
永遠のアイドル 母と松田聖子コンサート
母の英才教育の甲斐あり、私は幼い頃から聖子ちゃんの歌は大体歌うことができる。カラオケで何歌うの?と聞かれれば松田聖子と答えている。聞かれたのが上司なら、若いのにいいね!と喜ばれるし、年下でも、渋くていいね!と喜ばれる。聖子ちゃんはどの世代でも盛り上がるので、カラオケ難民にはぜひおすすめしたい。
ここ数年、母が聖子ちゃんのコンサートへ行き始めた。いつも姉か私かが一緒に行っているので、私の参加も今回が3度目となり、いよいよファンと名乗ってもいいものか距離をうかがっている。
聖子ちゃんはすごいぞ。
プリンセスのような美しさ、
これぞアイドルと思わせる可愛さ、
トークがお茶目な可憐さ、
ドラムやエレキギターも演奏できちゃうかっこよさ。
そんな、可愛いかっこいいだなんて全国民知ってますがな、と言われてしまうかもしれないが、コンサートに行くと改めて、やっぱりすごいな…と感じる。
しかしそれよりも、もっと精神的に訴える”凄さ”があると感じたので、余韻のままにしたためることとする!
聖子ちゃんのコンサートでは、始まる直前いつも聖子コールが始まる。
「せいこ!チャチャチャ」「せいこ!チャチャチャ」
スタンド席の最前列に陣取るピンクのハッピを着たおじさんたちが先導するのだ。
…”ハッピを着たおじさん”に驚いている場合ではない。
聖子ちゃんのコンサートにはまるで聖子ちゃんのようなコスチュームで着飾ったおばさまやおじさまが数多くいらっしゃるのだ。
赤と白のドット柄のワンピースや黄色ミニスカート、大きなリボンをつけたポニーテールなどなど。
いい歳してイタイよね?と言いたいわけでは全くない。私は本当に、いいじゃん‼︎と思っている。おばさまおじさまがキラキラして見えて、とても潤っているように見えていた。
母はコスチュームこそ着ていないが、その日は待ち合わせした時点からいつもよりテンションが高く、お昼にちょっといいビュッフェを私よりモリモリ食べてから参戦した。
聖子ちゃんにはそんなパワーがあるのだ。
「せいこ!チャチャチャ」「せいこ!チャチャチャ」
会場が暗くなり、舞台いっぱいにお伽話のような可愛らしいお城が映し出された。うさぎや蝶々やハート。そのお城の真ん中にいるのは、真っ白なドレスを着た聖子ちゃんだ。
うぉ〜!!!きゃ〜!!!
聖子ちゃーん!!!!!!
地鳴りのような歓声。
会場の年齢層は母世代の50〜60代前後が9割といったところか。
来場の中で私が一番若いのではないかと32歳の私が錯覚するほどであったが、その歓声は以前行ったNiziUのライブと全く同じであった。
完全に青春時代のあの頃に戻っているのだ。
永遠のアイドル…‼︎
私はというと、、いつの間にかなぜか涙で顔がぐしょぐしょになっていた。聖子ちゃんの姿を目にとらえた瞬間に泣いていた。
聖子ちゃんの透き通った歌声と圧倒的カリスマ性、おじさんおばさんの凄まじいエネルギーを浴びて、体の感情が溢れ出したのだ。涙を流しながら満面の笑みを浮かべている気持ち悪い人間がいたならそれは私です。
この感情をどうにか言葉にしたいのだけれど、私の語彙力がなく、とにかくとても感動した‼︎‼︎としか言い表せない。
この気持ちが”感動”なのか、改めて言葉の意味を調べ直すくらいに、訳もわからず圧倒され涙が出てきていた。
かん‐どう【感動】
[名](スル)ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされること。「深い感動を覚える」「名曲に感動する」
聖子ちゃんはすごい。
聖子ちゃんはぶっ通しで5曲ほど歌う。
隣にいる母もその間、立ち上がり、手を振り、手拍子をし、聖子コールをする。
会場へ来る電車内で、腰が痛いの…と小さく座っていた母はどこへ行ったのか。
聖子ちゃんはお客さんとよく喋る。
こんなに大きい会場であんなに客席と喋るアーティストを私は知らない。
「聖子ちゃんかわいー!」
「聖子ちゃん回ってー!」
「聖子ちゃんお水飲んでー!」
一つ一つリアクションしてくれる。あまりに皆が口々に叫ぶので、聖子ちゃんが”大丈夫…?みなさんが元気でよかったわ”と引き気味で笑うほど自由に叫ぶ。
しかし、ファンとのやり取りはそんなレベルには留まらない。
聖子ちゃんに歌ってほしい曲を直接リクエストできるコーナーがあるのだ!(もともとコーナーではなかったが、皆が口々にあれ歌ってこれ歌ってと言うのでお決まりのコーナーになったのだとか。おじさまおばさまのパワーよ。)
聖子ちゃんにリクエストを伝えるために、あらかじめ曲名を書いたボードなどを皆作ってきている。(もちろん叫んでリクエストする人もいる)
アイドルのライブといえば、よく”ピースして!”などとファンサをうちわに書いているイメージがあるが、うちわなんて可愛いものではない。3人係で広げている横断幕のようなものもあるし、どうにか目に留まるように派手でデカいプラカードなどを作ってくるのだ。
聖子ちゃんはそれを端から端まで読み取り、「どんな曲だったかしら」なんて言いながら、アカペラで歌ってくでるのだ。歌詞が曖昧なものは、鼻歌で歌ってくれたりする。これもまたレアでいい!
物忘れをする父や母の姿は、もう年寄りやな、なんて冷ややかに見てしまうものだが、聖子ちゃんは思い出そうと頑張る姿さえ可愛い。
「去年リクエストで思い出せなかったから練習してきたのよ!」と1年越しでリクエストに答えてくれることもある。これはうれしいよね。
聖子ちゃんは大阪城ホールでのコンサートが今年の9月20日で100回目になるらしい。(歴代一位)
100回???!!
ちなみに今年、聖子ちゃんは46周年だ。
聖子ちゃんはデビューから変わらず、ずっとずっとずっと歌い続けて、会える場所を作ってくれているのだ。
母も20代の頃、大阪城ホールに友人とライブに来たことがあると終演後ごった返す会場で教えてくれた。
きっと今日ここに来ているおじさまおばさまには、そんな聖子ちゃんとの思い出がたくさんあるのだろうな。いいな。
母がこうしてコンサートに行くようになったのは最近だ。これまで家庭を優先してくれて来ることができなかったのかもしれないな、なんて思う。
母は今、友人ではなく、もう32にもなる娘と来るようになった。
こうして人生のステージが変わってゆく間も、聖子ちゃんは青春へ帰る場所をずっと残してくれているんだと偉大さを改めて感じた。母に潤いを与えてくれてありがとう。そして、私にも感動を与えてくれる。
聖子ちゃんはすごい。
青春時代から60歳まで、ずっと活動をしてくれるアイドル。
ずっとずっと応援できるアイドル。
そんな圧倒的アイドルが今の世代でいるのだろうか。
私も聖子ちゃんが10代20代の頃のコンサートに行ってみたかったな、なんて思いながら、帰り道、聖子ちゃんを聴きながら帰った。
その夜、母からLINEが来た。
今日はありがとう。
楽しかったね、
聖子ちゃんのコンサートに行くと頑張ろうって思えるの。
明日からも頑張ろ〜!
これが全てだ。
聖子ちゃんは、すごい。
ありがとう、聖子ちゃん。永遠のアイドル。
