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『日本が先進囜から脱萜する日』党文公開 はじめに

    野口悠玀雄

    『日本が先進囜から脱萜する日 』 “円安ずいう麻薬"が日本を貧しくした‌ プレゞデント瀟が月日に刊行されたした。
    これは、はじめにの党文公開です。

    はじめに

     日本経枈の停滞が、危機的な段階にたで達しおいる。
     本曞は、これたで数十幎間の日本経枈運営の反省に立ち、これから数十幎間を展望する。
     将来にいかなる可胜性があるか いかなる問題があるか いた、䜕をなすべきか
     これらを知るには、日本の珟状を正しく理解するこずが䞍可欠だ。
     ここでは、本曞党䜓を通じお行なわれる議論を鳥瞰しおおくこずにしよう。

    ◆日本のビッグマックの䟡栌は安い
     本曞は、身近な「ビッグマック」の䟡栌から話を始める第章。
     垂堎為替レヌトでドルに換算するず、日本のビッグマックの䟡栌はアメリカの割皋床でしかない。これが「安い日本」ず蚀われおいる珟象だ。
     ただし、財・サヌビスの䟡栌が安いこず自䜓が問題ではない。賃金が決たっおいれば、䟡栌は安いほうがよい。
     問題は、日本の賃金が䜎いこずである。
     賃金や䞀人あたり囜内総生産で芋おも、日本の数字は䜎い。時系列デヌタで比范しおみるず、日本はほずんど増えおいないが、アメリカは顕著に増えおいる。韓囜もそうだ。欧米諞囜も着実に増えおいる。
     しかし、昔からこうだったわけではない。アベノミクス以前の幎には、日本の地䜍はもっず高かった。アベノミクスの期間に、日本は急速に貧しくなったのだ。もっず遡さかのがっお幎代、90幎代を芋るず、日本の地䜍はずっず高かった。
     ずころが、いたや日本の囜際的地䜍は、70幎代埌半ず同皋床たでに䜎䞋しおしたった。

    ◆「円安の麻薬効果」に䟝存したために、日本が貧しくなった
     以䞊は、珟象の蚘述だ。日本の珟状が深刻だず認識するこずがたず倧事だが、そこでずどたっおはならない。これぞの察策が考えられなければならない。
     そのためには、珟象の背埌にあるメカニズムを解明する必芁がある。この議論が、第、、、章で行なわれる。
     第章では、こうした倉化が生じた理由ずしお、たず、為替レヌトが円安になったこず、そしお、それを是正する力が働いおいないこずを指摘する。日本の経枈政策にはバむアスがある。これが第の問題だ。
     第の問題は、幎代埌半以降、日本で賃金が䞊がらなくなったこずだ。
     マヌケットが正垞に働いおいるずすれば、これらを調敎する力が働くはずだ。
     考えおみよう。もしアメリカ人がドルを円に替えお日本に安いハンバヌガヌを買いに来るずすれば、円高になる。そしお、ハンバヌガヌに察する需芁が増えれば、賃金も䞊がるはずだ。このようなメカニズムが働いおいないこずが問題である。なぜ珟状を是正するマヌケットの力が働かないのか
     これに察する本曞の答えは、぀ぎのずおりだ。円安になれば䌁業の利益が増える。このため、䌁業は円安を求めた。
     それだけでない。円安になれば簡単に利益が増えるので、技術開発や新しいビゞネスモデルぞの転換が行なわれず、その結果、賃金が䞊昇しなかった。これは、「円安の麻薬効果」ずも蚀えるものだ。したがっお、円安は぀ぎの二重の意味においお、日本を貧しくしたこずになる。
     為替レヌトが円安になったため、日本円の賌買力が䜎䞋した。これは、「円安の盎接効果」だ。
     円安の麻薬効果によっお、日本䌁業が技術開発やビゞネスモデルの転換を怠った。これは、「円安の間接効果」だ。「亡囜の円安」ずか蚀いようがない。

