メインコンテンツへスキップ
見出し画像

SERIES|病院を止める「曖昧な責任」 DAY3/5 OWNERSHIP DESIGN

    昨日DAY2では、RESPONSIBILITY → AUTHORITYを扱いました。責任者を決める
    だけではなく、その人が何を決めてよいのか、どこまでが判断範囲なのか、必要な
    情報へどうアクセスするのか、何が起きたら上へ戻すのかまで設計する。責任を
    「重荷」として渡すのではなく、前へ進める力と一緒に渡すことを考えました。

    今日は、その次です。責任者も決まった。権限もある。会議もした。資料も作った。
    打合せも進んでいる。それなのに、案件がいつまでも「対応中」のまま残っている。
    そんな仕事を見ます。

    「進めています。」で、いつまで進めるのか。

    今日のテーマは、

    ACTIVITY → OUTCOME

    です。

    「やっている」と「終わっている」は違う。

    病院では、進捗確認の場面でよくこんな言葉が出ます。

    「現在対応中です。」
    「確認を進めています。」
    「関係部署と調整しています。」
    「今後検討します。」
    「引き続き取り組みます。」

    もちろん、すぐに終わらない仕事もあります。調整が必要な案件もありますし、
    時間をかけるべきテーマもある。

    ただ、私は「対応中」という言葉が長く続く仕事を見ると、一つだけ確認したくなります。

    何をもって、終わりですか。

    ここが決まっていなければ、活動は続いていても成果は出ません。
    会議をした。
    メールを送った。
    資料を作った。
    ヒアリングをした。
    それらは全部ACTIONです。

    でも、ACTIONそのものはOUTCOMEではありません。

    ■ ACTIVITYは数えやすい。OUTCOMEは考えないと決められない。

    活動は管理しやすいものです。

    会議を3回開催した。
    職員へ周知した。
    研修を実施した。
    資料を配布した。
    面談を10件した。
    プロジェクトチームを立ち上げた。

    数字にしやすいし、「やった感」もあります。

    一方で、本当に知りたいのはその先です。

    会議をした結果、何が決まったのか。
    研修をした結果、行動は変わったのか。
    周知した結果、誰が何をできるようになったのか。
    面談した結果、課題は解消したのか。

    つまり、

    **ACTIVITYは「何をしたか」。

    OUTCOMEは「何が変わったか」。**

    です。

    ここを分けないと、病院はとても忙しくなります。たくさん動いている。
    でも、同じ問題が翌月も議題に上がる。

    ■ 今日の数字|40 sources

    2024年に公表された病院ガバナンスとaccountabilityに関するスコーピングレビューでは、
    40件の論文・報告書が分析されました。そこでは、accountabilityを成立させる基本的な
    要素として、望ましい目標や目的を明確に定義すること、達成状況を測定・監視できること、
    達成されなかった場合に何が起こるかが設計されていることが整理されています。レビュー
    からは、病院のaccountabilityは「誰が担当か」だけではなく、「何を達成すべきか」「どう確認
    するか」まで含めて考える必要があることが読み取れます。

    私は、この考え方をもっと日常の業務へ落としたいと思います。

    「〇〇さんが担当です。」

    その次に、

    「では、何が起きたら完了ですか?」

    まで決める。

    そこまであって初めて、責任は結果へつながります。

    ■ 「検討する」は、完了条件にならない。

    例えば、

    「新しい採用方法を検討する。」
    「残業削減策を検討する。」
    「病棟との連携強化を検討する。」

    よく使う表現です。

    でも「検討する」には終わりがありません。1回話しても検討。半年話しても検討。

    そこで、OUTCOMEへ変えます。

    「10月末までに採用媒体を2社比較し、1社を決定する。」
    「時間外上位3部署について原因を分類し、翌月から1つずつ対策を実施する。」
    「病棟と医事課の情報連携項目を5項目に整理し、11月から統一運用する。」

