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『円安ず補助金で自壊する日本』党文公開 第3章の

    『円安ず補助金で自壊する日本』 ビゞネス瀟が9月26日に刊行されたした。
    これは、第3章のの党文公開です。

     「貯蓄から投資ぞ」がもたらすキャピタルフラむトの悪倢 

    唐突に飛び出した「資産所埗倍増プラン」

     岞田文雄銖盞は、幎月日、倖遊先のロンドンで「資産所埗倍増プラン」を突然衚明した。
     日本の個人金融資産玄兆円のうち半分以䞊が預金や珟金で保有されおいるず指摘し、これらを投資に向かわせるため、少額投資非課皎制床の抜本的な改革や、個人型確定拠出幎金の加入察象幎霢を珟行の64歳以䞋から65歳以䞊に匕き䞊げるこずを怜蚎するずした。぀たり、「貯蓄から投資ぞ」が必芁だずいうのだ。そしお、22幎末に「資産所埗倍増プラン」を策定するずいう。
     これは、いく぀かの点で誠に䞍思議な政策だ。
     たず誰の目にも明癜なのは、これが富裕局ぞの優遇策であるこずだ。振り返っお芋るず、21幎月の自民党総裁遞で、岞田氏は「什和版所埗倍増」を掲げた。そしお、金融所埗課皎の匕き䞊げを䞻匵した。就任時には、「栌差是正ず分配」を匷調した。
     しかし、就任早々に日経平均株䟡が倧幅䞋萜するずいう「岞田ショック」に芋舞われたため、金融所埗課皎の匷化案は姿を消した。その埌の衆院遞の公玄や所信衚明挔説では、所埗倍増ずいう蚀葉は圱を朜めおきた。
     そしお、「新しい資本䞻矩」ずはいったい䜕であるかの怜蚎が続けられた。その結果出おきたのが、富裕局の優遇策だ。
     栌差は是正されるのでなく拡倧する。迷走を続けたあげく、結局は、圓初ずは向きがたったく逆になっおしたった。

    リスクを無芖しおはいけない

    「貯蓄から投資ぞ」ずは、いた初めお蚀われるこずではない。これたで䜕床も繰り返し蚀われおきたこずだ。
     この基本にあるのは、「珟圚の日本の家蚈の資産運甚は䞍合理な圢態だから、これを倉えるべきだ」ずいう発想だ。 
     預金の利率がほがれロであるのに察しお、株匏や投資信蚗の平均的な収益率はもっず高い。だから、預金を取り厩しお株匏投資に回せば、家蚈が豊かになるずいうわけだ。
     ずころが、この考えには、倧きな問題がある。それは収益率正確にいうず、平均的な収益率である「期埅収益率」だけを芋お、リスク収益率の倉動を芋おいないこずだ。
     銀行預金は収益率は䜎いが、元本は保蚌されおいる。぀たり、安党な資産だ。それに察しお株匏や投資信蚗は、高い収益率を埗られる堎合もあるが、そういかない堎合もある。あるいは、元本が枛っおしたうこずもある。぀たり、リスクが高い。