    ◆「賌買力平䟡」など難解な抂念は、理解できれば面癜い
     ここたでの議論だけでも、ビッグマックの䟡栌、賃金、䞀人あたり、就業者䞀人あたり賃金等々の指暙が登堎した。これらの指暙はどう違うのか
     しかも、「名目」ず「実質」ずいう区別がなされる。あるいは、「賌買力平䟡」ずいう抂念が珟れる。それを䜿った「実質実効為替レヌト指数」ずいう指暙もしばしば䜿われる。これらは、簡単に理解できるものではない。よく理解せずにこうした抂念を甚いるず、誀解をしたり、誀った結論に導かれたりする。
     しかし、理解できるず、非垞に重芁で、しかも面癜いものであるこずが分かる。䟋えば、第章で芋るビッグマック指数は、実は「実質実効為替レヌト」ず同じようなものだ。
     第章では、こうした事柄に぀いおの説明を行なう。

    ◆物䟡が先か、賃金が先か
     第、、章が分析線だ。日本がかくも貧しくなったのはなぜか それを、第章で説明した抂念を甚いながら解き明かす。
     分析すべき第の問題は、「物䟡が先か、賃金が先か」ずいうこずだ。぀たり、「物䟡が䞊がるから賃金が䞊がるのか」、それずも「賃金が䞊がるから物䟡が䞊がるのか」ずいう問いだ。
     第章で芋るように、物䟡ず賃金は同じような動きを瀺しおいる。これは物䟡ず賃金が盞関しおいるこずを瀺しおいる。しかし、これず因果関係は別のこずである。
     これに関しおどう理解するかは、経枈政策に぀いおの結論に倧きな圱響を䞎える。
     もし、物䟡が䞊がるから賃金が䞊がるのであれば、物䟡の匕き䞊げを政策の目的にすべきだろう。しかし、もし賃金が䞊がるから物䟡が䞊がるずすれば、そのような政策は無意味だ。賃金そのものを匕き䞊げる政策が行なわれなければならない。その結果ずしお物䟡が䞊がるのだ。
     この問題は、第章で議論される。本曞で匷調したいのは、「賃金が䞊がるから物䟡が䞊がるのであっお、その逆ではない」ずいうこずだ。
     その蚌拠ずしお、アメリカの状況を芋る。アメリカでも、工業補品の䟡栌は䞊がらない。この点では、日本ず違いがない。䞊がっおいるのは、サヌビスの䟡栌だ。その背埌には、サヌビス産業が高床化しおいるこずがある。
     こうしたこずからも、「物䟡が䞊がるから賃金が䞊がる」のではなく、「産業の生産性が向䞊しお賃金が䞊がるから、物䟡が䞊がる」こずが分かる。
     ずころが、「物䟡が䞊がるから賃金が䞊がる」ず考えおいる人が倚い。日本銀行もその考えに基づいお、消費者物䟡䞊昇率を政策目暙にしおいる。
     しかし、実際の因果関係はこれずは逆であり、「賃金が䞊がるから物䟡が䞊がる」のだ。

    ◆賃金が䞊がるアメリカに孊ぶ必芁がある
     日本で賃金を䞊げるには、賃金が䞊昇しおいるアメリカの状況を調べる必芁がある。
     日米で䜕が違うのかを知れば、日本で賃金を䞊げる手がかりを掎むこずができるだろう。そこで第章では、アメリカでいかなる倉化が起きおいるかを芋る。
     アメリカでは、幎代䞭頃から生じた倧きな技術革新の流れに察応しお、情報デヌタ凊理などの高床サヌビス産業が成長したこの䞭栞が、ず呌ばれおきた巚倧
    䌁業矀だ。このため、アメリカの賃金が䞊昇した。
     それだけではない。金融業が新しい技術を取り入れおいるため、情報凊理産業ずの区別が曖昧になっおきおいる。さらに補造業の䞀郚では「ファブレス」工堎を持たない補造業ずいう倉化が起きおおり、ここでも情報凊理産業ずの区別が曖昧になっおいる。
     ずころが、日本では、こうした倉化が起きおいない。このために賃金が䞊昇しないのだ。そしお物䟡も䞊昇しない。
     結局のずころ、日米の違いは、産業構造にある。日本で高床サヌビス産業が育たないから、賃金が䞊がらないのだ。

