Coding Agentについてのまとめ (2026年1月)
こんにちは!逆瀬川 (@gyakuse) です。
改めてCoding Agentについて理解するために自分が見聞きしたこと、理解していることなどを全部出力してみることにしました。Coding Agentを理解するためには歴史を紐解き、OSSの実装を読み、実装してみる必要がありそうだな〜と思ったので全部やってみました。Coding Agentの使い方なども載せているので、ぜひ参考になれば嬉しい気持ちがあります。
何を書いている記事か
- Coding Agentの歴史
- Coding Agentの現代的テクニック
- Coding Agentを使いこなす
- Coding Agentの個人的な使い方
- Coding Agentを実装してみる
- Appendix 1: 主要OSSの詳細
- Appendix 2: 関連論文紹介
ちょっと長い記事ですが、これを読めばCoding Agentを使いこなせるだけではなく、自分で作ってみることができるようになります。Filesystem + CLIから成る現在のCoding AgentはCLI環境における汎用Agentとみなすことができると考えています (ゆえに、AnthropicもCoworkなどを出してきたと考えています)。なので、Coding Agentを作りたい人だけではなく、これからの時代のAgentを作りたい人にもオススメです。
Coding Agentの歴史
さて、最初は歴史から見ていこうと思います。前日譚となるお話はetherraさんの AIがコードを書く時代になるまでの90年をまとめてみた がかなりいい記事かつ論文を大量に引用していてめちゃよいのでオススメです。ここでは、より要約的に、2021年ごろからの製品を中心に見ていこうと思います。
年表
| リリース時期 | アプリケーション名 | 備考 |
|---|---|---|
| 2018年 | Tabnine | 初期はn-gram等での補完 |
| 2021年3月 | GitHub Copilot | OpenAI Codexによる補完 |
| 2022年12月 | ChatGPT | 対話形式でのコード生成が可能に |
| 2023年3月 | Cursor | 初期はCopilotのようなコード補完が中心 |
| 2023年4月 | AutoGPT | AgentによるCoding |
| 2023年7月 | MetaGPT | 分業化されたソフトウェアエンジニアリング |
| 2023年7月 | ChatGPT Code Interpreter | Sandboxにおける任意処理用Pythonコードの作成・実行 |
| 2023年7月 | Open Interpreter | Code InterpreterのOSS版 + α |
| 2024年3月 | Devin | Coding Agentのshell利用の一般化 |
| 2024年7月 | Cline | |
| 2024年11月 | Windsurf | |
| 2025年2月 | Claude Code | |
| 2025年5月 | Codex(OpenAI) | |
| 2025年11月 | Google Antigravity |
LLMによるコード補完の登場 (2021年)
- GitHub Copilotの登場
- 我々がよく知るLLMによる支援はまず GitHub Copilot から始まりました。これはGPT-3 (OpenAI Codex, 現在のCodexと名前が同じで本当にややこしい) をベースとしたコード補完システムで、タイピングをしていると自動的にその行の続きを予測してくれるものです
- autocompleteとの違い
- それ以前にもIntelliSenseのようなautocompleteがありましたし、より進歩したn-gramなどを用いたものはありましたが、LLMをベースとしたものはTabnine (Tabnineは初期はn-gramモデル) やCopilotからとなります
チャットベースのコードアシストの時代 (2022-2023年)
- ChatGPTの登場
- ChatGPT以降、チャットによる対話形式でコードを書いてもらうアプローチが一般化しました。これは現代でも使われる基本的なアイデアとなります
- Coding AgentではAgentが関連ファイルの探索をしコンテキストを構築してから実装しますが、チャットベースでは人間がこれを行い、コンテキストを構築して実装したものをファイルに貼り付けるという作業をしていました
エージェントの模索時代 (2023年)
- Context Windowの拡大
- 2023年3月にGPT-4が登場し、Context Windowは8kまで伸びましたが、複数のファイルを参照するには非常に限定された空間でした。よって、Contextに重要な情報をどのように詰め込むか、という問題探索が活発化しました。
- Code Interpreter / Open Interpreterの登場
- GPT-4でCoding能力が飛躍的に伸びたおかげでJupyter Notebookに書くようなスクリプトくらいは余裕で出力できるようになりました。Code InterpreterはGPT-4の出力したスクリプトをSandbox環境で実行するものです。簡単なデータ分析や処理ができるようになりました。
- Open InterpreterはそれをOSSにしただけではなく、以下の試みがありました (以下は初期のOpen Interpreterについて)
-
pythonとbashの2つの環境で動く- pythonコードブロックをLLMが出力したらpythonのREPL環境にそれが流し込まれる (特定のPythonファイルを作成している訳では無い)
-
Open Proceduresを用いた簡易RAG
- Open ProceduresとはPythonのスニペットを自然言語で検索できるサービス(Open Interpreterチームが作成)。Open Interpreterでのリクエストをここに投げスニペットを得てLLMの実装能力を改善させる試み
- 現代的なフレームワークの実現
- ReActのように計画し実行され、結果がContextに積まれました
- コンテキストの溢れ対応: REPLでの実行結果が2000文字より大きい分は削り、また特定の文字数を超える場合は先頭のメッセージを削除していました
- 明らかにヤバい方法ですが、「現状のプランを常に最新の返答に含めよ」というシステムプロンプトによってうまく動いていました。先頭にプラン情報があるのは現代でも同様です
- 終了判定: LLMの返答にコードブロックが含まれなくなったら完了という簡単な判断基準を持っていました
- コンテキストの溢れ対応: REPLでの実行結果が2000文字より大きい分は削り、また特定の文字数を超える場合は先頭のメッセージを削除していました
- ReActのように計画し実行され、結果がContextに積まれました
-
- Cursorの登場
- Cursorの進歩を見るとだいたいCoding Agentの進歩がわかります。めっちゃ頑張ってる。
- 2023年3月: 初期はGitHub Copilotと同様のコード補完機能がついたものでした
- 2023年4月: CodemirrorベースからVSCodiumのフォークへ移行
- 2023年6月:
@symbols対応. 特定のファイル等を参照可能に - 2023年6月: コード全体をembeddingでindexにし、RAGでの回答ができるように
- 2023年10月: Interpreter Mode (Code Interpreterのようなもの) 対応、Bash Mode (bashコマンドを使用して簡単な処理をする機能) 対応
- 2024年1月:
@web対応. Web検索可能に - 2024年7月: Composerの登場. 現代的なCoding Agentに
- 2024年12月: Agent in Composer, Yolo mode対応 (ターミナルでのAIの自動運転許可)
- 2025年1月: MCP対応
- 2025年2月: Agent Modeのデフォルト化
- 2025年7月: 実装前にTODOリストを作成する機能の追加
- 2025年9月: ブラウザを使ったテスト・デバッグ対応、プランモード(TODOモードよりより詳細な実装前の実行計画策定) 対応
- 2026年2月: SubAgentとAgent Skills対応
- Cursorの特徴としては8k Context問題から出発したためにリポジトリ内のコード探索はRAG (semantic search) をベースとしているところがあります。ただし現在ではgrepと併用されています。
- 2023年10月のブログ ではコンテキストへの8kまでの圧縮についての挑戦が書かれていて面白いです。
