
【世界はひとつの世界】第一章ウタリ編丨第29話丨キーモンの悲劇

千年前に魔王を倒した8人の賢者の生まれ変わり、
陽気な金髪ウタリと無口な黒髪イレンカが
旅をしている。
大きな犠牲と引き換えに
なんとかダンジョン最深部のボスを倒すも
地下1階のスライムが大量発生し
地下10階目掛けて全てを飲み込んでいく。
間一髪のところでキーモンの脱出魔法が発動した。
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『なんとか…なったか…?』
ウタリは回復魔法を続けている。
ポーションは使い切ってしまった。
『なんとかなってないですよおお!
だって…だって…』
キーモンは顔を覆ってしくしく泣いている。

『皆助かったんだから良かったじゃないか』
アッサムの言葉に何も癒されないキーモン。
『良くないですよ!
だって僕のちん◯、
4cmも短くなったんですよ!』
キーモンの脱出魔法には
とんでもないリスクがあった。
うわんうわん泣き始めてしまったキーモンに
ウタリが声をかける。
『ち◯こと言えば。
リンデン村に「◯んこでかくしてやろうか?」
って言ってたじーさんいたなぁ。
何言ってんだって…あれ?いない』
キーモンの姿はもうそこになかった。
『キーモンはさておいて。
イレンカさん、まずいですね』
『あぁ。回復魔法止めたら死んじまいそうだ』
アッサムは迷いなく言った。
『店にあるフェニックスの羽を使いましょう』
『えええっ!?
あの死者すら蘇らせるって噂の!?
そんなのあんのか!』
『実際に生き返らせれるのかは
分からないですけどね』
『でも、いくらすんだよ…』
『お金はいいですよ。
凄い冒険に連れて行って貰いましたからね』
『おおっ!太っ腹!』
『急ぎましょう』
アッサムがイレンカを抱え
ウタリが回復魔法をかけながら店へと向かった。
店内の床にイレンカを寝かせる。
しばらくすると
奥から豪華な箱を持ったアッサムがやってきた。
開けると鮮やかな赤い羽根が現れた。
『おぉ。そいつが』
『いきますよ』

羽を取り出しイレンカの腹部に乗せると、
パーッと優しい赤色の光を放ち
羽は身体に吸い込まれるように消えていった。
みるみる顔色も良くなっていく。
『思えば、イレンカさんはココにコレがあるのに
気づいていたのかもしれませんね』
『使ってもらえるって?ずーずーしーやつだなぁ』
『それほどの強敵だったってことですね』
『あっ!オリハルコン!
持って帰るの忘れた!くぅー』
『ははは。かなり勿体なかったですね』
『骨折り損だなぁ』
『僕はとんでもなく素晴らしい経験を
させてもらいました。
またこういう冒険があったら
必ず僕を指名してくださいよ』
『おうっ。羽の恩もあるしな』
ニコッと笑い頷く二人。
『さて、こいつも
いつまでも硬いところじゃ可哀そうだから、
宿屋のベッドに寝かせてやろうかな』
『そうですね。お大事に』
『おうっ。またな』

店の外で手を振るアッサムと別れ
宿屋で二部屋とり、イレンカを寝かせる。
もう一部屋のベッドにダイブして
ウタリも眠りについた。
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