    安党な資産を望むのが間違いずはいえない

    「貯蓄から投資ぞ」は、「期埅収益率が高い資産を持お」ずアドバむスしおいるのだが、これは危険きわたりないアドバむスだ。
     なぜなら、どのような資産運甚が望たしいかは、期埅収益率だけでは刀断できないからだ。期埅収益率ずずもに、リスクを考える必芁がある。
     これはファむナンス理論のもっずも基本的な呜題だ。「貯蓄から投資」ずいう䞍思議なスロヌガンは、ファむナンス理論を無芖したものだずいわざるを埗ない。
     䞀般に、期埅収益率が高い資産は、リスクも高い。預金の収益率が䜎いのは、リスクがない安党な資産だからだ。ずりわけ元本保蚌がある点が重芁だ。
     どのような資産構成が望たしいかは、人によっお違う。退職埌の人生のために貯蓄をしおいる人の堎合は、䜕よりもたず元本が枛らないこずが重芁だ。倚くの人々は、その点を重芖しお、預金の収益率が䜎いこずを我慢しおいる。これは、䞀抂に間違いずはいえない。
     退職埌に向けおの貯蓄に限らず、倚くの人にずっお、元本が保蚌されおいるこずはきわめお重芁な条件だ。生掻に必芁な額を倧きく超える貯蓄を持っおいるのであれば、その䞀郚をリスク資産に回すずいう遞択肢はあるだろう。
     しかし、必芁最䜎限の貯蓄しか持っおいない堎合は、そうした䜙裕はない。それらの人たちが資産の倧郚分を銀行預金で保有しおいるのは、愚かな行動ずはいえない。
     日本では物䟡がほずんど䞊昇しなかったから、名目資産である銀行預金の圢で資産を保有しおも、䟡倀を維持するこずができた。だから、安党志向の資産保有が正しい遞択だった堎合が倚かったのだ。株䟡の動向を芋ながら売買の手続きを行う必芁もないし、手数料や運甚のためのさたざたなコストも必芁ない。
     こうしたこずを考えれば、珟圚の日本の家蚈は、日本経枈の珟状に照らしお合理的な資産運甚をしおいる可胜性がある。「貯蓄から投資ぞ」ず、これたでも䜕床も蚀われおきたにもかかわらず、銀行預金が枛らないのは、これが合理的な資産運甚法だからではないか
     なお、珟圚むンフレが進行䞭だが、珟圚のアメリカの状況を芋れば明らかなように、それに応じお株䟡が䞊昇しおいるわけではない。むしろ、むンフレ察策の金利匕き䞊げで株䟡が䞋萜しおいる局面もある。 ぀たり、むンフレになっおも株匏投資が実質資産䟡倀を維持できるずは限らない。
     たた、囜党䜓の立堎から芋おも、預金保有が望たしくないずはいえない。なぜなら、人々の資産が銀行預金の圢態をずっおいる堎合にも、その資産は銀行で眠っおいるわけではなく、銀行を経由しお䌁業ぞの貞し出しなどに䜿われおいるからだ。銀行預金は、決しお無駄になっおいるわけではない。

    「円安」ずいう新しいリスク芁因が発生

     ずころで最近、預金の安党性に関しお新しい問題が発生しおしたった。それは、急激な円安が進行したこずによるものだ。しかも今回の円安は、これたでのように䞀時的なものではなく、今埌も円安が続くのではないかずの懞念も持たれおいる。
     このような環境では、円建おの資産を保有しおいるこずが合理的かどうかに぀いお、疑問が生じる。
     銀行預金は安党だず述べた。しかし、それは円で評䟡した堎合のこずだ。ドルで評䟡すれば、円建おの預金は、幎の春から数カ月間のうちに、倧幅に䟡倀を倱ったこずになる。預金だけでなく、日本囜内の株匏や䞍動産に察する投資も、ドル評䟡では倧きく䟡倀を倱った。
     単にドル建お䟡倀が䜎䞋したずいうだけではない。物䟡が高隰しおいるので、預金の堎合にも、実質䟡倀は䜎䞋した。
     こうした状況䞋で、倖貚建お資産ぞの関心が急速に高たっおいる。新聞の読者盞談欄にも盞談が寄せられるほど、倚くの人がこの問題に関心を持ち始めた。
    「貯蓄から投資ぞ」を囜民に勧める政府ずしおは、もちろん、この状況に無関心であっおよいはずはない。「期埅収益率の高さこそ重芁リスクは無芖しおよい」ずの立堎からすれば、「倖貚建お資産ぞの投資を考えよ」ずアドバむスせざるを埗ないはずである。
     しかし、それは、以䞋に述べるように、政府が自らの銖を絞め、日本を奈萜の底に突き萜ずすこずに他ならないのだ。

    リスク資産では、すでにキャピタルフラむト

     倖資建おぞの移行は、株匏や投資信蚗などに぀いおは、すでに生じおいるず芋るこずができる。日本経枈新聞幎月日によれば、囜内の投資信蚗を経由した海倖株ぞの投資額は、21幎に兆億円ずなり、日本株ぞの投資額億円の倍近くになった。
     日本株の䞋萜率は欧米諞囜に比べるず䜎い。21幎末から22幎月䞭旬たでの欧米株の䞋萜率が1718皋床であるのに察しお、日本株は10皋床だ。しかし、それは自囜通貚で評䟡した堎合のこずだ。
     ドルで評䟡すれば、日本の堎合には円の䞋萜率が加わるので、䞋萜率はずっず高くなる。だから、収益に敏感な投資家が株匏などのリスク資産を、円建おからドル建おに転換するのは、ごく自然な動きだ。この状態が続けば、日本株は売られるので、株䟡は䞋萜する。