    こうすると、仕事の姿が変わります。

    曖昧な動詞を、完了が見える状態へ変える。

    これだけでも、かなり違います。

    ■ DONEを決めないと、真面目な人ほど終われない。

    責任感の強い人ほど、「もう少し改善できる」「もう一度確認した方がいい」と考えます。

    その姿勢自体は素晴らしい。

    でもDONEの基準がなければ、仕事はいつまでも終わりません。

    例えば資料作成でも、完成基準がなければ何度でも修正できます。
    業務改善でも、100点を目指せばいつまでも試行できます。

    だから、

    DONE IS A MANAGEMENT DECISION

    だと思っています。

    どの水準まで来たら一度閉じるのか。

    完璧かどうかではなく、今の目的に対して十分か。

    ここを管理職側が決める必要があります。

    ■ 「完了」と「成功」を分ける。

    ここも大切です。

    新しい施策を実施した。でも期待した結果が出なかった。

    これは、

    実施としては完了。成果としては未達。

    です。

    この二つを混ぜると、「結果が出るまでずっと案件を閉じられない」という状態になります。

    そこで、

    DONEとSUCCESSを分ける。

    DONE|決めた実施が完了したか。
    SUCCESS|期待した結果が出たか。

    例えば、

    「新しい受付フローを1か月試行した。」
    これはDONE。

    「待ち時間が10%減った。」
    これはSUCCESS。

    結果が出なければ、次の改善サイクルへ入る。

    閉じて、学んで、次へ進む。

    これが大事です。

    ■ STATUS REPORTが、活動報告になっていないか。

    「今週の進捗を報告してください。」

    すると、

    「会議をしました。」
    「資料を作りました。」
    「関係者へ説明しました。」

    となる。

    これでは、活動量は分かりますが、仕事がどこまで進んだのかは分かりません。

    私は進捗報告を、少し変えたいと思っています。

    WHAT CHANGED?

    何をしたかより、

    何が変わったか。

    「会議をしました」ではなく、「A案に決定しました。」
    「ヒアリングしました」ではなく、「原因を3つに絞りました。」
    「調整しました」ではなく、「11月から実施できる条件が整いました。」

    この方が、経営としてははるかに把握しやすい。

    ■ OUTPUTとOUTCOMEを分ける。

    ここでもう一段だけ分けます。

    OUTPUT|作ったもの。
    OUTCOME|それによって起きた変化。

    例えば、

    マニュアルを作った。これはOUTPUT。

    職員が同じ手順で行動できるようになった。こちらがOUTCOME。

    採用パンフレットを作った。OUTPUT。

    応募数が増えた、採用ミスマッチが減った。OUTCOME。

    会議資料を作った。OUTPUT。

    意思決定ができた。OUTCOME。

    つまり、

    OUTPUTを成果と呼ばない。

    作ったものを否定するのではありません。それは必要な途中成果です。

    でも、その先に何を起こしたかったのかを見失わない。

    ■ ONE OWNERには、ONE OUTCOME。

    昨日まで、OWNERを一人明確にする話をしてきました。

    今日、そこへ一つ追加します。

    ONE OWNER, ONE OUTCOME

    OWNERを決めたら、その人が最後まで見るOUTCOMEも一つ明確にする。

    「人事課長が採用を担当する」では広すぎます。

    「人事課長が、10月末までに経理職1名の採用決定までを持つ。」

    ここまで言えると、OWNERとOUTCOMEがつながります。

    関係者は多くてもいい。

    でも、結果の定義はぼかさない。

    ■ ORVA OUTCOME 5

    今日の実務レンズを5つに整理します。

    ORVA OUTCOME 5

    1|RESULT|何が変わればよいか。
    活動ではなく、変化する状態を書く。

    2|MEASURE|どう分かるか。
    数字、完了条件、確認方法を決める。

    3|DEADLINE|いつまでか。
    期限のないOUTCOMEは、願望になりやすい。

    4|OWNER|誰が最後まで見るか。
    途中作業ではなく、結果を見る人を明確にする。

    5|CLOSE|誰が「終わった」と判断するか。
    完了を宣言する人と基準を決める。

    RESULT → MEASURE → DEADLINE → OWNER → CLOSE

    この5つが揃えば、「対応中」が減ります。

    ■ 「進めています」に、次の一言を足す。

    会議で担当者が、

    「現在進めています。」

    と報告したら、責める必要はありません。

    ただ一つ、「何が起きたら完了ですか?」と聞く。

    さらに、「それはいつですか?」と聞く。

    この二つで十分です。

    活動を否定せず、結果へ焦点を戻す。

    私は、この問いを管理職の習慣にしてもいいと思っています。

    ■ Accountabilityとは、監視ではない。

    「結果責任」「accountability」という言葉は、ともすると厳しい響きになります。

    できなければ責められる。
    数字で追われる。
    説明を求められる。

    でも、本来はもっと建設的なものだと思います。

    2024年の病院ガバナンスのレビューでも、accountabilityは単なる責任追及ではなく、目標を明確にし、その達成を測定・監視し、組織として説明可能な状態をつくる構造として扱われています。40件の文献・報告書からは、inclusive governance、commitment to accountability、planning for accountability、autonomous governanceという4つの主要テーマが抽出されています。

