
【さじの底】白線
道を歩いていたら、正面から女の子がひとり。
白線の上から落ちないように足元にすっかり夢中な様子。
私は道の反対側に進路を変更した。
君はまっさらな白線の上を夢中で歩く。
私はちらりと君を盗み見る。
いつだって目的地は不明瞭。
ただ、ぼやけた未来への道すがら、すれ違った君が楽しそうで、ただそれがうれしくて。
一瞬、かすかに霧が薄れた気がした。
まだ私の白線は見つからないし、もしかしたらそんなものは無いのかもしれない。
それでも良いと思った。
白線をそっと差し出せる人でありたい。
今はこれが正解だと思った。