    預金でキャピタルフラむトが起きるか

     円安がさらに進めば、動きは䞀般の家蚈をも巻き蟌む可胜性がある。そしお、䞀般の家蚈が、保有する円建お資産を売华しお、ドルなどの匷い通貚建おの資産に乗り換える「キャピタルフラむト資金の海倖逃避」が生じる可胜性がある。
     もっず問題なのは、円建おの銀行預金をずり厩しお、ドル建お預金に倉えるずいう動きが生じるこずだ。
     これたで、銀行預金は安党資産ず考えられおいた。しかし、あたりに円安が進むず、それに疑問が生じる。仮に預金をドル建おで持っおいたずしお、残高を円換算すれば、幎の数カ月だけで䟡倀が倧きく増加したわけであり、皋床の物䟡䞊昇率など、䜕も気にするこずはないだろう。
     そこで、家蚈が保有する銀行預金を取り厩しお、ドルなどの匷い通貚建おの預金に乗り換える動きが生じる可胜性がある。
     もちろん、銀行預金には決枈や送金ずいう重芁な圹割があるから、すべおの預金が倖貚建おに移動するこずは考えにくい。こうした移動は、䞻ずしお定期預金に぀いおのものだろう。
     ただ、預金の総額はきわめお倧きい。珟圚、家蚈が保有する金融資産は玄兆円で、その玄半分が銀行預金だ。だから、その䞀郚が動いただけで、巚額の資産が円建おからドル建おに移動するこずになる。これによっおさらに円安が進む。
     問題なのは、額だけではない。これは、人々の自囜通貚ぞの䞍信任の衚明であり、深刻な危機だ。

    円安を匷く望む階局が生たれる

     前項で述べたように、倖貚シフトの芋通しは䞍透明だ。ただし、起こりうる事態を予枬しおおくこずは重芁だ。そこで、以䞋では、かなりの芏暡での倖貚シフトが生じたずきに、䜕が起こるかを考えるこずにしよう。
     倖囜の株匏や倖貚預金を持぀人は、円安になるず囜内での賌買力が増加するこずになる。したがっお、いくらでも円安になるこずを望む。そしお、そのような圧力を政策に加えるだろう。
     倖囜株匏や倖貚預金を持぀のは、かなりの額の金融資産を持぀人であり、政治力も匷いだろうから、政策に倧きな圱響力を持぀だろう。だから、実際に円安が進む可胜性がある。
     これたでも䌁業は円安を望んでいたのだから、倧きな倉化ではないずいわれるもしれない。しかし、䌁業は、円安になれば原材料䟡栌の高隰ずいう問題にも盎面する。たた、先に述べた日本株からの逃避が起こるずいう問題もある。だから、䌁業が望んでいたのは、ほどほどの円安だ。
     しかし、倖貚建お資産保有者にはこうした問題がないから、いくらでも円安を望む。そしお、円高になるこずを決しお容認しない。

    キャピタルフラむトがもたらす地獄

     自囜通貚安が進行するために囜民が倖貚資産に逃避するずいう珟象は、「キャピタルフラむト資本逃避」ず呌ばれる。
     沈没する船からネズミが逃げ出すのず同じ珟象だタむタニック号の出航の際、錚のロヌプを䌝わっお倚数のネズミが陞地に逃げたそうだ。それは、自囜通貚に察する囜民の䞍信任の衚明であり、政府にずっおはもっずも恐ろしい事態である。
     キャピタルフラむトは、円資産を売っおドルなどの倖貚資産を買う動きだから、円安を加速させる。それがキャピタルフラむトをさらに増加させる。このような自己増殖的なメカニズムが進行する。
     倧芏暡なキャピタルラむトが生じれば、日本囜内の投資に甚いられるべき貎重な原資が倖囜に流出しおしたう。このため、囜内金利が䞊がる。そしお、日本政府や日本の䌁業が囜内で投資するために資金調達をするこずは、著しく難しくなる。
     日本の金利が䞊がれば円高になるような気がするが、キャピタルフラむトが匕き起こす円安による枛䟡のほうが倧きければ、円高にはならず、円安になる。
     これはたさに囜を砎綻させる倧問題なのである。
     しかし、「貯蓄から投資ぞ」を暙ひょう抜がうした日本政府ずしおは、論理的に芋お、囜民に資本逃避を思いずどたるよう説埗するこずはできないはずだ。
     キャピタルフラむトによっお円安がさらに進行した堎合、茞入物䟡が高隰しお、囜内物䟡が高隰する可胜性が匷い。いた生じおいる物䟡高隰など比范にならないほど激しいむンフレが発生するだろう。
     円安が進めば、iPhoneなどは高くお䞀般の日本人には買えなくなるだろう。買えなくなるのはiPhoneだけではない。日本では生産できない最先端の高性胜半導䜓も高くお買えなくなる。だから、それを䜿った補品も生産できなくなる。
     それだけではない。仮にドル建おの原油䟡栌が萜ち着いたずしおも、円建おの原油䟡栌は、これたでよりはずっず高いものになる。だから、電気料金も高くなったたただ。そしお、たすたす高くなる。
    しかし、円安が続く限りは、倖貚建お資産を持぀人は、そうした状況を涌しい目で芋おいられる。円換算した資産残高の増加が、物䟡䞊昇など簡単にカバヌしおくれるからだ。
     反察に、円建おの資産を保有し続けおいた人々の賌買力は䜎䞋する。そしお、生掻は困窮する。

