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『囜王陛䞋、勇者がたたモンスタヌ食っおいたす』第12話

    『囜王陛䞋、勇者がたたモンスタヌ食っおいたす』 結城䞀


    第12話 燃えない莈り物ずよく燃える物

    「ちょっずナヌむ、これ、凄いよ めちゃめちゃ高機胜」
     いきなり興奮し出したオグにびっくりし、手にしおいた薬味を萜ずしそうになる。
    「アタリかも これ芋おみお」
     オグは手にしおいた癜い球䜓を䞀粒焚火の䞭ぞ攟り蟌む。

    ゎォォォオォォオ

     その瞬間、火が球䜓を䞭心にぶわっず膚れた。
     だが球䜓は燃えおいない。
     炎はたるで球䜓を避けるようにゆらゆら揺らぎ、その呚りの炎だけ犍々しい黒に染たる。
     芋おいるだけで背筋が冷える。
    「これ䜕か分かる 黒い炎っおなんか意味あるのかな。魔法」
     俺は手にしおいた薬味を地面に萜ずしおしたう。
    「  初めお芋た」
     隣でカラスの䞲を焌いおいたシアンも目を芋開いおいる。
    「マゞで  黒い炎じゃねぇか」
     オグの頌みで俺たちはさっきからカラスを焌いおいる。
     半分は普通の朚の棒に、もう半分は冷凍也燥させた现いスラむム棒に刺しお。
     結果は悲惚だ。
     也燥しおいおもスラむムは火に匱い。肉の刺さっおいた郚分から豪快に燃えお焚火に萜ち、炭ずなった。
     料理の準備をする俺たちの暪で、オグはずっずあのベビヌモンスタヌに貰った癜い粒を調べおいたのだ。
    「それでね、これをこうしお  」
     オグは枝でその球䜓を火の端ぞ転がす。
     そしお火から取り出したばかりのそれに、䜕の躊躇もなく指を䌞ばす。
    「たた火傷しおぇのか」
    「倧䞈倫、倧䞈倫。もう詊したから。ほら、凄いよ、党然熱くない。どちらかず蚀うずちょっず冷たい」

    ――いや、だから、勝手に先に詊すんじゃねぇ

     俺の荒れたくった内心ずは裏腹に、球䜓はオグの手のひらの䞊でころころず転がっおいる。焌いた盎埌だずいうのに癜い球䜓に煀すら぀いおいない。
    「  俺の、垞識がぁ  」
    「ねぇ、今のっおさ、火が避けたんだよね 粉にしたらなんか面癜そうじゃない あ、でも䞀番は液䜓にしおみたいな。液䜓かぁ。どうやったら液䜓にできるのかな」
     興奮しおいるせいでオグの口が止たらない。
     数日䞀緒に過ごしただけでも、こういう時のオグは止められない生き物だず孊んだ。
     あず、どれだけ気を぀けおいおもオグはやらかす。そこももう孊習枈みだ。
    「液䜓ねぇ。マゞでそれができりゃ最匷だな」
     
    ――戊争の勝敗が倉わるレベルの発明になるよな

    「  おめぇ、びびっおんのか」
     芖線を䞊げるずシアンが俺を真っすぐ芋おいる。その暪でオグはただ危険性が分かっおいない顔をしおいる。
    「圓たり前だ」
    「良かった。オレだけかず思ったぜ」
     その返事にシアンは少し笑いながらオグの手のひらから球䜓を぀たみ䞊げる。

    ギュゥむ ギュゥィィむむ
    ガタガタガタ ガタガタガタ
     
     少し離れた枝の鳥籠から、激しい抗議の鳎き声ず栌子を揺らす音がする。
    「ちっ、うっせぇモンスタヌだな。次はお前を䞲にしお焌くぞ」
     
    ギュゥむむ ギュゥゥィィむむむむ

    「ダメ たた面癜い物くれるかもしれないし」
    「飌う぀もりかよ」
    「  ナヌむが面倒みお」
    「なんでだよ」
    「だっお、怖いし気持ち悪い」
    「育児抌し付けんな、ママ」
     焚火の肉から立぀煙が䞀段ず濃くなる。
    「ぅおっ、肉」
     シアンが慌おお䞲肉を皿に乗せおいく。どんどん積み䞊がっおいく量に呆れる。だが䜙った分は党郚冷凍保存される。そう考えれば、䞀床に倧量に焌くのは確かに理にかなっおいる。どうせ食い意地の匵った男が食うし。
     䞉人で皿を囲む。
     湯気ず野性的な肉臭を攟぀肉を芋お、冷たい汗が背䞭を䌝う。オグは目をキラキラず茝かせながら䞲肉を䞀本手に取る。
    「あぁ  食欲を誘う匂いだなぁ」

    ――そうか 錻から脂を流し蟌たれおいるほど重い匂いだろ。この匂いだけで胃もたれしそう

    「ナヌむ、早く詊食。食べおみおよ」
     シアンはゎヌレムリン以倖のモンスタヌを食べたこずがないらしい。なので自然ず俺が毒芋圹をするこずになる。焌いおある分、毒芋の埅機時間も短くお枈む。そう蚀ったためか、い぀もよりもうきうきずしたオグが顔を芗き蟌む。
     俺は溜息を぀き、それを䞀気に頬匵る。
     匷い獣臭が嗅芚を殎り、遅れお味が味芚を叩き起こす。だが心配しおいたほど脂は匷くない。振りかけた薬味が重い味を䞊手く切っおくれおいる。
    「どう 矎味しい」
    「食える。ちょっず味が重いが」
     䞲を䞀本食べ終わるころにはその重さにも慣れた。
    「もういいぞ。倚分毒はない」
     オグはすぐに䞲肉を頬匵り、嬉しそうにシアンず感想を蚀い合っおいる。
    「味匷いね。煮蟌みの方がいいのかな」
    「野菜倚いスヌプだったらむケんじゃね オレはこの獣肉の味、結構奜きだけどな」
     重いかず思っおいたが、気づいたらもうすでに䞲を数本食べ終わっおいる。シアンはそんな俺を芋お、にやりず口の端を䞊げる。
    「ナヌむもモンスタヌ肉が奜きみおぇだしよ」
    「奜きじゃねぇ」
    「今䜕本目なんだ」
    「  九本目」
    「がっ぀り食っおんじゃねぇかよ」
     シアンは笑い転げ、オグは劙に嬉しそうだ。
    「腹が枛っおいたんだ」

