
4度目のトーストと汗ばんだアイスラテ
ある朝、末っ子がいつもより早く目を覚ました。
上の子たちが園や学校へ出るまでは寝ていて欲しかったのに。一度起きてしまうと、「僕も行く!」の一点張り。慌ただしい朝が始まる。
トースターの中では、昨日お気に入りのパン屋さんで買ってきたクロックムッシュが、3度目のトーストを終えて『待て』をしているみたい。
今日は出かける用事が無い。
なんにも用事がない。
けど……
荒ぶる坊やをベビーカーに載せ、意を決して、近所のローソンへと足を運ぶ。
どの道を通っても、歩いて数分。
昨日は右回り、今日は左回り。
それでも2歳児にとっては立派なお出かけで、
私にとっては危うい長旅のように感じられる。
レジでアイスラテとチルド商品のお会計を済ませる。
店員さんに めんこめんこ してもらい、坊やはとってもニコニコ。
「家に帰っておやつにしようね」というと、ご機嫌で「はい!」のお返事が返ってきた。ほっと胸を撫で下ろす。今日は小旅行で済みそうだ。
小さい子どもがいる時期は、お散歩を言い訳に、ついついラテマネーをかけてしまう……
─── 違う。
私はいま、アイスラテを買っているのではない。
「今日は外に出た」という記憶を買っているのだ。
帰宅後。坊やがおやつの隙を見て、4度目のトーストを終えたばかりのクロックムッシュに、ようやくありつく。隣には、すっかり汗をかいたアイスラテ。
ふわふわのフォームミルクはまったく姿を消していたけれど、それも悪くない。
時間が経っても、ちゃんとおいしい。
ゆっくりとパンを噛み締め、アイスラテで流し込む。コーヒーのコクと甘やかなミルクの優しさが、ゆっくりと染み渡る。
ようやく朝が終わった気がした。
椅子に腰掛け、食事をとる。
それができただけで、わたしの朝は満点なのだ。
完。