メインコンテンツへスキップ
見出し画像

本日は新シリーズ 「病院が動き出す『最初の1人』」DAY3/5

    DAY1は SOMEONE → ONE、DAY2は FIRST MOVER → FIRST TEAM。今日は昨日予告した通り、「賛成」と「一緒に動く」の間にある距離を扱います。

    テーマは、
    「賛成です。」でも、誰も一緒に動かない。
    PASSIVE SUPPORT → ACTIVE SUPPORT

    なお、本日から①の体裁を正式に変更します。内容密度は落とさず、無意味な空行や
    細切れ改行をなくし、原則そのままコピー&ペーストできる完成原稿にします。
    ⸻
    SERIES|病院が動き出す「最初の1人」
    THE FIRST MOVER|DAY3/5
    「賛成です。」でも、誰も一緒に動かない。
    会議で新しい提案が出る。
    「それは必要ですね。」
    「私も賛成です。」
    「ぜひ進めた方がいいと思います。」
    反対する人はいない。むしろ、全員が賛成している。
    ところが一週間後。
    最初に提案した人が、一人で資料を作っている。
    二週間後。その人が、一人で関係部署へ説明している。
    一か月後。
    まだ、その人しか動いていない。
    今日は、この不思議な「賛成」について考えます。
    ⸻
    ■ 「反対されない」と「支援されている」は、同じではない。

    病院で何かを変えようとすると、私たちは反対意見を気にします。「現場から反発されないか」
    「医師が反対しないか」「看護部は納得するか」。

    もちろん大切です。
    でも、実際に改革を止めるのは、強い反対だけではありません。
    もっと静かなものがあります。
    「賛成だけど、何もしない。」
    これです。

    「いいと思います。」
    「必要だと思います。」
    「応援しています。」

    言葉としては、すべて肯定です。
    でも、人は出ない。時間も出ない。権限も出ない。行動も変わらない。

    私はこれを、PASSIVE SUPPORT|受動的支援と呼びたい。
    支持はしている。しかし、実装には参加していない状態です。
    ⸻
    ■ PASSIVE SUPPORTは、悪意から生まれるとは限らない。
    ここは大切です。

    「口だけじゃないか」と責める話ではありません。

    本人は本当に賛成していることがあります。ただ、通常業務がある。自部署の課題もある。
    何をすればよいか分からない。どこまで関わるのかも分からない。

    だから、AGREE|賛成するまでは行く。

    でも、ACT|行動するまで行かない。
    つまり問題は、意欲ではなく、賛成を行動へ変換する設計がないことなのかもしれません。
    ⸻
    ■ 今日の数字|10,489 → 58 → 55

    2024年に『Implementation Science』で公表された、医療・ヒューマンサービス領域におけるチームワーク
    と新しい実践の導入に関するシステマティックレビューでは、10,489件の検索結果から58論文、55研究が
    最終的なレビュー対象となりました。

    レビューが高い確信度で整理した重要な知見の一つが、適応的なチーム機能は実装を促進し、
    逆にチーム機能の問題は実装を妨げるということでした。また、オープンで継続的かつ効果的
    なコミュニケーションは新しい実践の導入を促進し、コミュニケーション不足は障壁になるとされています。

    さらに興味深いのは、「チームワークが大切」という抽象論だけではないことです。

    レビューで示された適応的なチーム機能には、信頼、相互尊重、所属感、頻繁なコミュニケーションと調整、
    明確な役割、仕事の進め方についての共有された認識などが含まれます。逆に、役割が曖昧で、目標が競合し、
    コミュニケーションが悪い状態は実装の障壁となります。

    つまり、「みんな賛成している」は、まだチームではない。
    誰が、何を、どこまで持つのか。
    そこまで具体化されて初めて、支持は実装に近づきます。
    ⸻
    ■ SUPPORT GAP

