
事務に20回応募して、全部だめだった話
20回応募して、全部落ちた。
朝、メールを開くと「今回はご期待に沿えず」という文面が並ぶ。
件名だけで分かるようになって、開かずに閉じる日もあった。
それでもしばらくすると気になって、結局もう一度開いてしまう。
若い頃は、未経験でも事務の仕事に就けていた。
派遣でもパートでも、「やってみますか」と言われて、そのまま働き始めたことがある。
だから今回も、どこかで同じようにいくと思っていた。
でも、46歳になってからの応募は、まるで通らなかった。
仕事内容はちゃんと読んでいたし、
エントリーシートも、そのたびに少しずつ直した。
言い回しを変えてみたり、順番を入れ替えたり、
前よりも分かりやすくしたつもりの文章を、もう一度見直したりする。
送信ボタンを押したあと、画面を閉じるまでの数秒がやけに長く感じられた。
それでも、結果は変わらなかった。
最初は、年齢かなと思った。
ブランクかもしれないとも思ったし、
直近の仕事が事務じゃないことも気になった。
どれもそれらしい理由に見えるのに、
どこか決め手に欠ける感じが残った。
選考落ちの理由は教えてもらえない。
だから余計に、はっきりしなかった。
あとから知ったのは、
今の事務職は、昔よりもずっと人気があるということだった。
応募が集まりやすくて、
紹介される前の段階で選ばれることも多いらしい。
そういう事情があるのだとしたら、
単純に比べられる話じゃなかったのかもしれない。
それでも、引っかかりは残ったままだった。
「じゃあ、何が違ったのだろう」と考えたとき、
少しだけ見え方が変わった。
私は、事務職に就きたかったのだろうか。
そう思ったとき、
思い浮かんだのは仕事内容よりも、働いていたときの感じだった。
座ってできて、
静かで、
誰とも話さなくていい時間があって、
黙々と進められて、
あまり消耗しない。
あのときの、あの落ち着いた感じ。
もしかしたら私は、
仕事を選んでいたというより、
あの状態に戻りたかっただけなのかもしれない。
不採用の理由は、20回とも分からなかった。
だからその分、
「自分のどこが悪いのか」を考える時間は増えていった。
直せば通ると思っていたし、
直せるものがあるはずだとも思っていた。
落ちるたびに、「どこがダメなのだろう」ではなく、
「どう直せば通るだろう」と考えていた。
20回分の応募は、
どれも少しずつ違っていて、
でもどこか似ていた。
今でも、何が正解だったのかは分からない。
ただ、同じ場所に向かっていたつもりで、
少し違うものを探していたのかもしれない、とは思う。