メインコンテンツへスキップ
見出し画像

生きていくために忘れない



    私のこれまでの人生を振り返ってみると、
    驚く人も多いだろうと思う。
    子どもの頃は、生きていくということが、
    こんなにも、大変なことなのだと知らなかった。
    大人になったら、あんな人になりたいな、
    ちなみに、私の幼少期の頃の将来の夢は、
    あのサンリオの人気キャラクターである、
    ハローキティちゃんになること、だった。
    もちろん、この夢は、叶っていない。



    思い描いていたことは、たくさんあった。
    けれども、社会人になってから、
    理想と現実のギャップに苦しんだ。
    その上、私は、人と信頼関係を築くことが
    苦手であること、普通の人よりも、
    時間がかかってしまうことが分かった。
    仕事も、働いたところで、長くは続かず、
    転職も、繰り返していた。
    自分は、ダメな人間だと、何度も思い、
    これまでのこと、過去を全て忘れて、
    全て消し去って、新しい人間になりたいと、
    本当に願ったこともあった。
    そんなことは、到底できるわけないのに。



    ある日、広島の介護施設に入所している、
    祖母に家族皆で会いに行った帰りに、
    とある海水浴場へ行った。
    まだ、残暑が厳しい時であった。
    その海水浴場は、私にとって、
    特別な場所であった。
    幼稚園児の頃や、小学生の頃に、
    今は亡き祖父と母と妹で訪れていた、
    海水浴場だった。
    毎年、夏休みに決まって、
    この海水浴場で皆で泳いでいた。
    とは言っても、しっかり泳いでいた
    わけではない。
    恥ずかしいが、私も、妹も、泳げず、
    かろうじて、浮き輪に捕まり、
    ぷかぷか浮いたりする程度だった。
    一休みの時には、貝殻を拾ったり、
    夏の太陽で熱くなった砂に、手で触れたり。
    それでも、非日常、夏休みにしかできないこと
    であるから、それは、それは、はしゃいで、
    とても楽しかったことを、今でも、
    鮮明に思い出すことができる。



    そう、あれから10年以上の月日が流れ、
    久しぶりに訪れたあの海水浴場で、
    この美しい瀬戸内海を目にし、
    私は、幼き頃の自分が、たくさんはしゃいで、
    弾けんばかりの笑顔で楽しんでいたこと
    を思い出し、まだ覚えていた。
    大人になって、社会人になって、
    こうあるべき、という社会のルールを知り、
    世の中には、様々な価値観を持った人がいる
    ということを、知った一方で、
    そのルールから乱れてはいけない、
    自分を押し殺し、個性は捨て、周囲の目を
    伺いながら、上手く合わせなければならない
    と、自分自身に言い聞かせてしまっていた。
    でなければ、生きていけない、とも。



    未だに、答えはでない。
    簡単に答えはでないけれでも、
    私が、私をこれからも生きていくために、
    あの時、無邪気にはしゃいで、
    目一杯の笑顔で遊んでいた、幼い頃の自分を、
    忘れたくないと、強く思った。
    子どもだから許されていたことだって、
    きっとあるだろう。
    それでも、その時、その時の自分が、
    一生懸命に、生きていた瞬間を、
    忘れたくない。
    これからも、この先も、
    生きていくために、忘れない。
    幼い頃の私が、今の私を救ってくれるかも
    しれないよ、と、この美しくて、
    広く、大きい、穏やかな瀬戸内海が、
    教えてくれた気がする。





    画像






     
     
    94’ 岡山県在住 日々のキロク🐼🌿 一日一日を大切に•*¨*•.¸

    あなたへのおすすめ