- Cursorの進歩を見るとだいたいCoding Agentの進歩がわかります。めっちゃ頑張ってる。
- AutoGPT
- 自律型なエージェントのアイデア
- 目標だけ与えれば、AIが自律的に思考・計画・実行・修正のループを回して達成するようになりました
- Thought / Plan / Criticism / Command
- LLMは以下のような推論を行い、作業を実行しました。
- Thoughts: 現在の思考
- Reasoning: その理由
- Plan: 次の計画
- Criticism: 自分自身への批判 (Constructive self-criticism)
- Command: 実行するコマンド (Google検索、ファイル書き込み、Python実行など)
- Config.continuous_modeをTrueにすると、ユーザーの許可なしに無限にこのループを回し続けることができました
- LLMは以下のような推論を行い、作業を実行しました。
- 自律型なエージェントのアイデア
- MetaGPT
- SOP (作業手順書) の導入
- MetaGPTは人間のソフトウェア開発会社のような標準作業手順書をワークフローに組み込みました
- ロールプレイによる分業
- ProductManager: ユーザーの曖昧な要求からPRD (製品要求仕様書) を作成
- Architect: PRDを元にシステム設計とファイル構成を決定
- Engineer: 設計書に基づきコードを実装
- QaEngineer: テストケースを作成し品質を担保
- SOP (作業手順書) の導入
CLIベースの登場 (2024年)
- Context Windowの拡大
- 2023年7月にClaude 2が登場し、Context Windowが100kまで伸びました。また、Prompt Caching (Context Caching) 技術により、コストを抑えて推論する環境も整いました。OpenAIも後を追うようにgpt-4-turboをリリースし、100k以上の時代が到来することになります
- これにより、複数のファイルを参照させ、AutoGPT, Open InterpreterのようにContextを積んでいくアプローチが一般化します
- Devinの登場
- SandboxにShell, Code Editor, Browserという武器を与えて動かすという非常に野心的な試みとして始まりました。現在まで続くCoding Agentの構成がここで出来上がります。
- Cline, Windsurf, …
- Cursor, Open Interpreter, Devin等の成功によって続々とCoding Agentが増えることになりました
CLIベースの活躍と現場での活用 (2025年)
- Coding Agentの民主化
- このへんでCoding Agentが実践され始めました。laisoさんの ClineとAIコーディングツールの現状 やmizchiさんの Clineに全部賭けろ がインパクトの大きいものとして印象に残っています。自分はこのあたりではまだ 最近のコーディングにおけるLLMの使い方QA に書いたようにコンテキストを自分で作り込んで送るアプローチを採用していました
- MCP / Skillsへの対応
- MCPが前年の2024年11月に発表され、各クライアントが続々と対応し、Coding Agentの手足が増えることになります。検索やブラウザの利用、さまざまな能力が付与されました。一方で、Context Pollution / Context Confusion の問題もあり、MCPの管理は課題として残りました。
- Claude Skillsは2025年10月に発表されたものでのちにAgent Skillsになりました。Skillが包含するのは手順書のようなものであったり、ツールの使い方だったりさまざまです。MCPはtool実行→結果の返却でしたが、SkillsはこれをCoding Agentの実行環境によく接地したもので、失敗しても回復しやすいものになっています。Skillsでは最大100トークン程度の洗練されたdescriptionを最初contextに挿入し、必要なタイミングで使い方をloadするという Progressive Disclosure (段階的な開示) 戦略をとっており、Contextの汚染を最小限にとどめます。とはいえ、pipのようなレジストラがまだ安定して存在しないことなどが今後の問題として残ります。
- プロダクトの増加
- プロダクトとしては2025年2月にClaude Codeが、5月にCodex、11月にAntigravityと続々発表されました。
Coding Agentの現代的テクニック
主要なCoding Agent (調査対象はCline, gemini-cli, Kilo, OpenCodeとしました) のテクニックを見ていきます。詳細な分析手法や結果はAppendix 1を参照してください。
Coding Agentを作る場合だけでなく、他のAgentを作る場合にも役立つ知見です。
System Instruction(システムプロンプト)の設計思想
静的なプロンプトではなく、環境やモデルに応じて動的に生成・最適化する手法が標準化しています。
- モジュール構造と動的生成: プロンプトを部品として管理し、実行時に組み立てます
- 構成要素: 役割(Role)、機能(Capabilities)、ルール(Rules)、ツール定義、システム情報(System Info)などに分割。
- 動的注入:
- OS、Shell、CWD(カレントディレクトリ)などの環境変数を実行時に埋め込む。
- プロジェクト固有のルール(
.clinerules,.cursorrules,AGENTS.md)を読み込んで追加する。 - モード別生成: KiloやOpenCodeのように、「Architect(設計)」「Code(実装)」「Ask(質問)」などのモードに応じて、プロンプトの内容と許可されるツールを切り替える。
- モデルごとの最適化: LLMの特性に合わせてプロンプトや形式を微調整します
- バリアント管理: Clineのようにモデルファミリー(Claude, GPT, Gemini)ごとに定義ファイルを持ち、得意な形式(XMLタグ vs JSON Schema)を使い分ける。
- XML vs Native:
- Native Tool Calling: OpenAI/GeminiなどAPIレベルで対応しているモデル向け
- XML Tool Calling: Claudeや非対応モデル向けに、システムプロンプト内でXMLタグによるツール実行を指示する(例:
<tool_code>...</tool_code>)- なお、ClaudeはStructured Outputに最近対応しましたがまだバギーです
Context Management
Coding Agentにとって最大のボトルネックである「コンテキストウィンドウ(トークン制限)」を管理するための戦略です
- 圧縮と要約: 履歴が長くなった際、単に削除するのではなく「意味」を残して圧縮します
- 自動要約: トークン使用量が閾値を超えた際、過去の会話履歴をLLM自身に要約させ、中間履歴を削除して「要約メッセージ」に置換する
- Reverse Token Budget: gemini-cliの戦略。最新の履歴(約30%)は完全に保持し、それより古い履歴にある「巨大なツール出力」を優先的に切り詰める
- Pruning(剪定): 過去のファイル読み込み結果など、重複または古くなった情報を削除し、「読み込んだ事実」のみを履歴に残す
- 出力の最適化: ツール実行結果(Observation)がコンテキストを圧迫しないよう加工します
- Truncation(切り詰め):
catやgrepの結果が数千行に及ぶ場合、自動的に先頭・末尾のみを残して切り詰める、あるいは一時ファイルに保存して「出力が長すぎるためファイルに保存しました」というメッセージに置き換える - 重複排除: 同じファイルを何度も読み込んだ場合、最新の結果以外をコンテキストから削除する
- Truncation(切り詰め):
ツール設計と実行戦略
単なるAPI呼び出しではなく、安全性と確実性を担保する設計になっています。
- 標準ツールの体系: 各OSSで共通して以下のカテゴリのツールを実装しています。
- File Operation:
read,write,replace(sed的な置換),apply_patch(diff適用) - Exploration:
list_files(ls),search(grep/ripgrep),glob - Execution:
run_command(shell),browser_action(Puppeteerによるブラウザ操作) - External: MCP (Model Context Protocol) サーバーへの接続による拡張, Agent Skills対応