    ここで、今日のもう一つの言葉を置きます。

    SUPPORT GAP

    改革を提案した。

    みんな賛成した。

    でも、動いているのは一人だけ。

    この、AGREEMENTとACTIONの間にある空白です。
    構造にすると、AGREE → SUPPORT GAP → ACTになります。

    私は、病院改革ではこのGAPがかなり大きいと思っています。
    なぜなら、「賛成」という言葉が出た瞬間、会議では合意形成が終わったように感じてしまうからです。
    でも、本当はそこからです。
    ⸻
    ■ 「賛成です」の後に、もう一問必要。
    例えば、業務改善案が出たとします。
    「この運用、見直した方がいいと思います。」
    所属長が言う。
    「賛成です。」
    ここで終わらない。もう一問だけ足す。
    「では、あなたの部署は何を持てますか?」
    この一問です。
    「人を一人出せます。」
    「データはこちらで集めます。」
    「医師への説明は私がします。」
    「週1時間なら確保できます。」
    「試行部署になります。」
    こうなった瞬間、SUPPORTの意味が変わります。
    ⸻
    ■ SUPPORTを4つに分ける。
    私は、ACTIVE SUPPORTを曖昧な「協力」ではなく、4種類に分けたい。

    ① PEOPLE|人を出す
    担当者を出す。一緒に考える人を置く。関係部署からメンバーを加える。

    ② TIME|時間を出す
    改善活動の時間を勤務として確保する。会議時間をつくる。通常業務を調整する。

    ③ AUTHORITY|権限を出す
    データを見てよい。関係部署へ聞いてよい。小さく試してよい。一定範囲なら判断してよい。

    ④ ACTION|行動を変える
    新しい方法を試す。自部署の手順を変える。必要な情報を提供する。決めたことを実際に行う。

    つまり、ACTIVE SUPPORT = PEOPLE × TIME × AUTHORITY × ACTIONです。
    全部を全員が出す必要はありません。
    重要なのは、「私は何を出すのか」が決まっていること。です。
    ⸻
    ■ 「協力してください」は、実はかなり曖昧。
    病院では、よく使います。
    「関係部署はご協力をお願いします。」
    でも、「協力」とは何でしょう。
    資料を見ること?
    会議に出ること?
    意見を言うこと?
    人を出すこと?
    運用を変えること?
    責任を持つこと?
    定義されていません。
    すると各部署は、それぞれの解釈で協力します。

    部署は会議に出る。
    B部署はメールを読む。
    C部署は「何かあれば言ってください」と言う。
    そしてFIRST MOVERは思う。
    「結局、私がやるんだ。」
    これは昨日のCAPABILITY TAXへ、そのまま戻ります。
    ⸻
    ■ 「何かあったら言って」は、SUPPORTなのか。
    私はこの言葉を、少し注意して聞きます。
    「何かあったら言ってください。」優しい言葉です。

