
【子育てエッセイ】えらくなくても、君が好き
最近、ちょっと気になる娘の口癖がある。
「わたし、えらい?」という言葉だ。
お皿を自分で片付けたとき。
テレビをきりのいいところで終えられたとき。
玄関をスムーズに出られたとき。
母として助かったなと思う、そんな瞬間に、娘は決まって言う。
「わたし、えらい?」と。
たしかに、えらい。
でも、なんで答えたらいいか一瞬迷ってしまう。
娘は、かつての自分のようにはなってほしくないのだ。
褒められたくて、誰かの期待にこたえたくて、
いつのまにか自分の気持ちがわからなくなった、あの頃の自分に。
いろんな思いが頭をめぐって、私はこう伝える。
「協力してくれてありがとう。とても助かったよ」
私が感謝を伝えると、娘はぎゅっと抱きついてきた。
もしかすると娘は、「えらいね」と言われて、
自分の存在が認められることに安心しているのかもしれない。
愛されているか、確かめているのかもしれない。
そう思うと、娘が満足そうにうなずく理由が、少しわかった気がした。
しばらくしてから、そっと伝える。
「ママね、みっちゃんがえらくなくても、みっちゃんのこと大好きなんだよ」
すると娘は、「え〜?変なの〜」と笑った。
でも、なんだかうれしそうだった。
だから伝える。
えらくても、えらくなくても君が好きだよと。