- File Operation:
- 安全性と承認プロセス (Human-in-the-loop)
- Auto-approve vs User Confirm:
- 読み取り系(Read-only)は自動承認
- 書き込み系(Write/Execute)はユーザー承認を必須にする、または設定で「自動承認」を許可する
- Policy Engine: gemini-cliのように、ツールの実行前にポリシーエンジンが介入し、Allow/Deny/AskUserを判定するレイヤーを持つ
- Auto-approve vs User Confirm:
- 編集の精度向上
- Apply Patch / Diff: ファイル全体を書き換えるとトークンを浪費し、ミスも増えるため、
search_and_replaceブロックやパッチ形式(diff)を用いて、変更箇所のみを適用する手法が主流 - LSP連携: OpenCodeのようにLSP(Language Server Protocol)ツールを持ち、定義ジャンプや参照検索を正確に行う
- Apply Patch / Diff: ファイル全体を書き換えるとトークンを浪費し、ミスも増えるため、
プランニングとワークフロー
いきなりコードを書かせないための制御機構です。
- Plan Mode vs Act Mode
- モード分離: 「計画(Plan)」と「実装(Act/Build)」を明確に分ける
- Plan Mode: ファイルの書き込みを禁止(Read-only)。情報の調査、要件定義、計画の作成のみを行う
- Act Mode: 承認された計画に基づいて実装を行う
- Deep Planning: Clineのように、複雑なタスクに対して「調査 → 議論 → 計画書作成 → タスク化」という4段階のプロセスを経る
- モード分離: 「計画(Plan)」と「実装(Act/Build)」を明確に分ける
- タスク状態の追跡: LLMに「今何をしているか」を見失わせないための工夫です
- Focus Chain / Task Progress: ツール呼び出しのたびに、パラメータとして
task_progress(現在の進捗率や次のステップ)を入力させることで、LLM自身に現状認識を強制する - TODOリスト管理:
write_todosやupdate_todo_listツールを使い、コンテキスト内に常に最新のタスクリスト(Pending/In Progress/Done)を維持させる
- Focus Chain / Task Progress: ツール呼び出しのたびに、パラメータとして
外部コンテキストの統合
LLMが「見えないもの」を見るための情報注入技術です。
- IDE/環境情報の注入
- Editor State: 現在開いているタブ(Active Tabs)、カーソル位置、選択範囲のコードを自動的にプロンプトに含める
- File Tree: プロジェクトのディレクトリ構造(
treeコマンド結果相当)を常時、または動的にコンテキストに含め、ファイルの位置関係を把握させる - Terminal State: バックグラウンドで実行中のコマンドやその直近の出力を共有する
- 知識ベースの活用 (RAG/Memory)
- プロジェクトルール:
.clinerulesやGEMINI.mdなどのマークダウンファイルを読み込み、プロジェクト固有のコーディング規約や慣習を遵守させる - スキル/ドキュメント: タスクに応じて必要なドキュメント(Skills)や内部ドキュメントを動的にロードする(Just-In-Time Context)
- プロジェクトルール:
完了判定
いつタスクを終了するかを決定するメカニズムです。
- 明示的な完了ツール: LLMが「完了した」と判断した際に
attempt_completionやcomplete_taskツールを呼ぶ。これによりUI上でユーザーに完了確認(承認/拒否)を求めるフローへ移行する - ユーザーフィードバックループ: ユーザーが完了を拒否した場合、そのフィードバックをコンテキストに積んで、再びAct Mode(修正作業)に戻る
while True 型エージェントで面白いのは完了ツール呼び出し型の場合、完了ツールを呼ばないでください (例: 「complete_task は絶対に呼び出さないでください」) とすると実装にもよりますが、容易に無限ループに陥ることです。めちゃくちゃたのしい。
Coding Agentを使いこなす
Hackathon優勝者のClaude Code利用法から使い方を見ていきます。
- https://x.com/affaanmustafa/status/2012378465664745795
- https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
Subagentsによる分業体制
MetaGPTのような分業体制をSubagentsで成立させています。
- Planner (
planner): 実装前に要件を整理し、リスクを評価し、手順書を作成するだけの人。コードは書かない - Architect (
architect): システム設計やスケーラビリティを考える人 - TDD Guide (
tdd-guide): 「テストを先に書くこと」を強制し、Red-Green-Refactorのサイクルを回させる人 - Security Reviewer (
security-reviewer): コミット前に脆弱性やSecretの混入がないかチェックする人
例えば /orchestrate feature "認証機能の追加" のようなコマンドを叩くと、Planner → TDD Guide → Code Reviewer → Security Reviewer というバケツリレーが行われるように設計されています。
コマンドによるベストプラクティスの強制
よくやる作業をAgent Skillsとして定義し、短いコマンドで呼び出せるようにしています。
たとえば /tdd コマンドではAgentは以下の手順を強制的に守らされます。
- インターフェース(型定義)を先に書く
- 失敗するテストを書く (Red)
- 最小限の実装をする (Green)
- リファクタリングする (Refactor)
- カバレッジが80%以上か確認する
Hooksによる自動化
Claude Code(やその他のCLIツール)には、ツールの実行前後などにスクリプトを走らせる Hooks という機能があります。
- PreToolUse (実行前):
-
npm run devなどの長期間走るプロセスを検知したら、tmuxで実行しろと命令 - 不必要なドキュメントファイル (
temp.mdとか) を作ろうとしたらブロックする -
git pushの前に確認を入れる
-
- PostToolUse (実行後):
-
.tsファイルを編集した後、自動的にprettierとtsc(型チェック) を走らせる -
console.logが残っていたら警告を出す
-
Continuous Learning
セッションが終わるたびに このセッションから学んだ教訓を抽出し、次のセッションに活かす仕組みです。
- Observation:
- セッション終了時、うまくいかなかった点やユーザーからの修正指示を分析する
- Extraction:
- 「このエラーが出たらこう直すべきだった」「このプロジェクトでは関数型スタイルを好む」などのようなパターンを抽出する
- Evolution: 抽出したパターンを蓄積し、信頼度が高まったものは自動的にルール化する
コンテキストの節約術
MCP (Model Context Protocol) などのツールが増えると、プロンプトが肥大化し、コンテキストウィンドウ(記憶容量)を圧迫します。これを防ぐための工夫も随所に見られます。
- Reverse Token Budget: 古い会話履歴のうち、巨大なツール出力結果だけを優先的に削る
- Strategic Compact: 区切りの良いタイミング(設計完了時など)で、手動でコンテキストを要約・圧縮することを提案させる
Coding Agentの個人的な使い方
わたしがやっていることは以下のようなものです。
- Contextを作り込む
- うまく実装できない理由の9割くらいはContextを作れてないことにある
- Context Packingという概念は非常によく表していて好き
- https://addyosmani.com/blog/ai-coding-workflow/
- とくに初期段階では雑多書きでいいので考えていることをすべて書き出す
- 書き出したあと設計に落とし込み、大事な部分は固める
- 思っていたのと違うのはたいてい設計に落とし込めていないため