    でも、場合によっては支援を受ける側へ仕事を一つ増やしています。
    何が必要かを考える。
    誰に頼むかを考える。
    依頼内容を整理する。
    相手へお願いする。
    全部、FIRST MOVER側です。
    つまり、SUPPORT ON REQUESTになっている。
    もちろん、それが必要な場面もあります。
    でも管理職なら、一歩進めたい。
    「何かあったら言って。」
    ではなく、「今、私が外せる障害は何ですか?」
    あるいは、「この中で、私が持つならどれですか?」と聞く。
    これだけで、支援の質が変わります。
    ⸻
    ■ SUPPORTは「気持ち」ではなく「資源」。
    ここが今日の核心です。
    「応援しています。」
    「期待しています。」
    「ぜひ頑張ってください。」
    もちろん、気持ちは大切です。
    でも、改革を動かすには、SUPPORTをRESOURCEへ変える必要があります。
    人。
    時間。
    権限。
    情報。
    判断。
    予算。
    調整。
    これらはすべて、組織が持っている資源です。
    FIRST MOVERが必要としているのは、拍手だけではない。
    動くための資源です。
    ⸻
    ■ FIRST MOVERを中心に置きすぎない。
    DAY1では「最初の一人」が必要だと書きました。
    DAY2では、その人に全部を背負わせてはいけないと書きました。
    そして今日、さらに一歩進めます。
    改革が始まった後もFIRST MOVERだけを中心に置き続けると、周囲は無意識にこう考えます。
    「〇〇さんのプロジェクト。」
    これが危ない。
    本来は、病院の課題だったはずです。
    でも、最初に手を挙げた人の名前が付いた瞬間、
    ORGANIZATIONAL ISSUE → PERSONAL PROJECTへ変わってしまう。
    すると、周囲は「協力者」になる。
    だから管理職は、言葉も変えた方がいい。
    「〇〇さんがやっているので協力してください。」
    ではなく、「これは病院の課題です。〇〇さんが最初の一歩を持ってくれています。」
    この違いは大きいと思います。
    ⸻
    ■ SUPPORT OWNERSHIP
    ここで、もう一つ実務に落とします。
    FIRST MOVERだけでなく、SUPPORTにもOWNERを置く。
    例えば、
    MOVER:現状整理
    PARTNER:現場調整
    SPONSOR:部署間調整・権限
    DATA OWNER:数字の提供
    DECISION OWNER:最終判断
    こうすると、「みんなで協力」が消えます。
    誰が何を持つかが見える。
    昨日のFIRST TEAMが、初めて機能し始めます。
    ⸻
    ■ 「賛成者の数」より、「持つ人の数」。
    改革案を会議に出した時、つい見たくなるものがあります。
    何人が賛成したか。
    全員一致したか。
    反対者はいないか。
    でも私は、別の数字も見たい。
    「何人が、何かを持ったか。」
    10人全員が賛成。でも、持った人は1人。
    これと、5人しか積極的に賛成していない。
    でも、その5人が人・時間・権限・行動を持った。
    どちらが動くでしょう。
    私は、後者の方が前へ進む可能性が高いと思います。
    ⸻
    ■ SUPPORT DENSITY
    そこで、こんな指標を置いてみます。
    SUPPORT DENSITY|支援密度
    会議参加者の何%が賛成したか、ではありません。
    必要な支援のうち、何%に「持ち主」がいるか。です。
    必要な支援が10個ある。
    担当が決まっているのは3個。
    SUPPORT DENSITY = 30%
    なら、「全員賛成」でも、まだ動きにくい。
    逆に10個のうち9個に持ち主がいる。
    SUPPORT DENSITY = 90%なら、かなり違います。
    これは厳密な学術指標ではなく、Orvaとして組織を見るための実務的なレンズです。
    でも、会議で「賛成です」と確認するより、はるかに現実が見えると思います。

    ■ ACTIVE SUPPORT BOARD
    明日から使える形にします。
    新しい取り組みを始める時、ホワイトボードに5列だけ書く。
    NEED
    WHO
    WHAT
    WHEN
    RETURN
    必要な支援
    誰が何を持ついつまでにどこへ戻す

    例えば、NEED
    WHO
    WHAT
    WHEN
    RETURN
    データ
    医事課
    過去6か月実績
    金曜MOVERへ
    現場確認
    看護師A
    現行フロー整理
    来週TEAMへ
    医師調整
    診療部長
    医師意見集約
    次回会議SPONSORへ
    試行権限
    部長
    1病棟で試行承認
    今日TEAMへ

