
ひつまむしの夢
夢を見た。
大須の商店街を歩いているとYさんと遭遇して、今からお昼を食べるつもりでいたから一緒に食べようと誘われ、大須にこんな路地があったのかと初めて通る路地を連れられて奥へ奥へと歩いた突き当たりの鰻屋へ。2階の座敷に通されて、ここはYさんのお気に入りの店で、お薦めだと言うひつまむしを注文した。
すると白い割烹着を着た山谷初男がひとりサイズの釜を2つ持って現れて、釜の米を鰻のタレで研ぎはじめた。この鰻屋のひつまむしは独特の調理法だそうで、鰻のタレで米を研ぎ、研ぎ汁は捨てずにそのままで、そこに焼いた鰻を一尾入れ、豚の角煮も入れ、その釜にコルクで蓋をして、座敷の囲炉裏で炊くと出来上がり。と説明をしてくれながら山谷初男がコルクの蓋をぎゅうぎゅうと釜に押し込めていて、それを眺めながら私はこんなにキツく蓋をしたら空気の逃げ道がなくて釜が爆発しないかしらと不安になった。
落語がそろそろ始まる。会場は鰻屋の座敷のようだけど囲炉裏は無くなっている。開演間際に人が集まりだす。Tさんもいて後列下手の窓際に座った。私には気づいていない様子。Nさん夫婦も私には気づいていない。他にも知った顔があちらにもこちらにもいるけど誰も私には気づいていない。
出囃子が鳴り噺家が高座に上がると、客席の誰かが、ひつまむし食べに行くけどどう?と誰かを誘い、行こうかな、じゃあ僕も、じゃあ私も行こうかな、と次々とお客は座敷を出て階段を降りていって、気づくと座敷には私と噺家だけ。
しばらくするとお客がまた座敷へ戻ってくる。Tさんが私に気づき、狭い路地の突き当たりの鰻屋に入ったら山谷初男が鰻を焼いていたけど山谷初男って亡くなっていますよねえ、と言うので、うん、亡くなってからはあそこの鰻屋で働いているそうだよ、と答えた。