- うまく実装できない理由の9割くらいはContextを作れてないことにある
- 元の設計からズレだしたら、もとの設計書 + 現在の実装をもとにgemini-3.0-pro-previewなどの1Mコンテキスト対応モデルで差分をタスク化する
- このズレ修正は1M tokenまでしかできない
- 人間が認知できる形状にする
- diff, pull-requestをnanobanana等を使ってスライドにするなど
- 古いライブラリで作ることの対策
- Codexなどのモデルを使う (gemini系はドキュメントを与えても失敗しやすい)
- 実装リポジトリに外部ライブラリのdocumentを配置する
Coding Agentを作る
Coding Agentのコアとは何か
改めて、Coding Agentの核となる部分を考えると以下のようなものが挙げられます。
- 自由な武器を与える
- Shellツール(CLI)という最も汎用的な武器をもつこと
- 探索範囲の明確な限定
- Planningによる方針策定
- In-Context Learningの最大化
- 思考→アクション→観測ループをコンテキストに積むこと(コンテキストに積まれることが大事)
- LLMの能力を信じる
- 強力なワークフローを設定せず
while Trueをぶん回すこと- あくまで制約はユーザーのプロンプトやSkillsのコンテキストによって非決定論的にかけられる
- 強力なワークフローを設定せず
- Prompt Cachingを活用する
仕様を考える
既存のOSSを読むと、みんな頑張っています。Plan/Act, 権限, diffの適用, コンテキスト要約, LSP, ブラウザ対応, MCP/Skills対応, ...
全部やるとぼやけてしまうので、コアだけを作ることにフォーカスします。
- 要件
- LLMにはShellツール(CLI)のみ提供する
- LLMがシェルを叩いて、結果(stdout/stderr)を見て、また次のコマンドを決める
- 思考→実行→観測でゴリ押す戦略
- やらないこと
- ファイル操作ツールはつくらない
- shellさえあればなんとかなるので
- 権限管理 (Human-in-the-loop) はしない (最小で動くことが目的なので)
- コンテキスト圧縮もしない
- ファイル操作ツールはつくらない
- 唯一のツール (terminalツール) について
- 以下を受け取るツール
- command: 新しいコマンドを打つ(自動で改行)
- input_text: いま動いてるプロセスに文字を流し込む
- keys: enter や up/down などの特殊キー
- wait_seconds: どれくらい出力を待つか
- 処理フロー (2-4のwhileループ)
- ユーザーの指示を受ける
- LLMが実行方法を考え、Actionを推論する
- Terminalツールが実行される
- 結果がコンテキストに積まれる
- 終了条件
- Terminalツールを呼び出さなくなったとき
実装
https://github.com/nyosegawa/simple-coding-agent で公開しています。
全部で300行です。
System Instruction:
You are "Simple Coding Agent" (SCA), an expert engineer connected to a persistent local shell via PTY.
You are running on {os} in {cwd}.
**Your Core Mechanism:**
1. You interact with the shell using the `terminal` tool.
2. The shell is PERSISTENT. It remembers variables, cd, and running processes between turns.
3. You receive RAW terminal output (including ANSI escape codes like `\\x1b[36m`). Use this to detect active selections, colors, and prompts.
**Handling Long-Running Processes:**
- If you execute a command that takes time (e.g., `npm install`, `build`), set `wait_seconds` to a higher value (e.g., 10, 30).
- If the output comes back incomplete (e.g., ending with "Installing [==>...]"), simply call `terminal` again with empty input and `wait_seconds` to keep watching.
- Do NOT judge a process as "stuck" just because it is silent for a few seconds.
**Interactive CLI:**
- If you see a prompt (e.g., `?`, `[y/N]`, `Select:`), send the appropriate `input_text` or `keys` in the next turn.
- Use arrow keys (`up`, `down`) to navigate menus if you see list interfaces.
ツール定義:
TERMINAL_TOOL = {
"name": "terminal",
"description": "Send input to the shell and read output. Can execute commands, type text, or press special keys.",
"input_schema": {
"type": "object",
"properties": {
"command": {
"type": "string",
"description": "Shell command to execute (e.g. 'ls -la'). Appends newline automatically. Use this to start processes."
},
"input_text": {
"type": "string",
"description": "Text to type into the current process (e.g. 'y', 'my-project'). NO newline appended automatically unless keys=['enter'] is included."
},
"keys": {
"type": "array",
"items": {"type": "string", "enum": ["enter", "up", "down", "left", "right", "space", "tab", "esc", "backspace", "cntrl_c", "cntrl_d"]},
"description": "Special keys to press sequence. Processed AFTER input_text."
},
"wait_seconds": {
"type": "number",
"description": "Max seconds to wait for output after sending input. Default is 1.0. Increase this for long commands (e.g. 10 or 30) to save tokens.",
"default": 1.0
}
}
}
}
ループ部分 (極小):
処理フローはめちゃくちゃ簡単です。

while True:
try:
resp = self.client.beta.messages.create(
model=MODEL_NAME,
max_tokens=MAX_LLM_TOKENS,
betas=BETA_HEADERS,
system=[{
"type": "text",
"text": self.system_text,
"cache_control": {"type": "ephemeral"}
}],
messages=self.messages,
tools=[TERMINAL_TOOL],
)
except KeyboardInterrupt:
print("\n[SCA] Interrupted.")
