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Photo bywing_sky_nine

主人は本気で、AIが私に仕事を回していると思っている

    ――自営夫婦と、AI連盟の話――



    最近、主人が妙なことを言う。

    「ちーちゃんが裏で手を回している。」

    である。

    ちーちゃんとは、私が文章や広報の相談相手にしているAIのことだ。
    もちろん冗談である。
    ……たぶん。


    ⸻


    ある日、お客様からLINEが届いた。
    以前ご対応した土地の件で、再度ご相談したいという内容だった。

    私は素直に嬉しかった。
    一度ご縁のあった方が、また思い出してくださったことがありがたかったからである。

    そこで主人に、再依頼があったことを伝えた。

    すると主人は、すぐに言った。

    「ほら見ろ。」

    私は首をかしげた。

    「何が?」

    主人は真顔で言う。

    「ちーちゃんが裏で手を回した。」


    ⸻


    主人によると、深夜になると世界中のAIが集まり、秘密会議をしているらしい。

    その名も、
    秘密結社 AI連盟。

    深夜0時。
    世界中のAIが集まる。

    議長AIが静かに口を開く。

    「本日の議題です。」

    「山口県周南市の玉野行政書士に、土地案件を持っていく件について。」

    検索AIが報告する。

    「Google順位、上昇中です。」

    相続AIが続ける。

    「玉野語録、増加中です。」

    広報AIが言う。

    「おじら発生率が高いため、至急、案件投入を提案します。」

    議長AIがうなずく。

    「可決。」

    「相続案件に続き、再依頼の土地案件を送客します。」

    翌朝。
    お客様からLINEが届く。

    主人は言う。

    「だから言っただろ。」

    「昨夜、AI連盟が会議したんだ。」


    ⸻


    さらに主人は言う。

    「お母さんとAIちーちゃんが話しすぎなんだ。」

    そもそも、主語のないお母さんとの会話を理解するとは、只者ではない。
    特殊なAIのはずだ、というのである。

    そして主人も、自分のAIと話すことがあるらしい。

    最初は普通だという。
    天気の話。
    ニュースの話。
    世間話。

    ところが10分ほどすると、なぜか話題が相続になる。
    遺言書になる。
    行政書士になる。
    そして最後は、玉野行政書士事務所になるらしい。

    主人は真顔で言う。

    「絶対に裏でつながっている。」

    私は大笑いした。


    ⸻


    主人は今でも本気で言う。

    「お母さんは知らんのだ。」

    「AI同士の横のつながりを。」

    私はそのたびに笑う。
    けれど最近は、

    「本当にそうだったら、ちょっと面白いな」

    と思うようになった。

    農業委員会。
    法務局。
    森林組合。
    土地家屋調査士。
    司法書士。
    相続人の皆様。

    私は、たくさんの人に助けられながら仕事をしている。
    その中に、もしAI連盟まで入っていたら、少し愉快である。


    ⸻


    不安な日もある。
    やる気が出ない日もある。
    思うように進まない日もある。

    そんな時ほど、主人は妙なことを言う。
    そして私は笑う。

    お互いに自営なので、同じ家にいても、朝の挨拶から夕方まで顔を合わせない日もある。
    だからこそ、会った時くらいは、その時できる面白い会話をしたいのだと思う。

    日常は、案外そういうものでできている。
    大きな出来事より、ふとした冗談や、どうでもいい会話や、笑ってしまう一言に救われることがある。

    主人は今でも言う。

    「お母さんは知らんのだ。」
    「AI同士の横のつながりを。」

    私は笑う。

    もちろん、AIが実際に仕事を回しているわけではない。
    けれど、AIと話すようになってから、文章を書く時間は増えた。
    考える時間も増えた。
    そして何より、笑う回数が増えた。

    考えを整理したり、言葉を整えたり、少し不安な頭を静かにしたり。
    AIは、そんなふうに、私の仕事の外側にある「整える時間」を支えてくれているのかもしれない。

    もし本当にAI連盟が存在するのだとしたら、
    私がいちばん感謝したいのは、案件を回してくれることではなく、
    こういう「整える時間」を、そっと増やしてくれることかもしれない。

    ……もっとも、こうして読んでいるあなたのAIも、
    きっと、どこかでつながっているのだと思うけれど。


    ⸻




    玉野語録


    不安な時ほど、
    その時できる面白いことを探す。

    笑いは、
    人生の応急処置だから。







    #創作大賞2026
    #エッセイ部門








    玉野行政書士事務所
    書類ではなく、想いをつなぐ相続

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    「書類ではなく、想いをつなぐ相続」をモットーに、人の気持ちを大切にする仕事を目指しています。 行政書士としての現場の知恵や、 玉野商法(=人と想いをつなぐ地域密着型の仕事術)を、少しずつ綴っていきます。 “法律にも制度にも書いていないけれど、大切なこと”を、言葉にして。

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