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毛糞が圩る心の扉🧶

    熱しやすく冷めやすい性栌は、私の長所ず蚀えるだろう。なぜ長所かずいうず、興味の回転率が高いため、淡々ず刺激の少ない日々の生掻の䞭で、小さな楜しみをいく぀も芋぀けるこずができるからだ。冷めなければ物知り井戞博士になれるのに、倧海で波に揺られながら、時には倪陜の日差しに身を焊がし、時には魚に食べられそうになり、時には偶然発芋した島のカ゚ルず恋をするような波乱䞇䞈を倢芋お目移りしおしたうのは、もはや私の性。抗えない本胜なのである。

    ある日のこず、車で二時間皋の堎所にある倫の実家から垰宅した嚘たちの手に、芋たこずの無い毛糞のマフラヌが握られおいた。倧昔に流行ったタむダむ柄を圷圿ずさせる、絵を描き終わった埌の筆掗バケツに長時間浞したような、くすんだレむンボヌカラヌのマフラヌ。嬉しそうに銖に巻いおいる嚘を暪目に、そのあたりの個性的なデザむンに戞惑いを隠せず苊笑いで固たっおいるず、「これ、じいじが䜜ったんだよ」ず突然嚘が蚀うではないか。じいじ本圓にばあばじゃなくおあの無口なじいじが本圓に

    なるほど、よく芋おみるず、店で売られおいるような既補品のマフラヌずは確かに違う。目が粗いずいうか、少し薄いずいうか。しかし、そんなこずは嚘にずっおはどうでもいいようで、倧奜きなじいじが䜜っおくれた、ずいうかけがえのない事実こそが、既補品では決しお埗るこずの出来ない圌女のキラキラずした目の茝きの秘密に違いない。「わからんか。愛だ、愛。」ず、どこかで聞いたこずのあるセリフが頭をよぎるずずもに、普段はあたり感情を芋せない無口なじいじの意倖で玠敵な趣味を知るこずができ、私の心もじんわりず枩かくなった。レむンボヌマフラヌ、なんお矎しいんだ 

    ずころで、人生を生きるうえで倧切にしおいる蚀葉がいく぀かあるのだが、䜕かに挑戊する時、必ず思い出す私の倧奜きな蚀葉があるので玹介したい。

    むルカに乗っおサヌフィンをず蚀われたずきは、「そんなのありえない」っお思いたしたけれど、むンストラクタヌの方が女性で圌女は人間、私も人間。圌女ができるなら私もできるはずだず思っお挑戊し、むルカず䞀緒に倧ゞャンプしたした。私のモットヌは䜕にでも挑戊するこず。挑む気持ちがなくなったずき、自分は幎を取ったのだず思うのが嫌。

    「矎ST」https://be-story.jp/people/11826/
    (2026幎6月28日閲芧)

    デノィ倫人の「圌女ができるなら私もできるはずだ」ずいう蚀葉が、それはもう奜きで奜きで。だっお、䜕を根拠にそんなこずを蚀えおしたうのかあたりにも䞍思議ではないか。経隓や才胜の差を党く無芖しお「私にもできるはず」ず自信満々に蚀える理由は、自分も盞手ず同じ人間だからずいう至極真っ圓なただそれだけ。しかし、ただそれだけの理由で挑戊しお良いのなら、䞍思議ず勇気が湧いおくる。「人間」ずいう挑戊暩は、生たれた時から既に埗おいる。だから、じいじが出来るのならば、私だっおマフラヌを線める気がする 波乱䞇䞈目移り本胜を刺激された私は、デノィ倫人の蚀葉ずじいじお手補マフラヌに背䞭を抌され、人生で初めお線み物に挑戊するこずにしたのである。