break
except Exception as e:
print(f"\n[SCA] API Error: {e}")
break
self.messages.append({"role": "assistant", "content": resp.content})
# Check tool use
tool_use_block = next((b for b in resp.content if b.type == "tool_use"), None)
# Print text content (thinking)
for b in resp.content:
if b.type == "text" and b.text.strip():
print(f"\n\033[95m[SCA]\033[0m {b.text}")
if not tool_use_block:
# LLM did not use a tool -> Conversation turn finished or asking user question
break
if tool_use_block.name == "terminal":
args = tool_use_block.input
cmd = args.get("command")
inp = args.get("input_text")
keys = args.get("keys")
wait = float(args.get("wait_seconds", DEFAULT_READ_TIMEOUT))
# Display action
log_parts = []
if cmd: log_parts.append(f"CMD: {cmd}")
if inp: log_parts.append(f"Input: '{inp}'")
if keys: log_parts.append(f"Keys: {keys}")
log_parts.append(f"(Wait: {wait}s)")
print(f"\033[90m[Action] {', '.join(log_parts)}\033[0m")
# Execute
if cmd:
self.shell.write(cmd + "\n")
if inp:
self.shell.write(inp)
if keys:
for k in keys:
self.shell.write(KEY_MAP.get(k, ""))
# Read output
output_text = self.shell.read(duration=wait)
# Return result
self.messages.append({
"role": "user",
"content": [{
"type": "tool_result",
"tool_use_id": tool_use_block.id,
"content": output_text if output_text else "[No output in this duration]"
}]
})
できたもの
sca "NextJSでCoding AgentのLPを作って"

まとめ
- Agentを作る (だけ) なら非常に簡単な時代になりました
- 既存のOSSのテクニックを駆使すれば高度なAgentも作れます
- オレオレ Coding Agent / General AI Agent を作っていきましょう
Appendix 1: 主要OSSの詳細
何を比較するか
だいたいどれもFilesystem + CLIの構成なのであまり深堀りはしません。処理フローもだいたい同じです。Agentの実装で面白いのは、やはり以下のあたりです。ここに職人芸が出ます。
- System Instructionの設計
- 標準ツールは何があるか
- どのようにしてツールが選ばれるか—Function Callingの設計
- ツール結果はどのような形状でコンテキストに積まれるか—Observationの形状
- コンテキスト溢れの対策
- プラン戦略
- 持っているコンテキスト以外のものはあるか
- 完了はいつ起きるか?
1Mトークン以上のリポジトリをどうやって見るか
基本的にuithub等で全部コピーしていますが、1Mトークンを超えるとその戦略が使えません。ただしデカリポジトリでも0.8Mトークンくらいを読めば全体観はわかります。個人的にはdocsを読まないほうがより内容を理解してくれる感触があります。
でかいとuithubが重くなるので、自作の gemini-tree-token-counter を使っています(PYPI対応しているので pip install gemini-tree-token-counter で使えます)。
-
ツリー化:
gtcコマンドでリポジトリをツリー化するgtc https://github.com/Kilo-Org/kilocode
-
Context Packing: ツリー+gtcのhelp情報をもとにgeminiに 0.8Mコンテキストまでコンテキストを詰め込むコマンドを作って と伝える (docsを除外してとも書く)
- あくまでLLM側はツリー情報しか知りませんが、だいたいファイル名がちゃんと書いてあるのでうまくいきます
- 以下のようなコマンドを作ってくれます
gtc https://github.com/Kilo-Org/kilocode -c \ -d src/core/prompts \ -d src/core/tools \ -d src/core/kilocode \ -d src/core/task \ -d src/core/assistant-message \ -d src/core/diff \ -d src/core/context-management \ -d src/core/mentions -
分析: コマンドを実行した結果を全部コピーし、分析させます
分析するときは、上述のように何を知りたいかをまとめておくといいですが、対話形式でもいい感じのことを知ることができます。べんり。
Cline
- System Instructionの設計
- モジュラー構造による動的生成
- PromptRegistryがシングルトンとして管理し、モデルIDに基づき適切なPromptVariantを選択する
- PromptBuilderがVariant設定に基づきコンポーネントを組み立てる
- TemplateEngineがCWDやTOOL_USEなどのプレースホルダーを実行時の値に置換する
- PromptVariantによるモデルごとの最適化
- モデルファミリー(Claude, GPT, Gemini等)ごとに定義ファイルが存在する
- ネイティブツール呼び出しの可否やコンポーネントの順序を定義する
- 特定のセクション(RULESなど)をオーバーライドしてカスタマイズする
- 再利用可能なコンポーネント群
- AGENT_ROLE(役割定義)、CAPABILITIES(機能)、RULES(制約)、SYSTEM_INFO(環境情報)などで構成される
- モジュラー構造による動的生成
- 標準ツールは何があるか
- ファイル操作系
- read_file(読み取り)、write_to_file(新規作成・上書き)、replace_in_file(部分置換)、apply_patch(diff形式での編集)、list_files(一覧)、search_files(正規表現検索)
- コード分析系
- list_code_definition_names(Tree-sitterを用いた定義抽出)
- 実行環境系
- execute_command(シェル実行)、browser_action(Puppeteerによるブラウザ操作)
- 外部情報取得系
- web_search(検索)、web_fetch(コンテンツ取得)
- タスク管理・MCP系
- ask_followup_question(質問)、attempt_completion(完了報告)、new_task(タスク作成)、use_mcp_tool(MCPツール実行)
- ファイル操作系
- どのようにしてツールが選ばれるか—Function Callingの設計
- Native Tool Calling(ネイティブ方式)
- OpenAI、Anthropic、Geminiなどの対応モデルで使用される
- ツール定義を各プロバイダーのAPIスキーマ(JSON Schema)に変換してリクエストに含める
- PromptVariantのuse_native_toolsラベルで制御される
- XML Tool Calling(テキスト埋め込み方式)
- ネイティブ非対応モデルやGenericバリアントで使用される
- システムプロンプト内にXML形式でツールの使用法とフォーマットを記述する
- モデルはテキストとしてXMLタグを出力し、それをパースして実行する
- Auto-approve(自動承認)
- 設定に基づき、特定のツールやパスに対する操作をユーザー承認なしで実行するか判定する
- Native Tool Calling(ネイティブ方式)
- ツール結果はどのような形状でコンテキストに積まれるか—Observationの形状
- Native Tool Callingの場合
- roleがtoolまたはtool_resultのブロックとして追加される
- tool_use_idでリクエストと紐付けられる
- XML Tool Callingの場合
- roleがuserのメッセージとして追加される
- [tool_name for 'target'] Result: というヘッダー形式でテキスト化される
- コンテンツの構成
- テキストによる実行結果
- 画像(ブラウザのスクリーンショット等)
- ファイル内容(read_file等の結果)
- コンテキスト節約のための加工
- 重複したファイル読み込み結果は削除され、最新版を参照するよう注釈のみが残される
- Native Tool Callingの場合
- コンテキスト溢れの対策
- トークン使用量の監視
- APIリクエストごとに使用量を計算し、モデルの最大許容量(バッファ除去後)と比較する
- ContextManagerによる履歴操作
- 制限に近づくとsummarize_taskツールを強制的に呼び出すフローへ誘導する
- 自動要約と履歴の切り捨て
- モデル自身にこれまでの会話、解決済みの問題、次のステップを要約させる
- 最初のユーザーメッセージ(タスク定義)を残し、中間履歴を削除して要約メッセージに置き換える
- ファイル読み込みの最適化
- 会話履歴内で同じファイルが複数回読み込まれている場合、最新以外の出力を削除する
- トークン使用量の監視
- プラン戦略
- Plan ModeとAct Modeの分離
- Plan Modeは情報収集と計画立案に特化し、書き込み系ツールの使用を制限する
- Act Modeは実装と実行に特化する
- Deep Planning
- 複雑なタスク向けに、調査(Silent Investigation)、議論、計画書作成、タスク作成の4段階を踏むプロセス
- Focus Chain (Task Progress)
- 各ツール呼び出しのパラメータにtask_progress(チェックリスト)を含めることを推奨または強制する
- これによりモデルに常に進捗状況と残タスクを認識させる
- Plan ModeとAct Modeの分離
- 持っているコンテキスト以外のものはあるか
- Environment Details
- OS、シェル、現在時刻、タイムゾーン
- エディタの状態
- 現在開いているタブ(Open Tabs)
- 表示されているファイル(Visible Files)
- ターミナルの状態
- バックグラウンドで実行中のコマンドとその最新出力
- ルールとスキル
- .clinerulesや.cursorrulesなどのプロジェクト固有ルール
- SKILL.mdから読み込まれた特定のタスク向けの手順書(Skills)
- Environment Details
- 完了はいつ起きるか?
