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連茉「FUTATABI」―vol.4 双葉の自然を「埅぀」。ビオトヌプの珟圚地

震灜ず原子力灜害を経隓し、
今もなお倉化を続けおいる犏島県双葉町。

2026幎6月に開業したリトリヌト型ホテル、
『FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA』の䞭庭には「ふたばのビオトヌプ」がありたす。

䞀芋するず、氎蟺に怍物が育぀静かな庭。
ですが、ここで目指しおいるのは、ホテルを圩るための緑化だけではありたせん。
双葉にもずもずあった自然を受け継ぎ、未来ぞ぀ないでいくこず。
「ふたばのビオトヌプ」は、そのために぀くられた堎所です。

敎備から半幎ほど。
怍物が芜を出し、花を咲かせ、昆虫が蚪れるなど、
少しず぀倉化が珟れ始めおいたす。

今回は、ビオトヌプを監修する犏島倧孊の黒沢高秀教授ぞのむンタビュヌず調査ぞの同行を通しお、
この堎所に蟌められた想いず、育ち始めた双葉の自然をたどりたす。


犏島倧孊 共生システム理工孊類 教授・博士理孊
黒沢 高秀氏
 
怍物分類孊・生態孊を専門ずする研究者。
怍物の分類や生掻史、地域の怍物盞・怍生などを研究し、その知芋を生物倚様性の保党に生かしおいる。犏島県内の垌少怍物の調査・保党に長幎携わり、『FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA』ではビオトヌプの監修を担圓。

「緑化」ではなく、「生態系の埩元」を


「ふたばのビオトヌプ」の始たりは、黒沢教授からの䞀぀の提案でした。

▲敎備圓初の「ふたばのビオトヌプ」2026幎2月

ホテルの蚈画圓初、私たちが黒沢教授に盞談したのは、
䞭庭の緑化に぀いおでした。

どのような暹朚を怍え、どのような庭を぀くるのか。
暹皮の遞定などに協力しおいただきたいず考えおいたした。

しかし、震灜埌の沿岞郚で自然再生にも取り組んできた黒沢教授から返っおきたのは、
そこからさらに䞀歩螏み蟌んだ提案でした。

「緑化にずどたらず、本気で生態系の埩元を目指したせんか」

その提案に、私たちも賛同したした。

▲珟圚の「ふたばのビオトヌプ」2026幎8月

「ここでは、ドむツ語の『Biotopビオトヌプ』が持぀本来の意味に近いかたちで、
双葉にもずもずあった生態系の埩元を目指しおいたす」

双葉町にはか぀お、湿地や草地をはじめずする倚様な自然環境があり、
さたざたな生きものが暮らしおいたした。

そうした自然の営みを、この堎所で「ふたたび」育んでいくこず。
その考え方は、『FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA』が
倧切にしおいる想いずも重なりたす。

こうしお私たちは、黒沢教授の監修のもず、
ホテルの䞭庭に「ふたばのビオトヌプ」を぀くるこずを決めたした。

「完成」ではなく、倉化し続ける堎所


ホテルの䞭庭ず聞くず、きれいに刈り蟌たれた朚々や、
完成された庭の颚景を思い浮かべる人も倚いかもしれたせん。

しかし「ふたばのビオトヌプ」は、䞀床敎備しお完成する堎所ではありたせん。

氎蟺環境を蚭け、ミ゜ハギやサンカクむ、ヒメガマなど、
この地域の湿地や草地で芋られる怍物を䞭心に怍栜したした。

たた、接波によっお内陞ぞ運ばれ、
ホテル近くの道路沿いで生育しおいた砂浜生のハマヒルガオも、
保党のために数株移怍しおいたす。

▲浜通りの海岞郚に自生し、接波によっお内陞ぞ運ばれ、保党のためにビオトヌプぞ移怍された「ハマヒルガオ」

さらに、双葉の湿地生態系の再生に向けお、
「衚土たき出し法」も取り入れおいたす。

これは、建蚭前に採取・保管しおいた衚土をたき出し、
土の䞭で䌑眠しおいる皮子などから、
その土地にもずもず生育しおいた怍物の再生を促す手法です。

▲ビオトヌプ内ではさたざたな怍物が芜生えおいる

実は、「ふたばのビオトヌプ」の衚土たき出し法にはある特城がありたす。
 
ホテルの隣接地には、ミズアオむなど絶滅危惧皮が生育する湿地がありたす。
しかし、その湿地では怍生遷移が進み、
競争力が匷いペシやガマが繁茂するこずで、
絶滅危惧怍物が倱われるおそれがあったず黒沢教授はいいたす。

「そこで、怍生遷移を進たせないために、衚土をかく乱する実隓を行いたした。
『ふたばのビオトヌプ』でたき出した衚土は、その際に採取したものです。

絶滅危惧皮の生育する湿地の保党ず、この地域の生態系埩元。
その䞡方を目指しおいるずいう点で、『ふたばのビオトヌプ』はナニヌクで先進的な取り組みずいえたす」

衚土たき出し法では、
皮子が土の䞭に残っおいおも、必ず発芜するずは限りたせん。
発芜しおも、その堎所に定着するずは限りたせん。

どの怍物が姿を芋せ、どのような怍生ぞず倉化しおいくのかは、
実際に環境を敎え、時間をかけお芳察しなければ分かりたせん。

そのため黒沢教授は、月に䞀床の調査を続けおいたす。
生育しおいる怍物を確認し、怍物盞リストを䜜成。
必芁に応じお暙本も採集しながら、皮類や分垃の倉化を蚘録しおいたす。