    これだけです。
    でも、「みんなで協力しましょう。」より、はるかに強い。
    ⸻
    ■ 今日からできること
    今日、何かの会議で「賛成です」という言葉が出たら、そこで終わらせないでください。
    次の4つから、一つだけ聞いてみる。
    PEOPLE|誰を出せますか?
    TIME|どれくらい時間を出せますか?
    AUTHORITY|どこまで任せられますか?
    ACTION|あなたの部署では何を変えますか?
    そして最後に、「誰が持ちますか?」を決める。
    これだけでPASSIVE SUPPORTは、ACTIVE SUPPORTへ少し近づきます。
    ⸻
    ■ Management Question
    今日、経営側へ聞きたいのはこれです。
    「当院では、『賛成です』の後に、何が起きていますか。」
    拍手して終わる。
    「よろしくお願いします」で終わる。
    FIRST MOVERへ全部戻る。
    もしそうなら、賛同者は多くても、支援者は少ないのかもしれません。

    もう一つ。
    「私自身は、改革に賛成した時、何を差し出しているだろうか。」
    人でしょうか。
    時間でしょうか。
    権限でしょうか。
    判断でしょうか。
    それとも、言葉だけでしょうか。
    ⸻
    ■ Perspective
    私は、組織を変える時に全員を熱狂させる必要はないと思っています。
    全員が改革の旗を振らなくてもいい。
    大切なのは、必要な場所で、必要な人が、必要なものを持つこと。です。
    「応援しています。」
    その言葉は嬉しい。
    でも、病院を動かすのは、応援の大きさだけではありません。
    一人が時間を出す。
    一人がデータを出す。
    一人が権限を渡す。
    一人が障害を取り除く。
    一人が新しい行動を試す。
    その小さな「持つ」が重なる。
    するとFIRST MOVERは、もう一人ではなくなる。
    PASSIVE SUPPORT → ACTIVE SUPPORT
    そして、FIRST MOVER → FIRST TEAMへ変わっていく。
    私は、組織の強さとは、「賛成してくれる人が多いこと」だけではないと思います。
    誰かが動いた時、周囲が具体的に何かを持てること。
    そこに、本当のチームが見える気がします。
    ⸻
    ■ 有料版では
    DAY3では、組織の「賛成」を実際の支援へ変換する仕組みを実務化します。
    Support Gap Scan/Passive–Active Support Matrix/People–Time–Authority–Action Map/Support Ownership Sheet/Support Density Score/Active Support Board/Sponsor Action List/Resource Commitment Map/Support-on-Request Check/30-Day Active Support Tracker
    まで落とし込みます。
    目的は、賛同者を増やすことではありません。
    「応援しています」を、「私はこれを持ちます」へ変えること。です。
    ⸻
    最後に
    改革案を説明した。
    みんなが言った。
    「賛成です。」
    その瞬間、安心したくなります。
    でも、本当に聞きたいのは、その次です。
    「では、あなたは何を持ちますか。」
    人でもいい。
    時間でもいい。
    権限でもいい。
    小さな行動でもいい。
    全員が同じものを持つ必要はない。
    でも、誰か一人だけが全部を持つ病院にはしない。
    AGREE → COMMIT → ACT
    「いいと思います」から、「私はこれを持ちます」へ。
    そして、「実際にやりました」へ。
    賛成だけでは、病院は動かない。
    賛成に“持ち分”が生まれた時、病院は動き始める。
    ⸻
    NEXT|DAY4/5
    「任せました。」その後、見なくなっていないか。
    明日は、支援の次に必要になる経営・管理職との距離を扱います。
    任せることと、放置することは違う。かといって、逐一口を出せばFIRST MOVERの主体性を奪う。

    そこで、CONTROL → CONNECTION
    「管理する」でも「放っておく」でもない、動く人と経営がどうつながり続けるかを考えます。

    ハッシュタグ
    #Orva #医療経営支援 #病院経営 #組織変革 #業務改善 #チームマネジメント #FirstMover #FirstTeam #ActiveSupport #SupportGap #HealthcareLeadership #HospitalManagement #Implementation #OrganizationalDesign

    画像
    画像
     
     

    Zm

     
     
    Looking back on myself so far, I invested in myself with all my strength and challenged anything. Please support me.

    あなたへのおすすめ