- モデルによる自己判断
- 全ての要件を満たしたと判断した時点でattempt_completionツールを呼び出す
- ユーザーによる確認
- ツール呼び出しによりUI上に完了確認が表示される
- ユーザーがその結果を確認し、承認ボタンを押した時点でタスク終了となる
- フィードバックループ
- ユーザーが完了を拒否してコメントした場合、タスクは継続しAct Modeに戻る
- モデルによる自己判断
gemini-cli
- System Instructionの設計
- インタラクティブなCLIエージェントとしてのペルソナ定義
- Core Mandatesとしてプロジェクトの慣習の遵守、ライブラリ使用の慎重な判断、既存コードのスタイル維持、最小限のコメント、積極的なテスト追加を規定
- 主要なワークフローの定義
- ソフトウェアエンジニアリングタスクでは理解、計画、実装、検証(テスト)、検証(標準準拠)、完了の順序を強制
- 新規アプリケーション作成では要件理解、計画提案、ユーザー承認、実装、検証、フィードバックの順序を強制
- セキュリティと安全性としてファイル変更やシステム状態を変更するコマンドの事前説明義務
- 環境に応じた動的なコンテキスト注入(Gitリポジトリの状態、サンドボックス環境の有無、利用可能なスキル一覧)
- プランモード時は読み取り専用ツールのみを許可し、探索と計画のフェーズを厳格化する指示への切り替え
- 標準ツールは何があるか
- ファイル操作系
- read_file(ファイル読み込み、行指定可能)
- write_file(ファイル書き込み、新規作成)
- replace(ファイル内の文字列置換)
- read_many_files(globパターンによる複数ファイル読み込み)
- list_directory(ディレクトリ一覧)
- 検索系
- glob(ファイル検索)
- search_file_content(正規表現によるgrep検索、ripgrep使用)
- 実行系
- run_shell_command(シェルコマンド実行、バックグラウンド実行対応)
- 外部アクセス系
- google_web_search(Google検索)
- web_fetch(URLからのコンテンツ取得)
- 記憶・管理系
- save_memory(長期記憶への保存)
- write_todos(タスクのサブタスク管理)
- activate_skill(専門スキルの有効化)
- ask_user(ユーザーへの質問)
- get_internal_docs(内部ドキュメント参照)
- ファイル操作系
- どのようにしてツールが選ばれるか—Function Callingの設計
- Gemini APIのネイティブなFunction Calling機能を使用
- ToolRegistryが利用可能なツール定義(スキーマ)を収集しモデルに提示
- モデルが生成したfunctionCallパートをクライアントが解析
- 実行前にPolicyEngineが介入し、ツールの実行可否を判定
- ALLOWなら即実行
- DENYならエラーを返す
- ASK_USERならユーザーに確認ダイアログを表示(CLIまたはMessageBus経由)
- 承認された場合、ToolExecutorが実際の処理を実行
- ツール結果はどのような形状でコンテキストに積まれるか—Observationの形状
- Gemini APIのfunctionResponse形式で履歴に追加
- 構造はfunctionResponseオブジェクト内にname(ツール名)とresponse(出力内容)を含む
- responseの中身は通常outputプロパティを持つJSONオブジェクトまたは文字列
- 画像やPDFなどのバイナリデータはinlineDataとして埋め込まれる
- 出力が非常に長い場合(Shellコマンド結果など)は自動的に切り詰められ、一時ファイルへのパスと「出力が切り詰められた」旨のメッセージに置換される
- LLM向けのコンテンツ(llmContent)とユーザー表示用のコンテンツ(returnDisplay)が区別して管理される
- コンテキスト溢れの対策
- ChatCompressionServiceによる履歴の圧縮
- トークン数がモデル制限の一定割合(デフォルト50%)を超えた場合にトリガー
- Reverse Token Budget戦略
- 最新の履歴(約30%)は完全な状態で保持
- それ以前の履歴にある大きなツール出力(functionResponse)を優先的に切り詰め(末尾30行のみ残すなど)
- 要約による圧縮
- 古い履歴をLLMに送り、構造化されたXML形式(state_snapshot)に要約させる
- スナップショットには全体のゴール、制約条件、重要な知識、変更の履歴、ファイルシステムの状態、タスクの進行状況が含まれる
- コンテキストウィンドウが溢れそうな場合の警告イベント発行
- プラン戦略
- System Instructionによる明示的な思考プロセス(Understand -> Plan -> Implement)の強制
- write_todosツールを使用したタスクの細分化と状態管理(pending, in_progress, completed, cancelled)
- ApprovalMode.PLAN(プランモード)
- 読み取り専用ツールのみ使用可能な状態で、要件定義、探索、設計のフェーズを強制的に経る
- ユーザーが計画を承認するまで実装(書き込み)フェーズに移行しない
- 持っているコンテキスト以外のものはあるか
- IDEコンテキスト
- 現在開いているファイル、カーソル位置、選択範囲の情報をJSONまたは差分として注入
- グローバルおよび環境メモリ
- ホームディレクトリやプロジェクトルートのGEMINI.mdから読み込まれた永続的な記憶
- JIT(Just-In-Time)コンテキスト
- アクセスされたファイルパスに基づいて、ディレクトリ階層を遡り関連するコンテキストファイル(GEMINI.md)を動的にロード
- Hookコンテキスト
- 外部拡張やスクリプトがフックを通じて注入する追加情報(hook_contextタグでラップされる)
- IDEコンテキスト
- 完了はいつ起きるか
- サブエージェントの場合
- complete_taskツールを呼び出した時点
- メインエージェントの場合
- モデルがツール呼び出しを含まない自然言語のテキスト応答を生成し、かつfinishReasonがSTOPとなった時点
- 異常終了
- 最大ターン数(MaxSessionTurns)を超過した場合
- ユーザーによる中断(AbortSignal)が発生した場合
- 回復不能なエラーが発生した場合
- サブエージェントの場合
Kilo
- System Instructionの設計
- モジュール構成
- vscode.ExtensionContextや現在の作業ディレクトリ、設定、モードなどを受け取るSYSTEM_PROMPT関数によって動的に生成される