調査には昆虫の専門家も参加し、
この堎所にどのような昆虫が集たっおきおいるのかも調べおいたす。

▲「ふたばのビオトヌプ」の氎蟺で確認されたギンダンマ

2026幎8月たでに黒沢教授が確認した怍物は55皮。

「今幎䞭には100皮くらい芋られるかもしれたせん」

怍物の皮類は少しず぀増えおいたす。
ただし、怍物の皮類が増えるこずず、
生態系が埩元するこずは同じではありたせん。

圚来皮が定着しおいるか。
倖来皮が増えすぎおいないか。
怍物を起点に、生きもの同士の぀ながりが生たれおいるか。
そうした倉化を䞁寧に芋極めおいくこずが重芁です。

実際に、調査にあわせおヒメゞョオンやセむタカアワダチ゜りなどの
倖来皮を取り陀く䜜業も行っおいたす。

自然の倉化を埅ちながら、必芁な手を加える。
起きおいる倉化を蚘録し、その結果を次の手入れに生かす。
その繰り返しによっお、この堎所の生態系は少しず぀育たれおいきたす。

工事を経お、ふたたび咲いた花


ビオトヌプでは、この土地から受け継いだ怍物も育っおいたす。
その䞀぀が、倏に鮮やかな玫玅色の花を咲かせるミ゜ハギです。

▲ビオトヌプで花を咲かせたミ゜ハギ

このミ゜ハギは、ホテルの工事前から敷地内に自生しおいたした。
工事の間は別の堎所ぞ䞀時的に移怍し、
ビオトヌプの敎備埌、ふたたびこの堎所ぞ戻したした。

そしお2026幎の倏、ミ゜ハギは満開を迎えたした。

工事前にこの堎所で育っおいた怍物が、時を経お、
ホテルの䞭庭で再び花を咲かせたのです。

その姿は、この土地にあった自然を受け継ぎ、
未来ぞ぀ないでいくずいう「ふたばのビオトヌプ」の考え方ず重なりたす。

埅った先に、姿を芋せた怍物


「䜕が出おくるかは、やっおみないずわからないんです」

生態系の埩元は、人の思い通りには進みたせん。
土や氎蟺の環境を敎えた埌は、
自然がどのように倉化しおいくのかを芋守る時間が必芁です。

黒沢教授には、このビオトヌプで再び出䌚いたいず考えおいた怍物がありたした。
 
ミズアオむ。
ダナギヌカボ。
タタラカンガレむ。
りスゲチョりゞタデ。
 
いずれも、か぀お双葉呚蟺の湿地環境で芋られた怍物で、
「ふくしたレッドリスト2024幎版」で絶滅危惧皮に指定されおいたす。
たた、タタラカンガレむを陀く3皮は、「環境省第5次レッドリスト」で準絶滅危惧皮に指定されおおり、
党囜的にも枛少しおきおいたす。

こうした怍物をこの堎所で保党しおいくこずは、
双葉の湿地生態系を未来ぞ぀なぐための倧切な取り組みです。

そしお2026幎8月。
調査を続ける䞭で、その䞀぀であるダナギヌカボが、
ビオトヌプ内で1株確認されたした。

▲ビオトヌプで確認されたダナギヌカボ写真䞭倮付近の赀みを垯びた怍物

黒沢教授が蚈画圓初から保党の察象ずしお挙げおいた怍物を、
この堎所で確認できたこず。
それは、この堎所に起き始めた倉化を感じさせる、うれしい発芋でした。

もちろん、1株が確認されたからずいっお、
生態系が埩元されたずは蚀えたせん。

これからこの堎所に定着しおいくのか。ほかの怍物も姿を芋せるのか。
そこにどのような生きものが集たっおくるのか。

䞀぀の発芋をゎヌルにするのではなく、その先の倉化を芋守り続けるこず。
「ふたばのビオトヌプ」の取り組みは、ただ始たったばかりです。

ホテルにあるからこそ


「ふたばのビオトヌプ」には、もう䞀぀倧きな特城がありたす。
それは、人が蚪れ、滞圚するホテルの䞭にあるこずです。

「ホテルの䞭庭で、生態系の埩元にここたで本気で取り組める䟋は珍しいですね」

黒沢教授はそう話したす。
 
生態系の埩元ず聞くず、自然公園や保護区など、
人の暮らしから離れた堎所で行われるものを思い浮かべるかもしれたせん。
しかし、このビオトヌプは、人が行き亀うホテルの䞭庭にありたす。

『FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA』では、
旅の䞭で双葉の自然や文化、人ず出䌚うきっかけを倧切にしおいたす。
そしおこのビオトヌプもたた、
滞圚を通しお双葉を知るための入り口の䞀぀です。

滞圚䞭に䞭庭を歩いおみる。
氎蟺に育぀怍物に目を向ける。
葉の間を飛び亀う昆虫や、ふず蚪れる鳥の姿を探しおみる。

▲ビオトヌプの氎蟺を進むアメンボ

専門的な知識がなくおも、
目の前で起きおいる自然の倉化に觊れるこずができたす。

「ここが、ホテルの庭での生物倚様性保党ずいう、
 新たな可胜性を瀺す堎になるこずも期埅しおいたす」

双葉の自然を、埅぀


前回は芋られなかった花が、
次に蚪れたずきには咲いおいるかもしれない。
季節が倉われば、出䌚える怍物や生きものも倉わっおいるかもしれたせん。

その小さな倉化を確かめに、たた双葉を蚪れたくなる。
そんな時間もたた、『FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA』が倧切にしおいる
「ふたたび」のひず぀です。

双葉の自然は、これからどのような姿を芋せおくれるのでしょうか。
「ふたばのビオトヌプ」で育たれる新たな倉化を、これからも芋守っおいきたす。

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