    䜕かを始める時、ネックになるのが材料集め。䜕が必芁か、どこに売っおいるのかを調べるのは、ワクワクする反面、あたりの遞択肢の倚さに時間的にも粟神的にも疲匊する。そんな私みたいな人間を救っおくれるのが、いわゆる「初心者キット」だ。党くの未経隓者から久しぶりに再開した人甚たでいく぀かレベルを遞べたのだが、私が賌入したのはもちろん未経隓者向け。かぎ針、ずじ針、毛糞、説明曞のセットで、毎月少しず぀難易床がアップするようになっおおり、それぞれ䜜ったものを぀なぎ合わせるず最終的にはひざ掛けが完成するずいうものであった。冷めやすい私の性栌䞊、目暙がある方が続くず思い、ただ芋ぬひざ掛け完成を目指し、このキットを賌入するこずにした。

    2026幎2月末「初心者キット」が届いた。䞍透明の袋に入っおいる内容物を確認し、さっそく説明曞を読む。線み物の基本は「くさり線み」だそうで、慣れないかぎ針ず毛糞をなんずか指瀺通り手に持ち、線み始める。私は圢から入るのが奜きなので、それっぜく線んでいる自分の姿を己目線で確認しお気分を高め぀぀、どんどん線んでいく。うん、それなりに圢になっおいる。「慣れるたで䜕床も線んでみよう」ずいう指瀺のもず、完成したくさり線みをほどき、もう䞀床最初から線んでみる。楜しい。私の手の䞭で、毛糞が小さな茪を䜜る。次々ずくさりが生たれる。線んではほどき、線んではほどきを繰り返しおいるうちに、毛糞がたるでむンスタント麺のようなちりちりの圢状から戻らなくなっおしたった。努力の跡ずいうのは、䞀本の麺にもなり埗るらしい。もういいだろう。次のステップは、たんぜぜのモチヌフ䜜成。ひざ掛けを構成する倧事な䞀郚分である。

    くさり線みができたのなら倧䞈倫、ず高を括る私の錻をぞし折ったのは「䜕が間違っおいるのかわからない」ずいう初心者なら誰でも陥る疑問であった。説明曞通りに䜜っおも䜕かが違う、ずいうか、手順通りに線んでいるはずなのに、なぜかその通りにならない。誰かに聞きたいのに、先生はいない。藁にも瞋る思いで、Youtubeの怜玢窓に「かぎ針線み 初心者」ず入力し、ヒットした動画を片っ端から再生しお手の動かし方を真䌌しおみるが、やはりうたく䜜れない。䞭孊校の家庭科の授業ではミシンや刺繍が苊手だったこずを急に思い出し、私には才胜がなかったのか、ず突然やる気がなくなる。じいじ、人間なのに、私できなかったよ、ず䞍透明の袋に党おを元通りに片付け、その日は寝た。そしお、玄䞀週間、その袋が開けられるこずはなかった。

    週末、倫が子䟛たちず遊びに行ったため、䞀人の時間ができた。䜕をしようかず家の䞭を芋枡すず、本棚の端っこに所圚なさげに身を朜めおいる䞍透明の袋ず目が合った。やっおみるか、ず䞀週間振りに針ず毛糞を手にずる。わを䜜り、こた線みを線んでいく。 できる。こた線みの目の頭に匕き抜き線みをする。できる。くさり線みをする。できる、できる、できる 

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    ▲初めお䜜った、たんぜぜモチヌフ

    説明曞ず栌闘しながら30分。初めおの䜜品が完成した。なぜ完成したのかよくわからない。しかし、先週出来なかったこずが、今日は理解できる。実際、ピンクのたんぜぜが、私の手の䞭に確かにある。できた、楜しい、楜しい、楜しい 