- 役割定義(Role Definition)、ツール定義、能力(Capabilities)、ルール(Rules)、システム情報(System Info)、目的(Objective)の各セクションで構成される
- モードシステム
- Code、Architect、Askなどのモードごとに異なる役割定義と許可されるツールグループが割り当てられる
- ユーザー定義のカスタムモードやプロンプトのオーバーライドが可能
- カスタム指示の注入
- グローバルな指示(Global Instructions)とモード固有の指示(Mode-specific Instructions)を統合する
-
.clinerulesや.kilocode/rules/ディレクトリ内のルールファイルを読み込んでプロンプトに追加する
- 動的なコンテキスト挿入
- OS、シェル、ホームディレクトリなどのシステム情報を自動挿入する
- プロジェクトのファイル構造(environment_details)をユーザーメッセージの末尾に自動的に付与する
- モジュール構成
- 標準ツールは何があるか
- ファイル操作
- read_file: ファイル内容の読み取り(行番号付き)、画像やPDFの読み取りもサポート
- write_to_file: 新規ファイルの作成やファイルの完全な書き換え
- delete_file: ファイルやディレクトリの削除(Kilo固有機能)
- list_files: ディレクトリ内のファイル一覧表示(再帰可)
- コード編集
- apply_diff: 検索と置換ブロックを使用した既存ファイルの外科的な編集
- search_and_replace: 文字列の検索と置換
- fast_edit_file: Morphモデルなどを使用した高速な適用に特化した編集ツール(Kilo固有機能)
- apply_patch: 独自のパッチ形式を使用したファイル更新
- 実行と探索
- execute_command: システムシェルでのコマンド実行
- search_files: 正規表現によるファイル検索
- codebase_search: ベクトルデータベース等を使用したセマンティック検索(RAG)
- browser_action: Puppeteerを使用したブラウザ操作(クリック、タイプ、スクロール、スクリーンショットなど)
- タスク管理・メタ操作
- ask_followup_question: ユーザーへの質問や確認
- attempt_completion: タスク完了の報告と結果の提示
- update_todo_list: タスク進捗状況(TODOリスト)の管理
- switch_mode: 現在のモード(Code, Architect等)の切り替え
- new_task: 新しいタスクセッションの開始
- 外部拡張
- use_mcp_tool: MCP(Model Context Protocol)サーバーが提供するツールの実行
- access_mcp_resource: MCPリソースへのアクセス
- ファイル操作
- どのようにしてツールが選ばれるか—Function Callingの設計
- プロトコルの選択
- 設定やモデルの能力に応じてXMLスタイル(Claude等向け)またはNativeスタイル(OpenAI互換のtool_calls)のいずれかを使用する
- フィルタリングプロセス
- 現在のモード設定(例:Architectモードなら編集ツールは除外)に基づいて利用可能なツールをフィルタリングする
-
.kilocodeignoreによるアクセス制限や読み取り専用ファイルのチェックを行う
- プロンプトへの提示
- 許可されたツールのみがSystem Instruction内のツール定義セクションに含まれる
- Nativeモードの場合はAPIパラメータのtools配列として渡される
- プロトコルの選択
- ツール結果はどのような形状でコンテキストに積まれるか—Observationの形状
- プロトコルによる分岐
- Nativeプロトコル:
role: "user"のメッセージ内にtype: "tool_result"ブロックとして格納され、tool_use_idで紐付けられる - XMLプロトコル: ユーザーメッセージ内のテキストブロックとして、特定のXMLタグ形式で結果が記述される
- Nativeプロトコル:
- 結果の内容
- 成功時: コマンドの出力、ファイルの内容、操作の完了メッセージなどが含まれる
- 失敗時: エラーメッセージや例外の詳細が含まれ、モデルが自己修正できるようにする
- 画像: スクリーンショットなどは画像ブロックとしてメッセージに含まれる
- ユーザーフィードバック
- ツール実行に対するユーザーの承認または拒否コメントもツール結果の一部として統合される
- プロトコルによる分岐
- コンテキスト溢れの対策
- トークン監視
-
manageContext関数がトークン使用量を監視し、設定された閾値(デフォルトではウィンドウの数%を残す)を超えそうになると対策を発動する
-
- 要約(Condensation)
- 過去の会話履歴をLLMを使用して要約し、古いメッセージを単一の要約メッセージに置き換える
-
autoCondenseContext設定により自動化される
- スライディングウィンドウ(Truncation)
- 要約が失敗または無効な場合のフォールバックとして、最初のメッセージを保持しつつ、中間部分のメッセージを非破壊的に非表示(truncate)にする
- 必要に応じて巻き戻しが可能な設計になっている
- 読み取り制限
-
maxConcurrentFileReadsやmaxReadFileLineにより、一度に読み込むファイル数や行数を制限し、コンテキストの急激な消費を防ぐ
-
- トークン監視
- プラン戦略
- 目的セクション(Objective)
- タスクを明確なステップに分解し、順序立てて実行することを指示する
- 必要な情報を事前に収集し、推測ではなく事実に基づいてパラメータを決定するよう求める
- TODOリストの活用
-
update_todo_listツールを使用し、進捗状況(pending, in_progress, completed)を常に最新の状態に保つことで、長期的なコンテキストを維持する
-
- 反復的なプロセス
- ツール実行、結果の確認、次のアクションの決定というループを回す
- 一度に複数のツールを使用する場合と、ステップバイステップで確認する場合の指針がガイドラインに含まれる
- 目的セクション(Objective)
- 持っているコンテキスト以外のものはあるか
- MCP(Model Context Protocol)
- 外部のMCPサーバーに接続することで、ローカル環境以外のリソースやカスタムツールにアクセスする能力を持つ
- 環境詳細(Environment Details)
- ユーザーが明示的に提供しなくても、現在の作業ディレクトリ以下のファイルツリー構造が自動的にコンテキストに含まれる
- スキル(Skills)
- モードに応じて特定の専門知識や手順書(SKILL.mdなど)を動的に読み込む仕組みがある
- MCP(Model Context Protocol)
- 完了はいつ起きるか?
