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褒められる父親と、当たり前にされる母親

    ある日、夫に突然聞かれた。

    「俺ってイクメンなの?!」

    その一言で、
    自分の中にあった小さな違和感が、
    一気に形になった気がした。

    あまりにも唐突で、
    頭の中は「?」でいっぱいだった。

    「どうしたの?」と聞くと、
    職場の同僚に「奥さん大切にしてる?」
    と聞かれたらしい。

    夫は、家でやっていることを話したそうだ。

    洗濯を干す、食器を洗う、ミルクをあげる。

    こう聞くと、すごくやっている人に感じる。

    でも実際は、

    洗濯干しは私と一緒に。
    食器洗いは自分の分だけ。
    ミルクも一回だけ。

    それでも同僚に褒められた夫は、
    少し照れながら、でも嬉しそうに

    「俺ってイクメンなの!?」と何度も聞いてきた。

    その顔を見て、否定する気にはなれなかった。

    でも心のどこかで、
    小さなモヤモヤが残った。

    最初は、その正体がわからなかった。

    夫に対してなのか。
    褒めた同僚に対してなのか。

    ずっと引っかかっていた違和感。

    あるとき、ふと思った。

    ああ、私がモヤっとしていたのは
    「イクメン」という言葉そのものなんだ、と。



    男性は、少しでも家事や育児をすると褒められる。

    実際、私もそうだった。
    友人の旦那さんが家事や育児をしていると
    「いい旦那さんだね」と、当たり前のように言っていた。

    それが良いこと、褒め言葉だと思っていたから。

    でも、自分が母親になって感じたのは

    「なんで夫は褒められるの?」

    同じ“親”なのに。



    私は、別に褒められたいわけじゃない。

    ただ、
    男性が少し育児をしただけで褒められるこの空気に、少しだけ違和感を覚えてしまう。



    私は生まれてからは実感したタイプだが、女性は妊娠してから母親になる、とよく言われる。

    特に子どもが生まれた瞬間から、毎日が今までの生活から一変する。
    気づけば、ただ“必死にこなす日々”が始まっていた。

    我が子を守ること。
    終わらない家事。
    休む間もない育児。

    そんな日々の中で、
    ほんの一部をやっただけで褒められる世界に、
    どこか引っかかってしまう自分がいる。



    もちろん、育児をしてくれるのはありがたい。
    助かるし、感謝もしている。

    でもそれって、本来
    “特別なこと”なんだろうか。



    「イクメン」という言葉は、
    今ではあまり聞かなくなった気がする。

    それでも、
    育児に関わる男性が褒められる空気は、
    どこかに残っている。


    最近は、男性が育休を取ることも増えてきた。

    とてもいい流れだと思う。

    でも「育休を取ったからすごい」ではなくて、
    子どもと向き合うことが、
    ただの“当たり前”になっていってほしい。

    子どもが生まれたら、
    男性も育休を取るのが当たり前。

    そんな社会になったとき、
    「イクメン」という言葉は、きっと必要がなくなる。そこで初めてこの言葉は死語だと言えるようになるだろう。

    また父親が育児をすることは
    特別じゃなくなるのかもしれない。

    そして私はきっと、
    あのとき感じた小さな違和感のことを、
    思い出さなくなるんだと思う。

    #創作大賞2026
    #エッセイ部門

     
     
    離乳食、育児のしんどさ、夫婦の伝え方など問題に直面中な保育士ママ!保育士だからできるとかそんなのは関係ないと思いながら日々戦ってます。 そんな私が保育士エピソードを交えながら、子育ての悩みを解消できる内容を書いてます! 悩みはここで解消して、頑張りすぎない育児を目指しませんか?

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