    つまり、

    Accountabilityは「誰を責めるか」ではなく、「何を達成するかを曖昧にしないこと」。

    私はそう捉えたいと思います。

    ■ DONE DEFINITION

    ソフトウェア開発には、Definition of Doneという考え方があります。

    仕事を「完了」とする条件を、先に定義しておく。

    病院の仕事にも使えると思っています。

    例えば、

    採用
    内定通知を出したら終わりなのか。入職承諾までか。初出勤までか。

    工事
    工事終了までか。現場確認までか。職員への周知までか。

    業務改善
    案を作ったら終わりか。試行したら終わりか。本運用開始までか。

    ここが人によって違うと、「終わったと思っていた」「まだ終わっていない」が起きます。

    DONEの定義は、最初に合わせる。

    これもOWNERSHIP DESIGNです。

    ■ 完了しない仕事は、組織の認知負荷になる。

    終わっていない案件は、ずっと頭の片隅に残ります。

    「あれどうなった?」
    「まだです。」
    「また次回。」

    会議のたびに確認する。ToDoへ残る。メールを探す。担当者へ聞く。

    これも見えない仕事です。

    つまり、DONEを明確にすることは、案件管理だけではありません。

    組織の頭の中を軽くすること。

    でもあります。

    未完了案件が何十件も漂っている病院は、それだけで管理負荷が高くなります。

    ■ 今日からできること|DONE CHECK

    今、会議のToDoリストにある案件を一つ見てください。

    そして3つだけ確認します。

    ① 何が起きたら終わりか。
    ② いつまでか。
    ③ 誰が完了を確認するか。

    この3つが書いていなければ、活動はしていても、終了条件は決まっていません。

    一度、書き直してみる。

    「検討する。」
    ではなく、

    「9月30日までに2案を比較し、AまたはBを決定する。」

    これだけで、仕事はかなり前へ進みやすくなります。

    ■ Management Question

    今日、経営者・管理職に聞きたいのはこれです。

    「当院では、“動いている仕事”と“終わった仕事”を本当に区別できているだろうか。」

    そして、もう一つ。

    「会議で報告される“進捗”は、活動量なのか、それとも結果の変化なのか。」

    忙しい組織ほど、活動は増えます。

    でも活動が増えていることと、前進していることは同じではありません。

    経営として見たいのは、動いた回数ではなく、

    何が前と違う状態になったか。

    です。

    ■ Orva Perspective

    私は、責任設計で一番大切なのは「責任者を決めること」だけではないと思っています。

    DAY1でOWNERを決めた。

    DAY2でAUTHORITYを渡した。

    そして今日、

    OUTCOMEを決める。

    この3つがつながって初めて、責任は機能します。

    OWNER × AUTHORITY × OUTCOME

    誰が持つか。
    何を決められるか。
    何をもって終わりか。

    この3つです。

    最近公表されたnursing professional governanceに関する論考でも、role ambiguityを減らすために、ownership、decision rights、contributions、expected outcomesを可視化するaccountability gridという考え方が提案されています。つまり、責任の所在だけでなく、期待される結果まで明確にすることが重要だということです。

    病院では、真面目な人ほど「やり続ける」ことができます。

    だからこそ、経営は「いつ終わるか」を設計する。

    完璧になるまで続けるのではない。目的を満たしたら一度閉じる。結果を確認する。必要なら次の課題を新しく始める。

    ACTIVITY → OUTCOME

    やっていることを評価する。

    でも、それだけで終わらない。

    何が変わったのかを見る。

    私は、それが責任を「仕事」から「成果」へ変える一歩だと思っています。

    ■ 有料版では

    DAY3では、Orva Outcome 5/Activity–Outcome Conversion/Definition of Done Sheet/Owner–Outcome Map/Output–Outcome Matrix/Status Report Reset/Deadline Check/Close Authority Map/Open Task Inventory/30-Day Outcome Resetまで実務化します。

    目的は、結果だけで人を追い込むことではありません。

    「いつまでやればいいか分からない仕事」をなくすこと。

    です。

    NEXT|DAY4/5

    「それは担当者がやっています。」経営は、どこまで見なくていいのか。

    OWNERを決めた。
    AUTHORITYを渡した。
    OUTCOMEも決めた。

    では管理職は、任せた後どこまで関わるべきでしょうか。

    細かく口を出せば、またマイクロマネジメントになる。何も見なければ、放任になる。

    明日は、

    CONTROL → VISIBILITY

    管理するために介入するのではなく、見える状態をつくる管理を考えます。

    ハッシュタグ
    #Orva #医療経営支援 #病院経営 #組織変革 #責任設計 #成果管理 #Ownership #Accountability #OutcomeManagement #RoleClarity #OrganizationalDesign #HealthcareLeadership #HospitalManagement #BrighterTomorrow

    画像
    画像
     
     

    Zm

     
     
    Looking back on myself so far, I invested in myself with all my strength and challenged anything. Please support me.

    あなたへのおすすめ