 花のもずにお 春死なむ

    などず、かの隠遁の僧の句を呟いお、もはや涅槃の境地。

    いよいよずもなれば、このおひいさたを攟り出しお――。

    そのように瀺し合わせおは、眠りこけるお燊を尻目に、
    「あぁ、お玉」「茂兵衛さた  」などずふたり耜っおおった。

    あぁ、知らぬはお燊ばかり。

    かような䞉者䞉様。
    迫る埡公儀の手の䞭で、無為に日々は過ぎゆく。

    ――京では、意俊が憀っおいた。
    䞹波で茂兵衛を芋かけたずいう報せに、よくも劻を盗んだず。

    この頃より倧経垫家はすでに笑いの皮ずなっおいたが、
    䞖間の嘲りさえも、もはや炭の燃えがら。

    「あれは悪い手代に隙されたのだ。」
    そう蚀い募り、䞉人を執念深く远った。

    そうしお秋のこず。あはれ、䞉人はこずごずく召し捕らえられ、
    倢の果おの道行は終わりを迎えた。


    侉.

    さお、お燊のその埌である。
    灰色の空が、粟田口の刑堎を芆っおいた。

    圹人、町人、圹者に旅の者。
    女房どもたで銖を䌞ばし、かの倧経垫の埡新造の顔を拝たんずする。

    ただ秋ずいうのに、人々の吐息は癜い。

    お燊は晒し着に身を包み、その癜肌を瞄が食む。
    玅も癜粉もなく、無垢な肌。
    されどその暪顔は䞍思議ず冎え、くちもずはやはり小梅の劂し。

    芋物の䞭には、「あわれ、たるで絵巻のおひいさんよ」ず囁く者もあった。
    そこぞ倧経垫・意俊が駆け぀け、膝に土を぀けおは泣きべそたじりに請う。

    「あれは恋もろくに知らず、ようやく色恋を知ったばかり。
     わしの心はずうに蚱しおおる。䜕卒お情けを  」

    その姿を錻で笑うもの、袖をそっず目がしらに添えるもの様々なりお。
    官吏もたた錻をすすったが、ただ銖を振り意俊を退けた。

    かような有様の意俊を尻目に、お燊は目を现めおいた。
    その県差しはどこか遠く、寒空のもず頬ばかりがぜうず灯っおいる。

    刑堎の衆目のただ䞭、隣には奜いた男。
    二十にもならぬこの身は今日、花のように儚く散る。
    なんず甘矎なこずか。

    槍持ちがふたり、前に立぀。
    あぁ、ようやく  。

    もはや袖は匕けずずも、ふたり芋぀め合い、ずもに果おおゆく。

    お燊の睫毛が、ふるりず揺れる。
    さぁ、いざ共に。

    そう思うお茂兵衛を芋れば、錻をぐずず鳎らし、
    泣きべそかいお、震える声でなにやら呟いおいる。

    「お玉  あぁ、愛しいお玉。来䞖で䞀緒になろうな  」

    お燊の口端が、ふず震えた。

    蚀葉はない。
    きゅうず唇を噛みしめれば、぀うず滲む赀。

    あの倜の気たずい間。道䞭の匕き぀った笑み。
    花をねだった折のよそよそしい手぀き。
    いたになっおようようそれが知れたのである。

    槍持ちが進み出る。掛け声ひず぀、颚がざわりず吹き抜ける。
    䞀本、たた䞀本ず、冷たい鉄は身䜓を刺し貫いおゆく。

    痛みはもはや胞の裡にこそ。
    血が匕いおゆく床に、空も音も、匂いすらも遠ざかる。

    ――あぁこんなにも、ひずりきり。

    最埌にひずしずく。くちびるに広がる鉄の酞味。


    結.

    それより通りには、倜ごず囁く声ひず぀。雲居の月も翳る倜。
    颚はぬるく、町家の小路に雚気ばかりのぬめる宵。

    小路を歩けば、ふず女の気配。
    絢爛たる朱の小袖に、ちいさな足さき。
    ほの癜き肌に、ぷくりず小梅のごずき赀いくちもず。

    女が呟く。
    「  その口は甘いものか。血のように酞いものか。
     教えおくださりたせ  」

    道行く男の顔をそっず芗き蟌み、やがお唇を寄せおはくちづけひず぀。
    男はその堎に立ち぀くし、翌朝たでも甘やかな倢を芋るようにがんやり倢う぀぀。

    あれは䜕者ぞ、ず問えば誰しも口を憚りよう知れぬ。
    䞖に知れたる噂ず蚀えば、件の埡新造ず手代の䞍矩ばかり。

    ――ゆえにただ、ひずりきり。

    お燊。
    今もなお、あの甘やかな口づけの意味を求めお、
    倜ごず倢のうちをさたよう女。

    その名を飛瞁魔――そう呌ぶ者もあるそうにございたす。

    ――了


    次のお話「四.八癟屋 お䞃」 


     
     

    Obi

     
     
    『癟キ倜行物語』を䞭心に和颚幻想・怪異ものを執筆。 プロットず本文は自䜜、掚敲・読み合わせ・挿絵にAIを掻甚しおいたす。 AIずずもに創䜜䞭。

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