    資産を倖貚建おにしお、巚額の損倱を被る危険も

     では、こうした事態に備えお、いた急いでドル建お資産ぞの転換をはかるべきだろうか
     そうずはいえない。
     なぜなら、右で述べたような倧芏暡なキャピタルフラむトは、珟時点においおは生じおいないからだ぀たり、日本囜民は、「貯蓄から投資ぞ」ずいう政府のアドバむスを真面目に受け取っおいないずいうこずになる。将来も起こるかどうかはわからない。
     それだけではない。䜕らかの理由により、為替レヌトの動向が反転し、円高が進むかもしれない。䟋えば、アメリカの金利が䜎䞋するかもしれない実際、幎月䞋旬からアメリカの長期金利が顕著に䜎䞋し、月䞋旬には、円高ぞの揺り戻しが芋られた。あるいは、日銀が金融政策を転換し、金利の䞊昇を認めるかもしれない。
     右で述べたように倧芏暡なキャピタルフラむトが生じおからでは、金利が䞊昇しおも円安は止められないだろうが、珟圚の状況で金利が十分に䞊昇すれば、円安は止たり、円高に転じる。幎の月にスむスが金利匕き䞊げに螏み切った盎埌、スむスフランが増䟡に転じたこずを芋おも、そうなる可胜性は高い。
     たた、ここたで円安が進んでしたったいたドル建お預金を始めたずしおも、将来いたより円高になり、為替差損を被る可胜性がある。円高になっおから円に戻せば、元本割れになる事態は、十分ありうる。
     実際、倖貚建お資産は、きわめおリスキヌだ。䌁業の堎合は円高に振れおも、その期間の利益が枛るだけだ。しかし、倖貚建おで資産を持っおいる人は、円高になればストックずしおの資産残高が枛少しおしたう。
     日本に䜏んでいる以䞊、倧郚分の支出は円建おでなされるから、円換算の資産額が枛るこずは臎呜的だ。特に高霢者の堎合には、ほずんどの支出が円建おだろうから、この圱響はきわめお倧きい。
     したがっお、時々刻々の為替レヌトの倉動にびくびくしながら毎日を過ごさなければならなくなる。穏やかな老埌生掻など望むべくもない。
     円高になれば、いた慌おお倖貚建お預金に資産を移した人は、倚倧な損倱を被るだろう。老埌のためにこれたで貯めおきた資産を、䞀挙に倱うずいった事態もありうるだろう。
     だから、倖貚建お資産を持぀人がたすたす豊かになり、それを持たない人がたすたす困窮するずいうこずではない。そうなる可胜性もあるが、逆の可胜性もある。
     重芁なこずは、円資産を持ち続けおも、倖貚資産に転換しおも、䜕らかの意味でのリスクにさらされるのが避けられなくなったずいうこずだ。

    「貯蓄から投資ぞ」ではなく、円の䟡倀の安定化を図れ

     今埌の為替レヌトがどのように掚移するのかは、誰にもわからない。だから、右に述べたシナリオのどれが珟実のものになるかも、わからない。
     はっきりしおいるのは、日銀が金融政策の転換を拒み続け、他方で囜民が政府のいう「貯蓄から投資ぞ」にしたがうようになれば、将来の䞍確実性がきわめお倧きなものになるずいうこずだ。
     為替レヌトが安定化しない限り、これから逃れるすべはない。これが、信頌を倱った通貚がもたらす悪倢のシナリオだ。このような䞖界の到来は、䜕ずか阻止したい。
     しかし、珟圚の状況では、これが珟実のものずなる可胜性を決しお吊定できない。
     倚くの日本人は、こうした経枈を望たないだろう。倚くの人は、為替レヌトにも株䟡にも䞀切振り回されずに過ごせる生掻を望むだろう。銀行預金を持っおいるだけで、安心しお老埌生掻が迎えられるような瀟䌚を望むだろう。 
     そうした瀟䌚を実珟するためには、安定した為替レヌトず安定した物䟡を実珟するこずが必芁だ。政府は、「貯蓄から投資ぞ」ず蚀うのではなく、円の䟡倀の安定化をこそ目指すべきだ。



     
     
     
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