
「彼女と食べて美味しかったデパ地下スイーツがまた食べたい」
飲み会終わり、ひさしぶりに会った大学時代の先輩が言う。2軒目に向かおうとしていた足先の方向を急遽変え、夜のデパ地下練り歩き大会が始まった。
「どんなお菓子だったんですか?」
なんの手がかりもない中、先輩からもらった情報は5つのみ。
「きなこ棒みたいなやつ」
「指くらいの大きさ」
「ねじれている」
「チョコのお菓子」
「粉砂糖がかかってる」
「これはねじれてない」「チョコがかかったお菓子じゃなくてそれ自体がチョコなの?」「きなこ棒みたいって何?」
2次会でツマミになる予定だった話の合間合間にお菓子当ての会話が挟まる。
デパ地下のスイーツなんてあんまり頻繁に買うものでもないし、普段見ない美味しそうなお菓子の陳列についつい寄り道もしちゃったりして。
…見つからない。
1時間も経てば探索のお供の雑談も尽きてきて、最終手段で彼女に連絡してもらってみる。
「そんなの食べた?」
「食べたよほら、去年の9月くらいに食べたやつ」
「…もしかして、これ?」
そんなメッセージと一緒に送られてきた写真を確認したら、これ。

…いや、ねじれてないしちっちゃ!
「全然違うじゃん!」
思わず先輩にツッコミが飛ぶ。
「いや〜、ねじれてると思ったんだけどな…」
気の抜けた返事に、呆れとよく歩いた体の疲れから笑いが漏れる。もうここから飲みに行く気力などなかったのと、この時間がなんとも言えない楽しさで満たされていたのとで、各々そのチョコを買って解散した。
2次会に行くのより断然短い時間、断然安い金額。結局私達は対話を楽しめれば、お酒などいらないのかもしれない。
自宅にて。ひと息ついてチョコを一口。
美味しいのは本当だった。