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君たちは、ベーコンを知っているか?



汝なんじ、ベーコンを絶やすべからず

燻製の神からの天啓こえ以来──いや、べらぼうに酔ってぶっ倒れるように寝た晩のことだから、その天啓とは夢だったのかもしれないが──とにかく、我が家からベーコンが途切れたことはない。
冷蔵庫のチルド室は、完成前──塩漬け熟成中の「ベーコン前」の豚バラ肉と、燻製後の「完全体ベーコン」で常に占拠されている。ちなみに、私の推し俳優はもちろんケヴィン・ベーコンだし、ゆくゆくはスマホケースや玄関の表札、靴の中敷きや本籍に至るまでベーコンにしていく予定だ。

豚バラ肉を2〜4週間かけて塩漬けしている間に、在庫のベーコンが無くなるタイミングを見計らって、新たにバラ肉を燻製にする。ベーコンとは、我が家の食卓のなかで「まわしやすい」保存食なのだ。

もしも私が急逝し、イマイチ実感のない家族も、父ベーコンの──その最後のひと切れを食べたあとに「父ちゃん…」などと言って堰を切ったように涙を流すにちがいない。そして、成長した娘が本棚の端っこにある「父秘伝のベーコンレシピ帖」を見つけ、「二代目・ユウスキン」を襲名し、燻製家としての人生を踏みだす可能性すらなくもないのかもしれなくなかった。

🥓  🥓  🥓

さて、「秘伝のレシピ」などとうそぶいて勿体つけたものの、ただでさえ燻製人口は少ないのだ。こういった家元主義的な姿勢では、せっかく燻製やベーコン作りに興味がある奇特な人間まで離れてしまうにちがいない──とウダウダ言っている間にも、ベーコン神のスモーキーな天啓こえがきこえる──

汝、ベーコンを啓蒙けいもうしたまえ

──と。

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