
【学校の勉強が役立つシリーズ!②】ペンギンの謎解きは世界史で?「なぜケープペンギンだけが“黒足”と呼ばれたのか」
ケープペンギン、別名多すぎ問題!その中に「ブラックフットペンギン」?
私たち動物園で人気のケープペンギン。実は彼ら、たくさんの別名を持っていることで有名なんです。その中の一つに「ブラックフットペンギン(黒足ペンギン)」という格好いい名前があります。
でも、飼育員としてペンギンたちをよく観察していると、ある疑問が頭をよぎるんです。
「あれ…?足が黒いペンギンって、他にもたくさんいるよな?」
なんなら、すらっとした立ち姿が魅力のキングペンギンの方が、パッと見の足の黒さで言えば、まさに「ブラックフット」にふさわしいじゃないか!とすら思います。
では、なぜ「ケープペンギン」だけが、まるで唯一の黒足であるかのように「ブラックフットペンギン」という別名を持ったのでしょうか?
この疑問、どんな図鑑を読んでも、ネットで検索しても、明確な答えが出てこないんです。
ここで役立つ「世界史」の知識!
長年の疑問を抱えつつ、ある時ふと「もしかして、あの学校の勉強が役立つのか…!?」と思い至りました。そう、世界史です!
ポイントになるのは、ヨーロッパの「大航海時代」における探検の順序です。
* 人類が「世界一周」を成し遂げたのはいつか?(マゼラン隊:1522年)
* 南極やその周辺に人類が到達したのがいつか?(南極圏への初到達:1773年)
* ペンギンがいつ、どこで発見されたのか?
これらの「点と点」を、歴史という「線」で結んでみると、驚くべき推論が導き出されるんです。
歴史が解き明かす「ブラックフットペンギン」の真実
まず、ケープペンギンの生息地である南アフリカの喜望峰周辺の歴史を見てみましょう。
* ケープペンギンの発見: 記録によると、ポルトガルの探検家バスコ・ダ・ガマの航海隊が1497年にケープペンギンに遭遇し、西洋に知られるようになりました。
これは、人類が南極圏に到達する約270年以上も前のことです。
一方、キングペンギンの生息地である亜南極圏は、人類の探検が進むのがずっと遅れました。
* キングペンギンの学術的な記載: キングペンギンがヨーロッパで記載されたのは1788年頃とされていますが、これはケープペンギンが発見されてから約2世紀半後のことです。
この歴史的背景を考えると、次のような推論が成り立ちます。
ヨーロッパの探検家たちが最初に「ペンギン」と出会い、その生態を知り始めた15世紀末、彼らの知るペンギンの中で、「足が黒いペンギン」と言えば、ケープペンギンが代表的だった。だから、最初に「黒足ペンギン=ブラックフットペンギン」という別名が生まれたのではないか、と。
そして、その後に発見されたキングペンギンなど、より足の黒い他のペンギンがいても、最初に名付けられた「ブラックフットペンギン」という別名が、そのままケープペンギンに残り続けた。
つまり、この呼称は、**ペンギンの「発見の順序」と「地理的な分布」**が大きく影響していると言えるでしょう。
ヨーロッパ中心の命名文化
このことから、動物の呼称や分類が、当時のヨーロッパ中心の世界観や探検の歴史に強く根ざしていることも伺えます。私たちが当たり前に使っている動物の名前にも、そんな壮大な人類の歴史が隠されているなんて、ロマンを感じませんか?
学校で習った世界史が、こんな形で動物園での疑問を解き明かすヒントになるとは、本当に面白いものだなと感じる、飼育員なのでした。