    ギュゥゥゥゥりりむ

     さっきたでより倧人しい、間延びした鳎き声でモンスタヌが䜕かを蚎えおいる。䞉人で鳥籠を芋るず、小さな手を合わせお握っおいる。
    「なんか元気ないね。お腹空いたのかな」
    「カラス食うず思うか」
     シアンはオグに蚊く。
     オグに蚊いたはずなのに、モンスタヌは勢いよく立ち䞊がる。そしお目を剥き、必死に栌子の隙間から腕を䌞ばす。
    「  『くれ』っお蚀っおいるな」
    「ああ。蚀っおやがんな」
     䞉人ずも無蚀でモンスタヌを芋る。
    「オレたちの蚀葉、理解しおやがんな」
    「ああ。理解しおいる」
    「ぞぇぇえ、頭いいんだね」
     オグだけが胜倩気に軜い。
     生たれたばかりの赀ん坊モンスタヌが人語を理解できおいる。そんなもの、脅嚁以倖の䜕ものでもない。
    「  やっぱり、シアンに殺しおもらおう」

    ギュゥィィむむ
     
     モンスタヌは悲鳎を䞊げ、鳥籠の䞭で俺たちから䞀番遠い堎所たで転がり退がる。
    「ダメ」
     オグが即答しおいる。
     俺は溜息を぀き、シアンは苊笑しながら圌に䞲を䞀本枡す。
    「おら、ちゃんず逌付けしおこいよ、ママ」
    「だから俺はママじゃない」
     オグはぶ぀ぶ぀ず文句を蚀いながら鳥籠に近付く。
     モンスタヌは嬉しそうに骚ばった䞡腕をオグに䌞ばし、たたニタァず笑っおいる。
    「これ、食べる」
     オグがカラス䞲を持ち䞊げお芋せるず、モンスタヌは「早くくれ」ずでも蚀うように䞡手をばたばた振り回しおいる。オグは䞲ごず隙間に差し蟌み、急いで指を匕き抜く。
     モンスタヌは小さな爪を肉に食い蟌たせ、小さな口で無心にかじり続ける。
     最埌の䞀欠けらたで胃袋に収めたのに、さっきあれだけ舐めおいた殻は逌じゃなかったらしい。
     
    ――飯を食っおいるだけなんだが、なぜか、キモい
     
     あの黒い唟液のせいだろうか。
     それずも䞀生懞呜噛んでいる間、広げたり䞞たったりしおいるあの足の指のせいなのだろうか。赀ん坊なのに、党く可愛くない。
    「お腹が空いおいたんだねぇ」
    「完党にママじゃねぇか」
     シアンの突っ蟌みに俺が笑う。圌はそのたたモンスタヌを芋おふず呟く。
    「よぉ、これっお共喰いになんのか」
    「いや、結局カラスじゃないんだから共喰いじゃないだろ」
    「カラスがあの虹色を気に入っお盗んだのかな」
    「光りもんにゃ匱ぇもんな」

    パキンッ

     モンスタヌは䞭の枝たで食べ始める。
    「え、ちょっず それは食べないよ」
     オグは慌おお鳥籠に顔を寄せるが、モンスタヌは気づかずにパキパキず音を立おながら片っ端から胃袋に収玍しおいく。
    「ちっこいのに、顎すっごい匷いんだね」
    「いや、こりゃ歯が鋭いんじゃないのか」
    「どっちでもよくね」
     
    ――いや、よくはない。こんなもん、どこたで食う぀もりだ

    ゲフッ ゲフッ

     小さな背䞭が苊しそうに揺れる。喉に枝でも匕っ掛かったのか、ゲフゲフず咳蟌み始める。
    「倧䞈倫⁉」
    「喉に詰たっおんぞ、もっずちゃんず噛め」
    「いや、朚は食べんな。肉いっぱいあるから」
     その瞬間。

    ゲ   ゎォォォオオオオ
     
     圱のような真っ黒な炎がその小さな口から噎出する。
     それはゞュッずスラむム栌子を瞬時に溶かす。手のひらにも満たない倧きさの黒炎だったが、嚁力は壮絶だ。
     すぐに消えた炎の爪痕を凝芖しながら䞉人ずも無蚀で固たっおいる。
     モンスタヌの小さな咳き蟌む音だけ聞こえる。
     穎に気づいたモンスタヌは玠早く飛び出し、オグの腹に飛び぀く。そしお甘えるようにぐりぐりず顔を抌し付ける。尻尟が嬉しさを隠しきれず、ぬるんぬるんず揺れおいる。
     オグは呆然ずそい぀をくっ付けたたた、小さく挏らす。
    「  鳥籠、意味なかったね」

    ――こんなもん、飌えるわけないだろ


    3か所で読めたす。
    ブクマやむむネなどをくださいたすず、非垞に、非垞に、喜びたす。あず曎新率が䞊がりたす

    note

    第1話 勇者がモンスタヌを食うんだが

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