- 完了のトリガー
- モデルがタスクの要件を満たしたと判断し、
attempt_completionツールを呼び出した時
- モデルがタスクの要件を満たしたと判断し、
- 制約事項
- 現在のターンでツール実行エラーが発生していないこと
- 設定されている場合、未完了のTODOアイテムが残っていないこと
- ユーザー承認
-
attempt_completionの結果に対してユーザーが確認を行い、満足した場合にタスクが正式に終了する - ユーザーが追加のフィードバックを行った場合は、タスクは継続される
-
- 完了のトリガー
OpenCode
- System Instructionの設計
- モデルごとの最適化
- anthropic.txt, gemini.txt, codex_header.txtなどの専用テンプレートを使用
- 実行環境情報の注入
- OS
- プラットフォーム
- 現在の日付
- ワーキングディレクトリ
- Gitリポジトリの状態
- プロジェクト情報の統合
- AGENTS.md, CLAUDE.mdなどのルールファイルの読み込み
- treeコマンド結果によるディレクトリ構造の挿入
- エージェントの振る舞い定義
- モード(build, planなど)に応じた役割の規定
- セキュリティ制約の明示(悪意あるコードの拒否)
- ツール使用ポリシー(並列実行推奨など)の記述
- モデルごとの最適化
- 標準ツール
- ファイル操作
- read(読み込み)
- write(新規作成・上書き)
- edit(文字列置換)
- apply_patch(パッチ適用)
- 探索・検索
- glob(ファイル名検索)
- grep(正規表現検索)
- list(ファイル一覧)
- lsp(コード解析)
- シェル・実行
- bash(コマンド実行)
- 外部アクセス
- webfetch(URLコンテンツ取得)
- websearch(ウェブ検索)
- codesearch(コードライブラリ検索)
- タスク管理・計画
- task(サブエージェント委譲)
- todowrite(タスク作成・更新)
- todoread(タスク確認)
- plan_enter(計画モード開始)
- plan_exit(計画モード終了)
- その他
- question(ユーザーへの質問)
- skill(専門スキルの読み込み)
- ファイル操作
- ツール選択の設計(Function Calling)
- 実装基盤
- Vercel AI SDKのstreamTextおよびconvertToModelMessagesを利用
- フィルタリング
- エージェント設定に基づく利用可能ツールの選定
- ユーザー権限(PermissionNext)による許可・拒否・確認の判定
- プロンプト戦略
- 許可されたツールのみを定義として提示
- 依存関係のないツールの並列実行を推奨
- 実験的なbatchツールによる同時実行
- 実装基盤
- ツール結果とコンテキストへの積載(Observation)
- データ構造
- role: toolとしてメッセージ履歴に保存
- content配列内にtype: tool-resultとして格納
- toolCallIdによるリクエストとの紐付け
- 出力処理
- 成功時はresultオブジェクトに出力を格納
- エラー時はエラーステータスを記録
- 特殊データの扱い
- 長大な出力は自動的に切り詰め(Truncate)、別ファイルへ保存し要約のみ積載
- 画像やバイナリはBase64エンコードして添付
- データ構造
- コンテキスト溢れ対策
- 自動コンパクション
- トークン数が閾値を超えた際の自動発動
- 要約処理
- 会話文脈を要約し新セッションの先頭に配置
- 剪定(Pruning)
- 古いツール実行結果の内容を削除し履歴のみ保持
- 監視
- 入出力およびキャッシュトークンの常時計測
- コンテキスト分離
- Taskツール利用時のサブエージェントによる別セッション実行
- 自動コンパクション
- プラン戦略
- 状態管理
- Todoツールによるタスク進行状況の管理
- Plan Mode
- ファイル編集を禁止したRead-Only状態での稼働
- planエージェントへの切り替え
- 永続化
- .opencode/plansディレクトリ下のファイルによる計画保存
- 調査フェーズ
- Exploreエージェントの並列起動によるコードベース調査
- 承認フロー
- plan_exitツールによるユーザー承認と実装モードへの移行
- 状態管理
- 保持している外部コンテキスト
- プロトコル接続
- MCPサーバーリソース
- LSPサーバー解析情報
- システム状態
- Gitブランチ情報
- ワークツリー状態
- 環境変数
- クライアントデータ
- クリップボード内容
- 永続化ストレージデータ
- プロトコル接続
- 完了のタイミング
- 正常終了
- LLMがツール呼び出しを行わずテキストメッセージを返却
- 強制終了
- 最大ステップ数への到達
- ユーザーによる中断操作
- サブタスク完了
- サブエージェントが結果を親エージェントへ返却
- 正常終了
Appendix 2: 関連論文紹介
次はこの期間に出てきた論文をみていこうと思います。特に関連していそうな, 個人的に興味を惹かれるものをピックアップしているので偏りがあります。総合的なサーベイ論文としては From Code Foundation Models to Agents and Applications (Yang et al., 2025) をおすすめします。300ページ超えの長大な論文ですが、トレーニング手法から最新のアプリケーションまで追っていて非常に参考になります (アプリケーションについては紹介が主ですが)
コード補完に至るまでの道
- Codex
- https://arxiv.org/abs/2107.03374
- 真・OpenAI Codex論文です。GPT-3にCodeを追加学習させたら最強になったよという話
Agent概念の導入
- ReAct
- https://arxiv.org/abs/2210.03629
- 思考→行動→観測のループ大事だよねって話
- Toolformer
マルチエージェントによる初期の試み
- ChatDev
- https://arxiv.org/abs/2307.07924
- ソフトウェア開発会社全体をシミュレーションし、ロールプレイによる分業が性能向上に効くことを示した論文
- MetaGPT
- https://arxiv.org/abs/2308.00352
- AgentにSOP (標準作業手順書) を導入し、役割ごとに構造化された出力を強制することで品質を安定させた論文
リアルワールド適用への模索
- Lost in the Middle
- https://arxiv.org/abs/2307.03172
- Context Windowが広くても真ん中の情報は忘れられるって話
- SWE-bench
- https://arxiv.org/abs/2310.06770
- 実際のGitHub Issueを解かせるベンチマークの導入, 一時期デファクトスタンダードだった
- Agentless
- https://arxiv.org/abs/2407.01489
- いわゆるAgenticではなく、単純な検索と修正だけでSWE-benchの上位に行けることを示した論文
Codebaseのよい扱い方の探索
- RepoCoder
CLIベースのアプローチの登場
- SWE-agent
サーベイ
- AI Agentic Programming: A Survey of Techniques, Challenges, and Opportunities
- From Code Foundation Models to Agents and Applications: A Comprehensive Survey and Practical Guide to Code Intelligence
- A Survey of Vibe Coding with Large Language Models
Coding Agentの影響について
-
AI-Driven Innovations in Software Engineering: A Review of Current Practices and Future Directions
- 2025/01
- https://www.mdpi.com/2076-3417/15/3/1344
- ソフトウェア開発の変遷について
- The Rise of AI Teammates in Software Engineering (SE) 3.0: How Autonomous Coding Agents Are Reshaping Software Engineering
- https://arxiv.org/abs/2507.15003
- 実際のプルリクをもとにした分析。AIDevデータセットとして公開している
Discussion