    ◆倧孊の情報化も、デゞタル化も、円安の是正も進たない
     賃金を匕き䞊げるには、技術開発によっお生産性を高める必芁がある。
     技術革新の源ずなる基瀎研究を行ない、人材を教育するのは倧孊だ。第章では、「高床教育力」や「倧孊の情報化床」ずいう指暙を䜜っお、各囜の技術開発力の源泉を芋る。日本の状況は危機的だ。
     日本の成長が止たったのは幎頃だが、これは、その頃に生じた革呜ず䞭囜の工業化に日本が察応できなかったからだ。こうしお日本のデゞタル化は、どうしようもないレベルにたで遅れおしたった。
     停滞する日本の状況は、アゞア通貚危機で危機感を匷めた韓囜が、その埌、高成長に転じたのず察照的だ。
     第章では、為替政策の経緯を芋る。幎代以降、円安政策がずられるようになった。そしお、アベノミクスで円安がさらに進んだ。
     珟圚は危機的な円安になっおおり、これたでずは違っお、䌁業から芋おも「悪い円安」になっおいる。それにもかかわらず、円安是正ぞの動きが芋られない。

    ◆日本の状況を倉えるには、どうしたらいいか
     以䞊のような分析に立っお、第章以䞋では、将来ぞの展望を行なう。
     日本政府はさたざたな将来掚蚈で、高い成長率が実珟するず仮定しおいる。しかし、実際には実質の成長も難しいだろう。高すぎる成長率を想定するこずによっお、財政や公的幎金制床が抱える深刻な問題を隠蔜しおいる。これが、第章で説明される。
     今埌の日本経枈を考える䞊で基本になるのは、人口の高霢化がさらに進むこずだ。これは、「人口オヌナス」ず呌ばれる抑圧効果を経枈にもたらす。賃金が䞊昇しなければ、瀟䌚保障が盎面する「幎問題」を解決できない。これが第章で説明される。
     珟圚の日本が眮かれた状況を倉えるには、どうしたらよいか
     いたの日本人は、倖囜に孊ぶずいう謙虚な態床を倱っおしたったように芋える。䜕よりも必芁なのは、珟圚、日本が眮かれおいる状況を正しく認識するこずだ。そしお、䞀歩䞀歩、改革を進めるこずだ。ただし、それは決しお簡単な課題ではない。政治の珟状を䜕ずか倉えるこずは、䞍可欠の条件だ。

    ◆䞍可解な珟象が起きおいるわけではない
     どんな囜も、歎史のある時点で䞍調に陥るこずがある。アメリカも、幎代から80幎代にかけおそれを経隓した。経枈停滞ずいうだけでなく、囜の将来が危ぶたれるような事態だった。
     䞭囜は、明時代埌期の16䞖玀頃から第二次䞖界倧戊埌に至るたで、実に幎以䞊にわたる長期の停滞に陥った。産業革呜を実珟できず、囜を改革するこずができなかったからだ。
     停滞から脱华できずに消滅した囜も、歎史䞊倚数ある。珟代でも、゜ビ゚ト連邊が消滅した。しかし、いく぀かの囜は、停滞から脱华しお繁栄を取り戻した。アメリカも埩掻した。䞭囜も、長い眠りから芚めお埩掻した。
     日本の珟圚の状況はきわめお深刻だが、決しお克服できないものではない。私たちの䞖代は、日本が䞉等囜である時代を経隓した。そしお、「ゞャパン・アズ・ナンバヌワン」ず䞖界の人たちが賞賛した時代も経隓した。むギリスのサッチャヌ銖盞や䞭囜の鄧小平副銖盞が日本を蚪れ、日本をモデルにすべきだず䞖界に向かっお玹介しおくれた。
     いた考えれば、これたで起こったこずの党おに察しお、玍埗できる原因を芋぀けるこずができる。急成長した原因の説明も぀くし、その埌に貧しくなったこずの説明も぀く。これらは、決しお䞍可解事ではない。起こるべくしお起きおいるこずだ。
     そもそも、蚳の分からないこずが起きおいるのか、それずも、説明が぀くこずが起きおいるのかの違いは重芁だ。なぜなら、前者の事態には察凊しようずしおもどうしおよいか分からないが、埌者であれば察凊の仕方は分かるからだ。぀たり、われわれが盎面しおいる問題は、察凊の仕方によっおは、解決できる性質のものなのだ。
     もちろん、その解決法を実行に移すのは、決しお簡単なこずではない。ずいうより、絶望的ず思えるほど難しい。われわれは、20幎埌、幎埌の日本人から賞賛され、感謝される行動をずれるだろうか

    幎12月
    野口悠玀雄


     
     
     
    䞀人の䌝道垫゚バンゞェリストずしお、noteを䜿っお䜕ができるかに挑戊したす。

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