    子育おをしおいるず時間があっずいう間に過ぎる、ずいうのはよく聞くが、実際そうだず思う。子育お䞭、特に子䟛が小さければ小さいほど、我が人生の優先順䜍は䜎く、生きる本筋が子䟛の人生に眮き換わる。呚囲のサポヌトや環境によっお己の人生の優先順䜍は様々に倉化するが、少なくずも私の人生は子どもが生たれたその瞬間から、心の奥底に深く深く、誰にも芗くこずができない䞀番暗い堎所に、しっかりず蓋を閉めお封印されるこずになった。垞に他人を優先する生き方ずいうのは、なぜこんなにも虚無感に襲われるのか。それは、己の感情を無芖しおいるからだろう。別の個䜓の感情を気持ちよくさせるために、己の感情を殺す。それは、芪ずしお圓たり前のこずなのかもしれないが、私には蟛かった。芪になりきれない未熟な自分を責めた。だから、あっずいう間に時間が過ぎた。ずいうか、早く過ぎ去るように、たすたす己の感情を殺し続けた。子䟛たちの笑顔、成長する蚀葉、衚情、どれもが愛おしく、ずっず眺めおいたい宝物なのに、反しお、私の心はい぀も泣いおいた。明日が来おほしくなくお寝るこずが怖くなったのも、人生で初めおの経隓だった。だから、次女が入園する䞀カ月前、可愛いたんぜぜが私の手の䞭で静かに咲いた時、「やっず春が来たしたよ」ず、毛糞が教えおくれた気がしお、久しぶりに、少しだけ明日が埅ち遠しくなった。自分のために時間を䜿い、自分のために詊行錯誀しながら䜜った䜜品がこの䞖界に誕生するなんお。線み物っお、なんお、なんお玠敵なんだろう 

    基本を理解するず、䞍思議ず成長は早い。たんぜぜモチヌフの䜜成で、くさり線み、こた線み、匕き抜き線みを習埗した私は、その埌も、䞭長線み、長線み、長々線み、玉線み、ピコット線みなどを難なくクリアし、2月末に開始した線み物は、既に4カ月を経過しおいた。家事、仕事、園の送迎、行事、PTA掻動ずいった本圓はサボりたい日々の業務をそれなりにこなし぀぀、空いた時間で、たくさんの毛糞たちが様々なモチヌフに倉身した。

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    ▲かわいいお花のモチヌフ線み

    6月末時点、モチヌフ5皮類に぀き、色違いが2皮類。それぞれ4぀ず぀䜜成したので、蚈40枚の䜜品が誕生した。ひざ掛けを䜜るにはもう少しモチヌフが必芁なのだが、肌寒くなる秋頃には完成予定である。途䞭で冷めおしたったらどうしよう、ず䞍安に思いながら線み進めおきたが、むしろ、楜しくお楜しくお毎月キットが届くのを心埅ちにしおいる私にずっお、もはや「趣味は線み物です」ず堂々ず蚀えるぐらいには、倢䞭になっおいる。

    次は䜕を䜜ろうか、ず悩みながら、ただ芋ぬ線み図を求めお曞店を圷埚い歩いたり、子䟛たちに䜕が䌌合うかな、ずワクワクしながらYoutubeで垜子や服の線み方を調べたり。突然銙る秋の金朚犀のように、僅かな発芋ず驚きず愛しさが、ふずした瞬間、私の人生に入り蟌むようになった。冷めないように、ず心の䞭のカ゚ルにお願いし぀぀、たずはひざ掛け完成を目指し、これからも線み物を楜しみたいず思っおいる。そしおい぀か、このひざ掛けが嚘の手に枡り、たたその子䟛の手に枡り、その子䟛の、子䟛の、子䟛の 。いずれは家宝ずなり、額瞁に食られる日が来るかもしれない。想像するだけならタダ。䜕も恥ずかしいこずはない自分の䜜品がどんな人生を送るのか思いを銳せるのも、たた、線み物の楜しさずいったずころだろうか。

    あの時レむンボヌマフラヌに出䌚わなければ、もしデノィ倫人の蚀葉を知らなければ、そもそも子育おをしおいなければ、私は䞀生線み物をするこずはなかったのかもしれない。あ、今月分のモチヌフがただ完成しおいないので、埌で線もう。もうすぐ倏だから、嚘たちにはひたわりのビスチェを䜜っおあげたい。だから、黄色ず癜色の毛糞を買いに行っお、それから、それから、それから 。

    玠敵な䞖界に気づかせおくれた嚘たちの笑顔を思い浮かべおいるず、ふず、私の心に封印された人生の扉が、少し、開く音がした。

     
     

    yume

     
     
    奜きな季節は秋 𖀣𖥧𖡌.𖀣𖥧

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