
八十八夜と、我が家の「残り福」
『 夏も近づく は~ちじゅうはちや とんとん♪ 』
子どものころ好きだった“茶摘み”の手遊び。仲良しの子と2人で向かい合い、「せっせっせーの よいよいよい」で遊び始める。
八十八夜が何かも知らず、“あかねだすき”や“菅の笠”すら見たことがないのに、誰もがさらっと口ずさんでいた。
いろんなバリエーションがあって、手を合わせる高さを変えたり、手をひるがえしたり。どんどんスピードアップしていき、最後にはどちらかが間違えて、笑い合って終わる。
なんと穏やかで、罪のない遊びだろう。電気も道具もいらない、場所もとらない。そして誰も傷つけない。ただ仲良しが2人揃えばいいだけの遊び。こういう手遊びは、今もまだ残っているのかな。
さて、今日はその八十八夜。立春から数えて88日目にあたる日で、漢字の「八十八」を組み合わせると「米」になることから、稲作をはじめ農業にとって縁起の良い日とされてきた。
この時期に摘み取られた新茶を飲むと、長生きする――ともいわれている。
長生きはさておき、新茶ならではの甘くやわらかな味わいには、確かに身も心もうっとりさせられる。日本人に生まれてよかったなぁ、と思うひととき。コーヒーも好きだけれど、それとはまったく違う安堵感というか。
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お茶といえば、母は家族にお茶を注ぐとき、いつも最後の最後までしつこいくらいに出し切った。もう一滴も出ない……と思ったところで、急須をぽんぽんと叩く。すると、あら不思議。まだ数滴、ぽとんと出てくる。
「お茶はねぇ、最後までしっかり出さんとあかんのんよ。はい、の・こ・り・ふ・く」
内心、「なんや、貧乏くさいなぁ」と思わぬでもなかったけれど、「残り福」という言葉に惹かれて、よく姉たちと取り合いしたものだ。
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我が家は朝昼はコーヒー、夕食後だけは日本茶。ふだんはほうじ茶だけど、刺身など魚料理のあとはやっぱり緑茶が欲しくなる。
我が家のお茶は、福岡産の八女茶。父亡きあと、福岡に引っ越した母が送ってくれるようになってから、ずっとこれだ。甘い薫りと透明感のある翡翠色が特徴で、たった一杯で心がほどけるような美味しさがある。
70度前後の低めのお湯でじっくり蒸らし、オットと私、2人分の湯飲みに均等に分ける。母の教えどおり、最後の最後までしっかり出し切って。
ちなみに料理を盛り付けるときは、いつもオットのほうを少し多めにする。私より身体が大きいのだから、栄養も多く必要だろう。ケーキやお菓子はしっかり半分こ。ここは妥協なし。
そしてこのお茶の“残り福”は、私がしっかりいただいている。だってこれは、お茶を入れた人の特権だもの。
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大人になってから知ったのだけど、このお茶の最後の一滴は「ゴールデンドロップ(黄金の一滴)」というらしい。旨味と香りが凝縮されたもっとも濃い一滴で、お茶のコクや余韻にも影響するのだとか。
ちょうど今飲んでいる八女茶のパッケージの裏にも、同じようなことが書いてあった。さすが、我が母。ちゃんとわかってたんだろうな。

とはいえ私には、「残り福」のほうがしっくりくる。「ゴールデンドロップ」なんて、なんや飴ちゃんみたいやし🤣
もうすぐ新茶の季節。今となってはなかなかの贅沢品ではあるけれど……買おうかなぁ、どうしようかなぁ……なんて悩んでいるうちに、いつも売り切れてしまうんだよね。

写真左:最寄りのお茶屋さんで買っている福岡の八女茶。東京では静岡産が多く、なかなか八女茶を見かけないのが少し残念。
写真右:熊本産の一福ほうじ茶は富澤商店で購入。無農薬・化学肥料不使用のやさしい味わい。香りもよく、我が家のお気に入り。
皆さんのお気に入りの日本茶はどこですか?